ふじみ野市の東台小、わずか16年で閉校 マンモス校から分離も児童減少 来年度から東原小に統合

2024年5月30日 07時42分
 埼玉県ふじみ野市は児童数の減少が続く同市大井の市立東台小学校(児童数106人)を、来年度から北隣の東原小学校に統合することを決めた。東台小は2009年、マンモス化が進んでいた東原小から分離する形で開校したが、その後児童数の減少が続いていた。築年数が浅い校舎について、市は「閉校後は教育資源として活用したい」としている。公立小学校が開校からわずか16年で閉校するのは異例。(中里宏)
太陽光・風力発電、木質化などを採用した東台小学校の4階建て校舎。合併特例債を利用して建てられたという=ふじみ野市で

太陽光・風力発電、木質化などを採用した東台小学校の4階建て校舎。合併特例債を利用して建てられたという=ふじみ野市で

 市学校教育課によると、1993年の東武東上線ふじみ野駅開業と周辺地区の区画整理事業による人口流入で、東原小学校の児童数は2005年には1200人を超え、教室不足をプレハブ校舎で補う状態となった。09年の東台小学校の開校で東原小学校の児童数は613人(19学級)に約半減。東台小学校も474人(16学級)でスタートした。
 子育て世代の流入が続いたふじみ野市だが、周囲が市街化調整区域になっている東台小学校では児童数の増加は見込めず、逆に年々減る一方となり、来年度には100人を切る見通しとなった。特別支援2学級を除くと1学年1学級。1学年十数人から20人前後の少人数で6年間クラス替えができないため、人間関係で問題が起きると対応が難しいほか、男女比率が1対3以上の不均衡な学級もあり、弊害が見過ごせなくなった。
 市教育委員会は22年度から両校の教職員、保護者らを中心にした地域懇談会などで課題を検討。今年2月の「再編成が適切」とする学区審議会の答申を受けて、3月の臨時教育委員会で統合を決めた。
 答申に基づき、市教委は今後、両校の交流授業や合同運動会、授業参観などで交流を支援。統合後は東原小に臨床心理士の資格を持つスクールカウンセラーを市費で常駐させ、子どもたちの心のケアを図る方針。
 市は東台小児童に東原小体育着を支給する費用や東原小の2階建てプレハブ校舎を4階建て校舎に建て替える費用など約7億6千万円を盛り込んだ補正予算案を6月議会に提出する。
 東台小の開校後に就任した高畑博市長は27日の定例会見で「(東台小をつくらず)プレハブ校舎で数年がまんすれば、東原小のマンモス化は乗り越えられたかもしれない。学区の見直しもできなかった」と話した。

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