広島ドラゴンフライズ 岡崎修司GM 下剋上の舞台裏 ひろしまコイらじ 木村文子さん・STU48久留島優果さん
- 2024年06月24日
広島ドラゴンフライズ、歓喜のBリーグ初制覇からまもなく1か月。あの興奮がよみがえります。岡崎修司ゼネラルマネージャーが選手時代の2017年以来、7年ぶりに「ひろしま コイらじ」に生出演。下剋上の舞台裏、来季のチーム作りのポイントをたっぷりと伺いました。
(広島放送局 アナウンサー 武本大樹)
若き仕事人
岡崎修司ゼネラルマネージャーは広島市東区出身の33歳。戸坂ミニバスケットボールクラブで競技を始め、広島皆実高校ではインターハイや全国高校選手権「ウィンターカップ」に出場。1年間の浪人をへた後、広島大学薬学部に進学しました。現役時代はシューティングガードとして活躍し、2014年、大学生の時に広島ドラゴンフライズとプロ契約。創設期のドラゴンフライズを4シーズンにわたって支えました。現役引退後はユースチームの指導などをへて、2021年にドラゴンフライズのゼネラルマネージャーに30歳で就任。B1に昇格した年は最下位だったチームを徐々にステップアップさせ、今シーズン、Bリーグ初優勝に導きました。
アジアの3位!
久留島)優勝の実感はいかがですか?
岡崎)それがまったくないんですよ。正直、5月に入ってからの記憶があまりないんです(笑)日々業務に追われて、チャンピオンシップが始まると一気に仕事が増えました。普通は終わった後に余韻があるじゃないですか。それがまったくなく、ここに来ています(笑)
木村)岡崎さんの「コイらじ」出演は2017年4月以来です。実に7年ぶり!
岡崎)そんなに経っているんですね。年を取りましたね(笑)
武本)仲摩匠平選手(現3×3「スリストム広島」代表)とのご出演でした。
岡崎)きょうはトークのうまい仲摩さんがいないので不安ですね(笑)
木村)ドラゴンフライズは優勝の後、ドバイで開催された「チャンピオンズリーグ・アジア」に出場。チームとして初の国際大会はいかがでしたか?
岡崎)本当に行けて良かったです。選手たちも間違いなく成長しましたし、クラブとしても大きな経験ができました。世界の中での日本、さらに広島の立ち位置が見えた大会になりました。
武本)韓国、中国、イラン、レバノン、アラブ首長国連邦、インドネシア、マレーシアと日本の8か国のリーグ優勝チームなどが出場。ドラゴンフライズはグループリーグを勝ち上がり、準決勝で敗れたものの、3位決定戦で勝利し、有終の美を飾りました。
岡崎)もうちょっとやれたのかなという反省がありますが、それ以上に得られたものが大きかったです。具体的には粘り強さ、他の国のバスケットの力強さやタフなところはすごく学びになりました。チームの財産になったと思います。
下剋上の舞台裏
木村)ワイルドカードからの日本一はまさに「下剋上」。岡崎さんに「チャンピオンになれた要因」を3つあげていただきました。
久留島)まずは「下剋上パワー(粘り強さ)」が気になります。
岡崎)最初に「運」と言われたらどうしようかと思いました(笑)まず、僕たちのシーズン中の評価、チャンピオンシップが始まる前の評価はあまり高くなかったんですね。誰もうちが優勝するとは思っていなかった。それが選手やスタッフたちの反骨心につながりました。絶対自分たちの力を見せてやるんだと。そして、プレッシャーも少なかったと思います。負けても大丈夫と開き直れました。さらにコートの中では、クラブが大事にしている「粘り強さ」がいかんなく発揮されました。クロスゲームを勝って、勝って、最終的には頂点に立てた要因は、こうした力が働いたからこそだと思っています。
木村)下剋上という言葉は私自身も現役時代から大好きな言葉でした。海外の強い選手に勝ちたい、と常に思っていました。それを体現してくれたのがドラゴンフライズ。本当に胸が熱くなりました。
久留島)次は「ディフェンス」ですね。バスケットについて調べてきたのですが、点取りゲームのように見えて、実はどのポジションの選手もディフェンスをしっかりしないといけないんですね。
岡崎)こんなに調べてくれて、ありがとうございます。素晴らしいです、その通りです。過去に優勝したチームは全部、ディフェンスが良いチームが優勝しています。守備力がレギュラーシーズンでトップ5に入っているチームが必ず優勝しているというデータもあります。私たちもディフェンスが強いチームをずっと目指してきて、今シーズンはディフェンスの効率性がリーグ5位という結果を残すことができました。簡単に得点を許さない展開を作れたのが非常に良かったと思います。
久留島)ディフェンスの強いチームを作るために岡崎さんはGMとしてどんなことをしてきたのですか?
岡崎)まず強固なディフェンスを構築してほしいと考えて、3年前にミリングヘッドコーチを連れてきました。ディフェンスの強い選手も獲得してきました。選手たちが頑張って成長してくれたのは間違いないのですが、選手とフロントが一体となって取り組んできました。ディフェンスの強いチームと毎年練習試合をしたり、ディフェンスが良かったらボーナスが出るといった査定システムを設計したりと、様々なことをやってきたのが形になって本当にうれしいです。
久留島)最後は一番気になる「運」です。
岡崎)決して適当にやって「運」に任せたではないんですよ(笑)クラブとして本当に全力でやってきたと自信を持って言えます。毎年、毎年、編成もチーム強化も全力で。ただ、毎年やっていても結果が出る年も出ない年もある。それはどこのクラブもそうです。圧倒的に強いクラブが負けることもある。だから、最後はやっぱり運なんです。けが人が出たり、コンディションが整わなかったりすることもある。それを乗り越えて強かったチームが最後に勝てる。そう考えると、「運」がすごく良かったと思います。
久留島)ドラゴンフライズは「運」を味方に付けることができたのですね。
岡崎)そうですね。粘り強さがあるからこそ、「運」を引き寄せられる。すべてつながっていると思いますよ。
木村)全力でやっているからこそ、運がきていることが見えることが私も現役時代にありました。きているなとわかっていてもつかめるかどうか。その準備をしていることも大事だと思います。
GMの仕事とは?
