このブログは洗足音楽大学の授業 How to Improvise の予習復習用に書いております。
履修学生の方に特化した内容ですので、御理解の上お楽しみください。
コード・スケールという言葉をご存知ですか?
コード・スケールとは?
コードに対して何のスケールを使うか?という理論です。
このあたりから理屈っぽい授業になるので御覚悟を…
「覚えたら便利な4つのスケール」は今回の授業の参考になります。
こちらを見て下さい。
CMaj7 Am7 Dm7 G7
このコード進行の各コードにスケールを当てはめてみましょう。
世に出回る理論書を基にすると…
Ex1)
(注)イオニアン=アイオニアン
と、なります(皆さんご存知の…)
ちょっと待ってください
これ全部…Cメジャースケールですよね?
ほんならこれでええやん!
Ex2)
それじゃ教則本の最初に書いてある例のやつって何…?
実はコードに対してスケールを当てはめる「コード・スケール」と言う理論は「決まり事」ではなく「解釈」なんです。
と言うのが、今回のお話…
解釈〜なんて難しそうでやだ〜〜〜!
ですよね〜〜でも、ちょっと我慢してねー
今まで勉強した
コード・トーン、
アプローチ・ノート
…は扱いが簡単です
何故ならば解釈が要らないからです
CMaj7 のコード・トーンは? C E G B
CMaj7 に対するアプローチ・ノートは半音が理解さえ出来れば簡単です
それに対してスケールは・・・
CMaj7の時に使えるスケールは?
Cm7の時に使えるスケールは?
C7の時に使えるスケールは?
何でしょうか?
実は色々あります
こちらを見て下さい。
Ex3)
今度は各コードに「解釈」を入れてみました。
弾いてみてください。
サウンドが変わったでしょ?
このように、各コードに対してどんなスケールを使うか?あなたの解釈です。
コードをスケールによって、サウンドを面白くするには、スケールとモードの勉強をしっかりとしなくてはいけません。
が、今回は基本をすっ飛ばして便利で効果的な
「簡易版コード・スケール」
をご紹介いたします。
「簡易版コード・スケール」
手順1
コードをダイアトニック(DT)ノンダイアトニック(NDT)に分ける
ダイアトニックはスケール内の音のみで構成されたコードの事です。
ノンダイアトニックはそれ以外の音が入っているコード。
☆ただしドミナント7thコードは
ノン・ダイアトニックとして扱います(たとえⅤ7でも)
手順2
ダイアトニック&ノンダイアトニック2つに分類する事が出来たら、スケールを当てはめてみましょう
まずはダイアトニックから・・・
Ex4)
手順3
ドミナント・コードに対して解釈を加えてスケールを当てはめます。
Ex5)
(注)イオニアン=アイオニアン
ここではドミナントコードを全てオルタードで解釈します。
サウンドが変わりましたね!
ここで「オルタード」の説明を致します。
オルタード・スケールはドミナント7コードに使用されるスケールです。テンション(9,11,13)が全て変更(♭又は#)されているところから、Alterd=変更というのが名前の由来。ジャズ・サウンドを代表するスケールです。
譜例1)Cオルタード
譜例2)同じくCオルタードをテンションで見たら・・・
以上オルタードの説明でした。
「簡易版コード・スケール」
どうですか?
上記の3つの手順だけで、コードスケールという理論を使うとどんな事が出来るか?イメージできるようになったのでは?
まとめると・・・
手順1
コードをダイアトニック(DT)ノンダイアトニック(NDT)に分ける
手順2
ダイアトニックのみスケールを当てはめる
手順3
ドミナント・コードを全てノンダイアトニックと解釈して
オルタードを当てはめる
これだけです・・・
ここまでのお話で、感じが掴めた方は次に進みましょう!
「ノンダイアトニックコードの解釈」
ノン・ダイアトニック・コード(ダイアトニック内に無い)コードが出て来た時にどんな解釈が一般的に(ジャズ的に)されているか?覚えておきましょう〜
図1)ノン・ダイアトニック・コード・スケール の ルール!
図1)は一般的にジャズのアドリブに良く出てくるサウンドのコードスケールです。
ノンダイアトニックのコードスケールを演奏に取り入れるには慣れが必要です。
例えば次に示す例の様にランダムに同タイプのコード進行を練習すると良いでしょう。
Lydianの練習
Dorianの練習
ドミナント7thはどんな場所にで出て来ても自由な解釈が許されています。その他にも数多くのドミナントコードのスケールがありますが、AlterdとLydian♭7をマスターすると後の展望が開けてくると思います。
Alterd & Lydian♭7の練習
ここまできてマニアの方はピン!と来たかもしれません…
ダイア・トニックをノン・ダイアトニックで解釈したら…?
そう、その通りです、図1は何を表しているかと言うとコード・サウンドの「マルチ化?」です。
例えば、ダイアトニック以外のメジャー・コードは全てリディアンで解釈する、
と言う事はリディアンはC keyにおいてCMaj7以外の11個のMaj7にオッケーと言う事ですね?
これをヒントに、色々と考察してください〜
それでは実際のコード進行を元にコード・スケールを試してみましょう。
譜例3)
スケールを書きましょう!
Ex6)
コード・スケールを使ってエクササイズを作ってみよう!
Ex7)
本格的なコード・スケールはアレンジを学ぶ時に大変有効な理論ですので、もっと深く学びたい方は Chord Scale For Voicing というキーワードで検索してみてください。Herb Pomeroy Line Writingもキーワードです。
それでは、ここで宿題〜
下記のコード進行をDTとNDTに分けてアナライズしてそれに基づいてコード・スケールを設定してみてください。
Stella by Starlight のコード進行
自由課題
on green dolphin street
DTとNDTに分けてアナライズしてそれに基づいてコード・スケールを設定してみてください。
いかがでしたか?
その他、コード・スケール・テクニックには
全てのコードをマイナーのスケールに見立てる=メロディック・マイナー・コンヴァージョン
全てのコードをハーモニックメジャーのスケールに見立てる=ハーモニック・メジャー・コンヴァージョン
ペンタトニックをテンションに見立てた=アッパー・ストラクチャー・ペンタ
等等、
解釈の種はつきませぬが・・・
いずれにしましても、曲のコード進行を見てダイアトニックがどれなのか?
直に解る様になれば、便利です!
その辺をもう一度復習する機会に
なれば幸いです。
動画ヴァージョン