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こういうのは勢いだなと思うので、昨日の続き。 youtube切断後のニコニコ動画復活の話。 記憶に頼って書いてるので間違いはあるかもしれない。 youtube切断によるサービス終了から1週間でニコニコ動画は復活することになる。この1週間の間で新しいニコニコ動画の仕様、コンセプト、プロモーション方針に関わる重要方針がほとんど決定されることになる。 めちゃくちゃたくさんのことを決断しなくてはいけず、しかも、振り返ってみても、ほとんどの決断が正解だった人生の中でも神がかった1週間だった。 まあ、でもここは結構、部分的にはあちこちで喋っているよね。喋ってないことでいうと、ニコニコ動画の隠れたプロモーション戦略である宗教化についてだ。 元々、ニコニコ動画(仮)とは文字通り”仮”であり、テストマーケティングを兼ねたサービスでドワンゴが運営していることも伏せていた。うまくいきそうだったら、実はドワンゴが作った初めてのWebサービスですということで、名称もかっこいい名前に変えて、改めて世の中にお披露目をしてサービス開始する予定だった。なので、僕らもユーザーも名称変更の時に気兼ねなく捨てられるように、できるだけカッコ悪くてひどい名前をつけて愛着が湧かないようにしようということで決めたのが「ニコニコ動画」というふざけた名前だ。ところがニコニコ動画は、ほとんど瞬間で大ヒットしてしまったので、名称変更のタイミングを失ってしまった。なんなら、我々もユーザーも愛着の湧かないはずの、このひどい名前が好きになりかけていた。誤算だった。 これはもうニコニコ動画というブランドで突っ走るしかない。この名前も最初から計算でした、世の中のカッコつけた名前ばかりのWebサービスに対する皮肉でありアンチテーゼだった、ということにしよう、ということで、ニコニコ動画(γ)という名称も決まった。 そう、本当はネットサービスにありがちな、例えば「Google」みたいな、よくある、なんか気の利いたかっこいいサービス名にうちらもしようぜ、みたいな気持ちだったのだ。最初は。 でも、しょうがない。こうなったらGoogleやGoogle崇拝の価値観に支配されている日本のネット業界、全てに喧嘩を売って馬鹿にしてせせら笑う新しい価値観。そういうポジショニングを取るしか、ニコニコ動画という根本的に間違っているブランディングの説明はつかない、そう思った。 本当はそんな気取ったWebサービスの一員に入れてもらうつもりだったんだけどね。最初は。 全てニコニコ動画という名前のせいだ。 半分ヤケクソなのだがニコニコ動画を神格化する=宗教化することをプロモーションの基本戦略にすることにした。 宗教化のモデルとして当時考えていたのは二つだ。小泉純一郎の「劇場型政治」とジョブズが作ったアップル信者だ。ニコニコは「劇場型ウェブサービス」にするという社内向けのキャッチフレーズを作った。僕は結構スタッフにサービスのコンセプトを共有してもらうための社内限りのキャッチフレーズをよく作る。当時のニコニコでは「劇場型ウェブサービス」のほかに、「Google機械帝国への人類最後の反乱」とかいうのもあった。ほかにもあったと思うけど、もう、だいぶ忘れた。 IT企業の中ではユーザーが信者化しているのはアップルだけだなと前から思っていて、同じことってできないかというのは、僕の長年のテーマだった。ニコニコがYoutubeに切断された時に、今だったら、宗教化はできるんじゃないかと思った。 条件がいくつか揃っていたからだ。次の3つだ。 ・ 神話のベースとなるストーリーの存在。 ・ 運営対ユーザーの関係において、商品=アクセス権の提供が品薄にできる状況があった。 ・ 当時のニコニコへのメディアの圧倒的な関心の高さ 順に説明する。 1ヶ月足らずで日本の主要ネットサービスの一つぐらいにまでユーザーが爆発的に拡大し、そしてYoutubeに切断されたサービスを終了したニコニコ動画。それがユーザがいったんゼロになった困難の中からサービスを作り直して、再度、Youtubeに挑むというのは物語として、すでに完成度が高い。しかも実際に事実だ。そしてこの物語には神話に、とても重要な信者の迫害と苦難の歴史が、すでに織り込まれている。 そしてニコニコ動画にアクセスしたい潜在的なユーザーは日本に数百万人単位でいることが予想された。しかし、僕らは自前の回線では、せいぜい当面は10万人程度にしかサービスの提供が不可能だった。商売において信者を作るには商品が不足していて入手が難しいことが不可欠だ。要するに品薄商法が大事だ。ラーメン屋でもハイブランドでもアーティストのライブチケットでも、みんな意識的に品薄商法は行なっている。しかし、ネットサービスにおいてはアクセスしてサービスができないとユーザーがいなくなるだけなので、品薄商法が基本的には成立しない。ところが当時のニコニコ動画については例外的に本当に回線が足らなかったので、品薄商法をせざるを得ない状況があったのだ。そして動画にコメントできるサービスなんてニコニコ動画しか無かった。 そして最後に圧倒的なメディアの関心があったことだ。僕はサラリーマン時代から新規事業の立ち上げをやり続けてきて、ずっとプレスリリースを書き続けてきた。今でもチェックはすることが多い。で、プレスリリースについて強く思ってることが2つあって、一つはいくら一生懸命書いても記事にしてもらえるのはほんの僅かであるということと、もう一つはライバル企業はプレスリリースが記事になるとチェックするので真似をされることが多い、ということだ。 着メロ事業を始めたあたりから、ネットサービスはユーザに対してはサイトで情報提供すれば十分じゃんと気がついて、本当に重要な新サービスはプレスリリースを打たないでサイトで黙って告知する。プレスリリースするのは重要そうに世間=メディア的には見えるけど、ビジネス的にはそれほど重要ではなく、ライバル企業に真似されても構わないもの、なんならライバルが勘違いして真似してくれると向こうのリソースが無駄になってラッキー、みたいなものという使い分けをするようになった。 これがニコニコ動画がネットで社会現象みたいになると勝手が違ってきた。プレスリリース打たないでサイトだけで告知したことがどんどんメディアに拾われてニュースとして報道されるようになったのだ。これ、どうやったらメディアに報道されないですむか色々試行錯誤したんだけど、結論だけ覚えている。本当に世の中で話題になっているときは、報道されないように何をやっても無駄で、どうせ報道されてしまう、ということだ。 逆にこのメディアの注目を使えば、うまく僕らが出す情報をコントロールしてブランディングが可能になるだろうと思った。情報コントロールというのはブランディングの基本だ。アーティストとかは写真一つであっても世の中に出すものを制限する。自分が出したいイメージの写真しか世の中には露出させない。そうやってブランディングはやっていくものだ。 というわけで、おそらく今のニコニコ動画であれば、ニコニコ動画を宗教にして、ユーザーを信者にすることができるだろう。2007年3月にサービスを再開する時に、ニコニコ動画を宗教にして、再度、信者の集団を作って、そのエネルギーを原動力として、Youtubeと勝負をするという基本方針が決まった。 長くなったから、実際にどういうことをやったかは次のポストで。

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