『MBTIもどき』は本当に偽物?
俗にMBTIと呼ばれるものには2種類あって、Myers & Briggs Foundation incが提供するタイプ指標(本来のMBTI)と、それを元に作られた性格診断の2つがある。
ネット上ではその大半は後者の意味で使われる。
MBTIの公式のサイトでは、それらの性格診断のことを『MBTIもどき』と呼んでいる。
本来のMBTIを『本物』と呼び、その派生を『もどき(=偽物)』と呼んで良いのか?と私は疑問に思う。
なぜならそれらの性格診断はMBTIと非常に酷似していて、私から見れば「有資格者が診断を行うか無資格者自身が診断を行うか」くらいの違いにしか見えない。「どちらが信憑性があるか?」と考えれば圧倒的に前者だが、だからといって後者を全く信用するなというのは違うと思う。
私は先ほど「有資格者が診断を行うか無資格者自身が診断を行うか」という違いを一番に挙げたが、もう一つ両者には大きな違いがある。それは『類型論』と『特性論』だ。
類型論というのは必ずどれか一つに分類される。特性論というのはいくつかの矛盾する要素があると考える。類型論が「赤」「青」だとすれば特性論は「赤みの紫」「青みの紫」である。
「Aです」が類型論、「Aの割合が何%、Bの割合が何%」というのが特性論。
また、類型論は他と比べず、特性論は他を基準として決める。
MBTIは完全な類型論であるが、MBTIを派生させた性格診断サイトのうちいくつかは(人と比べないという類型論の要素を含む)特性論である。
16タイプ性格の診断は、どれもバーナム効果を使用した占いではない。
例えば『16personalities』というMBTIに特性論の要素を加えた性格診断サイトの仕組みとしては、「Aに当てはまる項目 vs Bに当てはまる項目」を示し自分がどちらにどれくらい近いか選ぶ。結果はそれを元にして「あなたはAの傾向が何%でBの傾向が何%」と出る。
言い換えるなら「自分が答えたことのまとめをしてくれるシステム」だ。
自分が答えた通りの結果が出る。だから「当たっている!」とよく言われる。はじめはすごいと思うだろうけど、仕組みを理解すれば当たっているのは当然のことだ。
ただ、生じる問題もある。
「自分の先入観」だ。
もちろん自分の内面は自分自身にしか理解することはできず、MBTIは主観的である必要はあるけれど、言葉の意味を履き違えたり「自分はこうあるべきだ!」という理想に圧倒されて本来の精神の奥底に気付いていない場合がある。
それにMBTIは「健康な精神状態の時の自分の性格」を調べるものだから、「私はいつもは外向型だけど落ち込んでる時は内向型になる」という人の正しいMBTIは外向型になる。
「INFPはメンヘラ」という意見も見るけど、その人達は必ずしもINFPとは限らないし、偶々精神状態が良くない時に診断してINFPと出た他のタイプの人だという可能性もある(もちろん私みたいに元気な時もINFP、不調な時もINFPという人も存在する)。
こういうことからミスタイプが生まれる。
また、模擬サイトで本来のMBTIに限りなく近い結果を出したいのなら、サイトが勝手に決めた偏見の『○○タイプ』(職業だったり動物だったりするもの)は一切無視することが大切だ。それに好き嫌いも性格とは直接関係ないから無視で良い。MBTIで診断すべきは自分の心の働きのパターンであって既存の何に近いかではないのだから。
例えば「議論なんて好きじゃないのに討論者なんて」とか言うENTPは自分がE、N、T、Pである事実だけ受け入れて性格に関する内容だけを読めば良い。ENTPはENTPであって討論者という訳ではないのだから。
それに、自分の傾向がどちらか分からない時の本来のMBTIでの調べ方はこうだ。
例えばINFPかINTPかで迷っている時、FとT単体で比べるのではなく、比べる対象以外が自分の性格候補とは逆のESFJとESTJで比べてその相違点から自分はFかTか判断をするというもの。
双方のタイプの違いがよく理解できない場合は公式で使われているこの方法を使えば、MBTIを模したサイトでの自己診断でも十分信憑性があるだろうと私は考える。
それから、キャラクターや有名人に対して客観的にMBTIを予想することは本来の主観的であるべきMBTIの趣旨とはかけ離れているけど、私としてはそれはエンターテイメントの一つとして良いと思う。
もっと言えば、主観的なMBTIと客観的なMBTIの2種類があっても便利で良いんじゃないかな?と思う。(これはSTJに怒られちゃう発言だな……)
ただ、他者のMBTIは「予想」や「印象」であって「心の働き」ではないということは理解しておいてほしい。
……あっ、ここで話しているのは他人や版権キャラについてであって、自身の創作キャラになりきって回答しているなら自分のタイプと同じくらい正しいと思います!
私の意見としては、MBTIを元にして生まれた性格診断は決して偽物ではなく新しい流派であると思う。
ただ、派生サイトでの診断をMBTIだと信じている人は、歴史の学習をするような感覚で元になったものについても知識を持っていた方が得だと思う。「へぇー、マリー・アントワネットはパンが無ければケーキを食べればいいじゃないとは本当は言っていないなんて!」程度の感覚で。
そして派生ではなく本来のMBTIに限りなく近い結果を出したいのなら以下の内容を理解してほしい。それらのサイトで出た「単語で例えると」というものや好き嫌いの傾向に囚われて本来の心理機能を見落としていたらミスタイプが多発するだろうし、一つ一つの要素も心理機能も全てよく理解した上で自分に最も近いタイプを選んでいるのなら、MBTIを模したサイトでの診断を元にした自己診断でも本来のMBTIと同じ結果がほぼ出るということ。
一つのサイトに囚われていてはそのサイトの偏見には気づけないので、一つの診断サイトだけではなくそれぞれのタイプについて詳しく説明がされているサイト(できればMBTI認定ユーザーが書いた記事が望ましい)にもいくつか目を通して自分がどれに近いのか調べる方法が一番本来のMBTIに近い結果が出ると期待できる。
あとそれは「限りなく近い」「ほぼ同じ」であって「全く同じ」ではないことを心に留めておいて下さい。
by 本来のMBTIを受けてみたいけどお金が無くて受けられないからそれに限りなく近い結果を出す方法を探索している人
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?
コメント