蓮舫候補の二重国籍問題については、未だに色々言われますので、私なりに事実関係を整理し、私見を述べたいと思います。
①1967年11月 蓮舫氏、謝哲信(台湾人。但し1895-1945年台湾は日本領であり、1931年生まれの謝哲信氏は戦前の11歳迄日本人)と齊藤桂子(日本人)の子供として東京で出生。以後東京で育つ。この時日本の国籍法は父系の血統主義で、蓮舫氏は台湾籍となる(日中国交正常化で、日本の公式見解において台湾が中国の一地域となるのは、1972年)
②1985年1月 国籍法改正。母系と血統でも国籍が取得できる事となり、蓮舫氏(当時17歳)、父の手続きで日本国籍取得(この時「中国(中華人民共和国)籍」は、元より記録が無く、仮に観念的に存在しても、中国国籍法9条により自動喪失したものと思われる。台湾籍は記録として残ったが、日本政府の公式見解では、国籍扱いではない。)。二重国籍となる。
③1987年11月以降 国籍法17条の国籍選択宣言の義務に違反すると考え得る状態になる(但し③の事情により、この時蓮舫氏が同条に定める「外国の国籍を有する日本国民」であったかどうか微妙(台湾の記録は、日本の政府の公式見解によれば「外国の国籍」ではない。)
④2016年9月23日 台湾から9月13日付の国籍喪失許可証書を受領
⑤2016年10月7日 戸籍法106条に基づき国籍喪失届を出すが不受理(日本政府の公式見解において台湾は国籍ではない事によると思われる)。
⑥2016年10月7日 国籍法14条の後段、戸籍法104条の2に基づき、外国籍を放棄する「選択の宣言」を行い、その旨が戸籍に記載される。
⑦2017年7月18日 記者会見で、戸籍を示し経緯を説明
となります。
1987年~2016年までの29年間二重国籍状態と考え得る状態であった事、又2016年~2017年7月18日までの蓮舫候補の説明が多少なりとも不明確で揺らいだ部分もあった事は否定できず、それは残念だったお思います。
但し、それについては蓮舫候補は⑦で明確に説明・謝罪しており、解決済みだと思います。
その上で、そもそも上記の通り、蓮舫候補が17歳で父の手続きで母の血統に基づいて日本国籍を取得した際、台湾は既に日本政府の公式見解において「国」ではなくなっており、仮に中国(中華人民共和国)籍が観念的に存在していたとしても、中国国籍法9条によって中国籍は自動喪失しているので、そもそも法的に二重国籍ではなかったと考えられます(これは、⑤の法務省の対応でも裏付けられています。)。
そうだとすると、当時手続きを行った蓮舫氏の父、謝哲信氏が17歳の蓮舫候補にその様に説明し、蓮舫候補もそう考えていた事はごく自然な事です。
その後、グラビアアイドル時代やキャスター時代に、蓮舫候補が二重国籍であるかのような発言や記録が残っていますが、当時日本経済が絶頂期を迎え「世界の中の日本」が謳われる中で国際的である事に大きな価値が見いだされ、蓮舫議員は「エキゾチック」なイメージで売り出しており、上記の様な複雑な状況を捨象したイメージ戦略の一環であったと思われます。
結論として、蓮舫候補は、戦前11歳までに日本人であった父と、日本人の母の間で、日本で生まれ、日本で育ち、敗戦による法制度のはざまで出生時は台湾籍となったものの、17歳には日本国籍を取得し(この時「台湾籍」は国籍ではなく、観念的に中国(中華人民共和国)籍があったとしても自動喪失していると思われる)、その後1987年以降「国籍選択届」を出す法的義務が本当にあったのか、国籍選択届を出さなければ「二重国籍」だったのかは非常に微妙な問題であり、仮にそれを実行しなかった事に、若さ故の不注意が批判される事は有りうるとして、何か言語道断の事であるかのように言うのは、私は違うだろうと思います。
人は、大きな時代の流れに翻弄されて生きているのであり、その中で、一生懸命生きてきた人の人生に対する評価は、事実に基づいてなされるべきものだと思います。このサイトをご覧になった皆さんには、是非上記事実に基づいて、冷静な評価をと思います