地球に遊びに来たんだった。
熱海の家を誰でも使えるように開放している。今日からまた自由に使えるようになった。家にあるものは風呂も台所も寝具もトイレも好きに使って構わない。玄関に出し入れ自由の財布が置いてある。余裕がある人はお金をダンク、余裕がない人は好きな額を自由に持っていけばいい。家を開放して十年近く経つが、財布の中身がからっぽになったことはない。不安や心配の九割は起こらない。自由に使える家が世界に幾つかあったら、今よりも少し大胆に生きることができるのではないか。ならないか。まあいいや。他の利用者と被ると大変なので、家を使いたい人は事前に連絡をしてもらえると助かる。
家に鍵はかけていない。盗もうと思えば幾らでも盗める。私が気づいていないだけかもしれないが、盗まれたことはない。むしろ、増える。久し振りに家に帰ると、前はなかったものがある。鍵を開けていて、困ったことはない。あると言えば、風呂上がりに全裸でうろついていたら、突然の来訪者が「こんにちは!」と言って玄関を開け、全裸を目撃されたことくらいだ。アクシデントに慣れると、ちょっとやそっとじゃ動じなくなる。全裸で堂々としていると、目撃した方が狼狽えて「すみませんでした!」と言って去る。そのまま、その人は二度と戻って来なかった。裸を見られることに抵抗はない。
一ヶ月先とか一週間先とかわからない。来週熱海にいますかと聞かれてもわからない。今日か明日。それ以降のことはわからない。家族旅行で熱海に行きたいから来月家が空いていたら使いたいとか言われても断る。緊急避難民はある日突然誕生する。そのための空間。来週の水曜日に何を食べたいかと聞かれても困る。わかるのは、今、何を食べたいかだけだ。今、この瞬間、熱海の家を使いたい人が使える。来月とか来週とかない。いつかとかない。毎日が最後。困っている人だけが使える訳ではない。ただただのんびりしたいから、静かな場所に行きたいから、坂爪圭吾に会いたいから、など、理由はなんでもいい。今日か明日。それ以外はない。
熱海は面白い町だ。住民全体が省エネで、接客業従事者も「ありがとうございます」とあまり言わない。東京より対等で、大阪よりドライ。都会から来た人は怒り出す人もいるが、タイやベトナムで同じことをされても腹は立たない。日本だと思うから腹が立つ。日本だと思わなければ異文化体験になる。怒るのは自分の器が小さいから。受け入れると広がる。面白がると更に広がる。価値観は様々。命を大事に扱う国もあれば、命を軽く扱う国もある。必ずしも重く扱うことだけが良いとは限らない。命を大事にし過ぎるあまり、身動きが取れなくなって袋小路にはまる時がある。自由は重さを解放する。なるようにしかならない。なるようになる。ある種の諦めと共に、心地よい風が吹き抜ける。
生きていれば色々なことがある。色々な気持ちになる。家を開放していたら大変な目に遭うことはないのですかと聞かれる。当たり前のことを聞くな。俺たちは、無傷で墓に入るために生きている訳じゃない。問題がない場所があるとしたら、そこは墓場だ。傷つかないために生きている訳じゃない。失敗しないために生きている訳じゃない。逆だ。俺たちは、傷つくために生まれてきた。失敗するために生まれてきた。生者は、死者に向かって「安らかにお眠りください」と言う。だが、死者は、安らかになんて眠らない。こっちの世界の旅を終えたら、あっちの世界の旅に行くだけだ。死者は、時折、私たちの夢の中にあらわれて「お前は幸せか?」と聞く。俺は達者にやっている。お前もせいぜい達者にやれよ。それを聞いて思う。ああ、そうだ。俺たちは、地球に遊びに来たんだった。
坂爪さん、ありがとうございました!
お会いできて嬉しかったし、楽しかったです!プレゼントもありがとうございました😆
ほぼ何にも予定のなかった1日が、突然スペシャルになりました。計画しないことも、大切ですね😊
今度はパエリアとワインで、また楽しいお話聞かせてください😁
このあとも、ますます良い1日になりますように!
おおまかな予定
6月20日(木)静岡県熱海市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
バッチ来い人類!うおおおおお〜!
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