序章:研究者が仲間からの信頼を失うとき

先日、宮沢孝幸先生が次のような書き込みをされました。

実際には、研究者の大多数が間違えた場合は、間違いは致命傷にはなりません。一方、研究者としてそれを言ったら仲間から完全に信頼を失う場合もあります。それは科学の基本を忘れたような間違いをしたときです。最近で言うと、この動画に登場する吉野氏の発言がそれに該当します。

特許も遺伝子データベースも、元はRNAでも登録はATGCですることは、生命科学においては基本中の基本です。吉野氏はそれを知らず、隣にいた村上康文東京理科大学名誉教授もそれを訂正しませんでした。この種のことをすると、研究者の世界の人間は誰も相手をしなくなります。

研究者にとって研究者仲間の信頼を失うことは致命傷になるので、基本的な間違いをしないように非常に注意深くなります。それを象徴するのが新田剛先生の以下の動画です。

新田先生は自身の間違いに気づいたときに、すぐに訂正配信をしました。この気持ちは私には非常によく分かります。科学者も人間ですから、しばしば間違えます。それに気づいたときはできるだけ早く修正したい気持ちになるのは、研究者が共通してもつ習性だと思います。

最近、荒川央先生が私に対して事実と異なることに基づく誹謗中傷・名誉棄損を繰り返しています。これについては次回以降詳しく取り上げますが、私が荒川先生に批判的な発言をしたことが気に障ったようです。私が荒川先生に対する信用を完全に失ったのは、以下の荒川・新田対談(スペース)でした。

これを聞いて、荒川先生は科学を完全に捨ててしまったのだなと私は思いました。定量性の議論は意味がないというのでは、科学的方法論そのものの否定です。昨年の分子生物学会でもこのスペースが話題になり、みな私と同様の感想を持っていました。

このスペースの討論が開かれることになったmRNAワクチン残留DNA問題の最初の経緯は、現役匿名生命科学者によるこのスレッドにまとめられています。

残念ながら、荒川先生はもう生命科学の世界では色物としか見られないと思います。コロナ禍初期には、ワクチンの抗原原罪などについて科学的な発信をされていただけに、この変貌ぶりに大変落胆しています。私がこのスペースを先に聞いていたら、荒川先生と一緒に論文を書こうとは声をかけることは絶対ありませんでした。ただ、科学者以外の方々の意見は正反対のようで、荒川先生を支持する人が少なくないことに驚きました。

一般の人たちは、残留DNA問題を「宮沢・新田派 vs 村上・荒川派」といった構図で捉えているようです。私は宮沢・新田派の一員であると。でも政治と違って科学に派閥はありません。たしかに、私は宮沢先生、新田先生と情報交換をよくしますが、個別の問題では科学的に意見が対立することが多いのです。たとえば、Bruttel et al.

を巡っては、宮沢先生、新田先生は否定的、私は肯定的で意見が対立していた。その後、証拠となる資料が出て、みな肯定的意見になりました。また、オミクロン株起源について、宮沢先生は意図的流出、私は事故による流出との見解だった。その後、私自身で解析を進めて、宮沢先生の説が正しいことを示すデータが出たので、今度は私の方が意見を変えました(その解析結果は今後学会やプレプリントで発表予定)。一時は意見が対立していても、科学的方法論をとるという点で一致していれば、いずれは新たな証拠が積み上がって合意が得られるものです。実際、科学はそうして進歩してきました。この辺りが一般の方々にはよく伝わっていないのかもしれません。

私は学会での議論が大事だと繰り返し言っています。そう言うようになったのは、荒川・新田スペース対談の影響が大きいです。基本知識がある人を聴衆にしないと、素人を騙すことが目的の議論になりかねません。

残念ながら新型コロナウイルスへの対応で、一般の人たちの学会に対する信頼は大幅に低下しました。医学系の学会は金儲けに走り、真理の探究を蔑ろにしました。そんな学会を誰も信用しなくなるのは無理はありません。

ですが、学会の中枢部は腐っていても、個々の学者には学者としての良心やプライドが少しくらいは残っています。私や宮沢先生は、新型コロナウイルス研究所起源説を言うなど、学会としては異端の意見の持ち主です。でも科学の方法論は踏み外していない。だから、学会に行くと意外に味方が多くいます。2022年に最初に分子生物学会で発表したとき、私の研究所起源に賛同する聴衆が多いので肩透かしを食らったのをよく覚えています。影ながら応援していると言ってくれる学者も少なくありません。

真理の探究より金や政治が優先されるようになった学術界の中で、対面で行われる学会は最後の希望になっています。論文誌の査読は完全に政治化しています。新型コロナ起源問題でも、天然起源を主張する論文は科学的方法論の適用に誤りがあっても次々メジャーな学術誌に掲載され、一方研究所起源を示唆する論文はほとんど査読を通りませんでした。ただ、学会だけは違います。分子生物学会でもウイルス学会でも、私は発表を許されました。

最近も西浦博教授の論文を批判する論文を書きましたが、

査読に回してくれる学術誌はなかなか見つかりませんでした。一方、感染症数理モデルを再検証するシンポジウム開催を西浦博教授のホームグラウンドである数理生物学会に申し込んだところ、これは許可されました。対面の学会は、健全な学術的議論を行う場を維持するための最後の砦なのです。コロナ禍で学問が歪んだ理由の一つは、感染症対策のため対面の学会ができなくなったことの影響も大きいです。対面の学会では、休憩中やポスター発表会場の一対一の情報公開で、それぞれの研究者の本音を聞くことができます。誰もが表では話さない新型コロナ研究所起源を、本音では支持している学者が多いことを確認できたのも、対面の学会が行われるようになってからでした。

私は今後も学会での活動に重点を置きたいと思っています。本来なら残留DNA問題も学会で議論すべきでした。ところが、村上先生や荒川先生はSNSで生命科学の知識に乏しい人たちを扇動する活動に終始した。今後も学会でこの問題を主張する気はないようです。大変残念に思います。

荒川先生は私に対して研究不正の嫌疑をかけていますが、このやり方も研究者の常識に反する点が多くあります。ある論文に問題があると考えた場合は、プレプリントの場合はそれが公開されたらすぐにサーバーの運営者に、学術誌の場合は学術誌の担当者に速やかに連絡するのが科学界の正規の手続きです。あるいは、所属機関や研究費配分機関への通報をすることもできます。たとえば、科研費を配分する日本学術支援機構には以下のような告発受付窓口があります。

なぜ、荒川先生はこういう正規の手続きをとらなかったのか。上のページには「告発等が悪意に基づくものであることが判明した場合には、告発者の氏名の公表、刑事告発等が行われる可能性がある」と記載されています。それを恐れたのではないかというのが私の推察です。

次回以降、荒川先生の主張に対して具体的かつ詳細に反論します。もともとはすぐに法的手続きに移行する予定でしたが、先方が海外在住のため、その前にクリアしなければならない課題が多くあります。そこで、noteでの反論を先行させることにいたしました。荒川先生のnoteは事実と意見が混濁しています(その意味でも、とても科学者が書いた文章とは思えません)。私は事実と意見は明確に分ける形で書きたいと思っています。客観的な論文調の文章にするため、次回からは「です・ます」調ではく、「だ・である」調で書き、敬称は「氏」に統一いたします。メールの量は膨大なので、10回以上続くシリーズになる見込みであること、ご容赦ください。

序章:研究者が仲間からの信頼を失うとき|hkakeya
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