久留島)先ほど選手やコーチを連れてくるというお話をされていましたが、ゼネラルマネージャーは他にはどんな仕事をしているのですか?
岡崎)クラブによって違いますが、広島だとチームに関わる「何でも屋」です。チームの編成、選手との契約、学生などのリクルート、外国籍選手のリサーチや交渉、日本国籍取得を希望する選手がいれば申請なども行います。ビザなど入国関係の手続きも含めて全部ですね。チームがうまく動くように黒子に徹するのが広島のスタイルです。
久留島)一年で一番忙しいのはいつですか?
岡崎)まさに今。シーズン前後が一番忙しいですね。シーズン中は余裕がある時もありますが、終わりに差しかかるととんでもない業務量です…。
武本)岡崎さんの仕事はSTU48の編成やマネージャーの方の仕事と似ているかもしれませんね。
岡崎)そうだと思いますよ。久留島さんたちが選手だとするとコンサートなどの時はスタッフの方は少し引いたところから見守っている。イベントなどが空くと、メンバーをどう編成しようかとか、どう売り出していこうかと考えていらっしゃるのではないかと思います。
久留島)そう考えるとわかりやすいです。見えてきました!
木村)岡崎さんに一日のタイムスケジュールを書いていただきました!
岡崎)これは少し盛って書いてしまいました(笑)ルーティン業務はほぼないので、決まった一日というのはないんですよ。時期によって全然違いますし。例えば外国籍選手がなかなか決まらない、日中は既存の選手と面談をしなければないない。本当に寝ずに仕事をしているGMさんもたくさん知っています。
久留島)毎朝、「ToDo」、やるべきことをまとめられているのですね。私はToDoをまとめることが苦手です…。コツはなんですか?
岡崎)十分、ノートにまとまっているじゃないですか(笑)深いところを聞きますね。まずは、きょうやるべきこと、中長期的にやらなければならないことを分類することです。それを整理することでクリアになりますよ。
久留島)なるほど。朝の自己研さんはどんなことをされるんですか?
岡崎)本を読むことです。仕事ばかりしていると視野が狭くなって能力が下がってしまいます。本を読んで、いろいろ知見を広げたいと思っています。子どもたちもいてなかなか自分の時間を作らせてくれないので、朝しかないんです(笑)
久留島)チームの練習は毎日ご覧になるんですか?
岡崎)会社内のミーティングもありますし、練習には行く時と行かない時のメリハリをつけています。僕が練習に行くのは「何もないこと」を確認するためです。選手のコンディションも含め、何も起きないのがチーム編成においては一番良いこと。いつもニコニコして立っているくらいが一番良いGM像です。カッコつけて出ていくのは良くないなと思っています(笑)
「継承」「変革」「挑戦」
木村)来シーズンのチーム作りのポイントも岡崎さんに3つあげていただきました。
岡崎)まず「継承」。我々は新しいヘッドコーチのもとで戦うという決断をしました。ミリングヘッドコーチのもとで本当に良いものも築けたので、それはしっかりと継承していきたいと思っています。特にディフェンスの部分は選手が体で覚えているので、来シーズンも引き継いでほしいです。
武本)リスナーの方から「ヘッドコーチ選びのポイントは何ですか?」と。
岡崎)ひと言で表すのは難しいですが、「総合的」というのが回答です。選手から慕われることだけではなく、嫌われなければいけないこともあります。意思決定をしなければならないので。新しいヘッドコーチとのチーム作りを楽しみにしていただければと思います。
木村)2つ目の「変革」は?
岡崎)「変革」は「継承」と反対になりますが、やっぱり変えていかなければいけない部分も多いと思っています。もちろん優勝できたことはすごくうれしい、喜ばしいことです。ただ、レギュラーシーズンを振り返った時に一番強いクラブだったかというとそうではなかったと思います。具体的には、来シーズンはしっかりとしたディフェンスからの攻撃面を変えていきたい。「変革」のシーズンにしたいと思っています。
久留島)もう来シーズンのことが具体的になっているんですね。驚きました。そして、3つ目の「挑戦」は?
岡崎)優勝できた、日本一になれたとはいえ、我々が強豪クラブかというとまだまだそこには達していないと思います。来シーズンもすべての物事への取り組みにおいて、「挑戦者」としての気持ちが大事です。選手も、スタッフも、クラブとしてもより強くなっていくんだという「挑戦」をし続けなければなりません。そのメンタリティを持ち続けられるかが大きなポイントです。
久留島)来シーズンもさらに楽しみになりました!最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
岡崎)まずは今シーズン応援をいただきまして、本当にありがとうございました。本当に皆さんのおかげで優勝をつかみ取ることができました。もっともっとドラゴンフライズのことを知っていただけるように、より広島を盛り上げていけるように頑張っていきます。ぜひ来シーズンも多くの皆さんに会場に来ていただき、一緒に盛り上がっていただければと思います。
木村・久留島・武本)岡崎さん、ありがとうございました!
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