一階に下りるとキッチンから騒がしい物音がした。
私がお母さんから教わった唯一作れる料理。
よく私が幼い頃に風邪を引いた時は作ってくれてた。
ウパパロンは「フーフー」と何回も冷ましてから、リゾットを口の中に入れた。
それからは一言も話さずにどんどんと食べ進めていき、あっという間に完食してしまった。
余程おいしかったのかな。
ちょっとめんどくさそうにしながらも、本音はちょっと照れ臭かった。
やっぱり好きな人から手料理を褒められるって、すごく嬉しい。
すぐに余った材料でリゾットを作り直し、ウパパロンの元へ運んだ。
途中で会った八幡宮さんにも手伝ってもらったから早く出来上がった。
スプーンでリゾットを掬い、ウパパロンに食べさせてあげた。
ちょっとだけ恥ずかしかったけど、なんとなくそうしたかった。
所謂、母性本能というもの。
珍しく素直に言うことを聞いたウパパロンはなんだか幼い子供のようだった。
しかしそこで私はあることに気づいた。
それでもやっぱり顔は赤いままで、私から目を逸らしていた。
あー、さては……
いつも振り回されているのは私ばかりだったから、こうしてウパパロンが照れてるのを見ると満足してしまう。
やっぱり自分が優位に立ってるってなんか気持ち良い……!
めめ村という平和村で育っちゃったからなのかなー。
レイラーとはあの、食べ物と他人恋愛事情に目がなくて、なんでもかんでもからかいたがる習性を持つ新種の狂人。
次の言葉を言おうとした瞬間、服の袖の端っこをクイッと引っ張られた。
見下げるとウパパロンの手が掛けられていた。
真っ赤な顔で恥ずかしそうに言う言葉は、もう破壊力がやばかった。
急に「好き」って連呼してきたり、急に甘えてきたり、急にドキッとするような言葉を言ったり仕草をしたり_______
いつもいつも振り回されているのは私の方だけれど、振り回される恋もまた良いなって思ってしまっている自分がいる。
好きな人になら、なんだって尽くしたいと思っちゃうのが恋愛なんだから。
だからあと少しだけこのままの関係でも良いのかもしれない。
振り回される恋も、やっぱり良い。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。