世界の窓
毎週金曜 よる10:54~11:00
窓のある風景。現在も人々の生活に根付いている窓から見える歴史や文化を訪ねる世界紀行。
毎週金曜 よる10:54~11:00
窓のある風景。現在も人々の生活に根付いている窓から見える歴史や文化を訪ねる世界紀行。
2024年6月21日(金)放送
ジョージアの首都トビリシの旧市街。その一角に全面にガラス窓が施された家屋がありました。「全面ガラス」をジョージア語にした「シューシャバンディ」と呼ばれ、ジョージアではよく見られるスタイル。家は200年前に建てられたといいます。その主が言うには、30年前バルコニーだったところに窓ガラスを施したとのこと。バルコニーがひとつの部屋になりました。そんなシューシャバンディは、家族の日常を見守ってきました。
2024年6月14日(金)放送
ジョージア南部のボルジョミその一角に建つターコイズブルーの宮殿。建てたのはロシア帝国時代のイラン領事で完成は1892年。正面にはジョージアの伝統的な木彫りの装飾が施され、バルコニーに通じる窓にはペルシャ様式のカラフルなガラス、バルコニーの横の窓にはフランスやイタリアの様式が組み込まれていました。ジョージアの伝統的な装飾と、ペルシャやヨーロッパ様式の窓が一つの宮殿で出会いました。
2024年6月7日(金)放送
バーズタウン。ウイックランド。かつてはケンタッキー州知事が暮らしました。館は純粋なジョージア建築で正面は完全な左右対称。その窓は近くで見ると、思った以上の大きさです。見晴らしのいい窓からは馬車でやってくる客人たちの姿も、見通せたことでしょう。裏にある階段を下りていくと、そこはこの館を作った黒人が暮らした奴隷部屋でした。明かり窓から見える小さな空。古い館に秘められたアメリカ史の光と影。
2024年5月31日(金)放送
学生の町、コネチカット州ニューヘイブン。町の一角にぽつんとたたずむ小さな建物がある。レンガ造りで赤いよろい戸と白い窓枠が特徴のルイス・ランチと呼ばれる1895年創業のハンバーガーレストラン。よく見ると窓のうち枠は落書きだらけ。学生がたわいないいたずら心で記念に彫っていく。実はこのレストランでハンバーガーが1900年に誕生した。現店主の曽祖父の時代、急ぎの客のためにとっさに思いついたものだった。窓枠に残る落書きが100年以上続く人気の歴史を物語る。 ※初回放送2013/7/19
2024年5月24日(金)放送
アメリカ・コロラド州。深い森の中に、突然、城が現れます。石を積み上げた城、窓も独特です。そこには、あざやかなステンドグラスが並んでいます。主のジム・ビショップさん。人に城でも建てるのかと言われ城づくりが閃きました。奇想天外な城作り。石を一つ一つ積み上げた壁に窓を開けては、鉄の枠を取り付けていきました。窓と柱が織りなす不思議な空間。それは一人の男が人生をかけた夢の城づくりでした。
2024年5月17日(金)放送
地中海・バレアレス諸島のスペイン領フォルメンテラ島。中世の農地がそのままに残され中南米から来たウチワサボテンが群生しています。1970年代に自由を求めてこの島に渡ってきた元祖ヒッピーがいるというので訪ねてみました。その女性は100年以上前に建てられた家畜小屋に住んでいました。壁は厚く頑丈で窓にはガラスがありません。地中海気候のこの島では雨はあまり降らないので窓ガラスがなくてもさほど困らないのです。
2024年5月10日(金)放送
スペインのマタロはローマ時代から続く地中海に面した町。ここにガウディの時代に流行したモデルニスモ建築の傑作があります。アールデコの装飾が美しいコレ・イ・レガス邸です。邸が建てられた時代はペストやコレラの感染症が流行り換気が重要視されました。奥行きが深いこの邸宅では正面に換気のための大きな窓があり中央部には採光のため大きな天窓をつけました。たっぷりの光と新鮮な空気の循環。それは窓の基本なのです。
2024年5月3日(金)放送
スペイン、バルセロナのサンジャウマ広場を見下ろす古いマンションに特別な窓があります。9月に行われるメルセ祭りのメインイベント「人間の塔」がよく見える窓です。カタルーニャ州各地から集まった団体が技を競う「人間の塔」。年配者から子どもまで、力を合わせ人間が積み重なり塔を作ります。その高さは20mにも達するほど。窓は1850年に作られたもので、以来絶好の位置から「人間の塔」を見守ってきました。
2024年4月26日(金)放送
ガンジス最大の支流、ヤムナー川に面した都市アーグラー。100年前に造られた3階建ての煉瓦造りの館は「幸せの家」と呼ばれ、14人の家族とともに猿や鳥が暮らしている。格子窓から猿に餌を与えるのはアルンさん。猿は家族同様の大切な存在だ。電気溶接の無かった時代にリベット打ちされた鉄扉の窓は、修繕されながらもクラシカルな趣を今に残している。向かいの部屋では弟家族が窓を開放し、鳥を自然な風の中で自由に遊ばせていた。
2024年4月19日(金)放送
急速に変わり続ける首都デリー。旧市街エリアにはハヴェリと呼ばれる歴史的大邸宅が残る。その多くが建て替えられてゆく中、今も人の暮らす300年前のハヴェリがあった。曽祖父から受け継いだハヴェリに生活するのは、94歳のシャンティさん。居間の東向きの窓は電気の無かった時代、明かり採りとして大切だった。寝室には外気に合わせて開閉を自由にできる窓があり、電気のある今も、昔と変わらない窓からの自然の風で暮らしている。
2024年4月5日(金)放送
現代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライト。若きライトが初めて建てた自宅兼事務所。その窓は、今まで主流だったヴィクトリア調の壁で仕切られた窓の常識を覆した、四角い窓の連続。19世紀には、おきて破りの斬新なスタイルでした。自宅のスタジオも360度に窓が連なるモダンなデザイン。彼にとって自宅は、アイデアの実験場でもあったのです。この家こそ、世界に先駆け環境と建築の融和を唱えた彼の、出発点でした。
2024年3月29日(金)放送
南アフリカのムプマランガに暮らすンデベレ族の女性は代々、家の壁に幾何学模様を描きカラフルに飾ってきた。ランプや階段など身近なものをオリジナルのアイデアで抽象化した幾何学模様。窓はまるでその幾何学模様の一部のよう。カラフルに彩られた家々は、自分たちの居場所を主張するためだった。しかし次第にその伝統は失われつつある。その伝統を守るため、娘や孫に伝えようとしている一人の女性に出会った。 ※初回放送2017/6/9
2024年3月22日(金)放送
アメリカ、ケンタッキー州、バーズタウン。タルボットタバーンは大陸を行きかった駅馬車の宿でした。一階は酒場でカウボーイや駅馬車の旅人が客でした。二階は宿。宿泊客には、著名な人物も。当時6歳だった、アメリカ大統領リンカーン。銀行や列車強盗を繰り返したジェシー・ジェームスもこの宿に隠れていました。過去と現代が交錯するタバーン。旅人たちは、その窓辺で、古きアメリカの郷愁に浸るのです。
2024年3月15日(金)放送
ニューヨーク州、ブロンクス、ポー公園。その家の主は推理小説の生みの親エドガー・アラン・ポー。家は19世紀のオランダ式の農家でした。転居を繰り返し、酒に麻薬と、乱れた生涯を送ったポーの終の棲家です。彼の作品「モルグ街の殺人」。鍵がかかった部屋で、母と娘が殺された。誰も入れないはずの部屋に犯人はどうやって入り、逃げたのか。それは世界初の窓のトリック、そして推理小説という窓を開いたのです。
2024年3月8日(金)放送
地中海のスペイン領イビサ島は紀元前にはフェニキア人の拠点となった豊かな島。世界遺産でもある。観光で有名だが昔から農業も盛んだった。古い農家に残る一枚の木窓。なんとはるか300年以上前の窓だという。家が1701年に登記されたという証書が残されていたのだ。イビサ島で最も古い窓かもしれない。豊かなこの島は絶えず海賊や異教徒の侵略に晒されてきた。それゆえ古い木窓は監視のための小窓を備えている。
2024年3月1日(金)放送
スペインのバルセロナに天才建築家アントニ・ガウディの処女作がある。その名はカサ・ビセンス。資産家の夏の別荘でこの建築にはガウディが日本の影響を受けた証が残されている。一階食堂の窓を飾るのは浮世絵の影響を受けたという鳥たちの絵。その窓から連なるバルコニーの木製のよろい戸はなんと平安時代の蔀戸(しとみど)から着想を得たという。この建築を引き受けた時ガウディはまだ26歳だった。まさに天才の成せる技である。
2024年2月23日(金)放送
インドネシア・ジャカルタ北部のコタ地区。この地にあるバハリ博物館には同じ形をしたいくつもの窓がある。当時のインドネシアは香辛料の宝庫で、この建物で保管されていた。1700年代、香辛料は金と同じ価値があり、高値で取引きされていたという。香辛料によって発展を遂げたインドネシアの貿易。そんな大切な香辛料を守るために…窓には少し変わった先人たちの工夫が施されていた。
2024年2月16日(金)放送
インドネシア、漁業が盛んなタンバックレジョ村。お邪魔したのは、マスリアさん宅。昔は、窓辺から綺麗な自然や住宅を見ることが出来たが、今は海が広がる。この村は20年ほど前から、地盤沈下によって徐々に沈んでいるのだ。海水が自宅の中まで押し寄せ、壁に塩が出来る程。自宅は何度も修理を施したが、この窓だけは、80年以上同じものを使い続けている。窓から見える風景が変わっても、心穏やかに過ごす理由とは…。
2024年2月9日(金)放送
インドネシア北スマトラ州のニアス島。“太陽の丘”を意味するバヴォマタルオ村に住むニアス族の人々が迎えてくれた。案内されたのは代々、王族が住む家。高床式住居に施された“ラワラワ”と呼ばれる窓…太陽の位置を計算して作られたため、室内は明るい。この窓は、他の村と戦争があった時代、窓から見張りを行い、村を守る役割を担っていたが…今では少し変わった使われ方で、村の人たちから愛されていた。
2024年2月2日(金)放送
魂の画家、アンドリュー・ワイエス。彼の窓の物語は、父のアトリエから始まります。父N・Cワイエスのアトリエの窓は壮麗なパラディオ様式。病弱で学校に行けなかったアンドリューは、いつもその窓の下で絵をかいていました。やがて画家となった彼は、廃校だった校舎にアトリエを作りました。教室の面影を残す素朴な窓。壮麗な父の窓とは正反対でした。自分だけの窓にたどり着いたワイエスは、アメリカの魂を描き続けたのです。
2024年1月26日(金)放送
アメリカ、ニューポートのアーク島灯台。かつて、灯台守が家族と暮らしたその窓は、19世紀の姿を今も残しています。アメリカでは古くから多く見られる、上げ下げ式の窓です。実はこの灯台、1971年に廃止され廃墟となりました。その後、市民が立ち上がり再び灯台に灯がともったのです。甦った灯台。そこには360度、湾を見渡す絶景の窓がありました。
2024年1月19日(金)放送
白亜のドーム、タージ・マハルが河畔に建つ町アーグラー。200年前に造られたヒンドゥー教寺院は、ここに住む家族がどこからでも神に祈りを捧げられる左右対称の構造である。40年前に移り住んだ僧侶のハリナーラヤンさんは家族が増えるたび寺院を増築してきた。2階に住む孫嫁のクスムさんは、毎朝の祈りを部屋から見られる窓のあるのを幸せに思う。神に供えるマリーゴールドの鮮やかな黄色はそんな家族の幸せの象徴である。
2024年1月12日(金)放送
18世紀、イスラム系のナワーブと呼ばれる太守が治めていた町ラクナウ。往時の名残を留める館の夥しい数の窓は、独自の文化の歴史と伝統を今日に伝える貴重な遺産である。メッカの方向、西に向かって窓から祈りを捧げるのは、ナワーブの血を受け継ぐマスッドさん。窓から入る新鮮な風を受けながら、先祖のナワーブに思いを馳せる。窓はまた戒律により顔を見せられない女性たちが通りの行事を密やかに眺めるためのものでもあった。
2024年1月5日(金)放送
カサ・ビセンスの発注を受けた時アントニ・ガウディはまだ26歳だった。若者は自分が持つ知識と経験のすべてをこの家に注ぎ込んだ。日本の浮世絵の影響を受けた鳥の絵で窓を飾り平安貴族の館にある蔀戸(しとみど)を取り入れたテラスを作った。グラナダのアルハンブラ宮殿を模した壮麗な喫煙室やシンプルなデザインの女性専用サロン。若者に夏の別荘の建築を依頼したマヌエル・ビセンス氏の慧眼がガウディ最初の傑作を生んだ。