スクウェア・エニックスは2024年11月14日に、HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』を発売します。対象機種はニンテンドースイッチ/PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam / Windows)となっており、美しく現代に合わせて生まれ変わった勇者ロトの冒険を様々なプラットフォームで楽しめます。
Game*Sparkではアメリカで開催されたプレビューイベントで一足早くデモ版をプレイさせていただいたので、一体なにが変わったのかをご紹介します。
HD-2Dで生まれ変わる『ドラクエ3』
HD-2Dとは、美しい3Dの背景にドット絵で描かれたキャラクターやオブジェクトを配置することで、懐かしさと現代的な美しさを融合させたスクウェア・エニックスが開発した表現技法です。今回のリメイクでは、この技術によって暖かみのある原作のドット絵の雰囲気を保ちつつ、奥行きと立体感を感じさせる3D背景や、現代的なライティングとシェーディング効果により、鮮やかで荘厳なビジュアルを実現しています。
プレビューイベント会場では写真撮影が禁止だったので掲載できませんが、『ドラクエ3』に登場するキャラクターたちが新しく描かれた大きなイラストがズラリと並んでいて圧巻。さらに『ドラゴンクエスト』の生みの親であるゲームデザイナー堀井雄二氏とプロデューサーの早坂将昭氏からのビデオメッセージが再生され、2021年に発表されてから音沙汰がなかった今作が本当にリリースされるのだと期待が高まります。
ストーリーは原作を準拠しながら、堀井雄二氏監修のもと手を加えられているとおっしゃられていました。DS版『ドラクエ4』ではピサロ生存ルート、『ドラクエ5』では「ビアンカvsフローラ戦争」に新たな火種「デボラ」を投入したり、3DS版『ドラクエ8』ではゼシカと結婚ENDを実装などの過去を持つ堀井雄二氏ですから、今回は一体どんな隠し玉が待っているのでしょうか?
鳥山明先生とすぎやまこういち氏に捧ぐ
『ドラゴンクエスト』シリーズのキャラクターデザインは、先日亡くなった鳥山明先生が携わっており、会場に展示されているイラストには鳥山先生のプロダクション「バード・スタジオ」の表記もありました。そんな中でプレゼンテーションが終わり、デモ版をプレイする前に質疑応答の時間が設けられました。筆者はイベントへの招待をいただいたときからずっと聞きたかった、「本リメイクに鳥山明先生は関わっていたのか?」を質問しました。
そして担当者の方からは、下記の回答をいただきました。公開されたキーアートも、まさにSFC版のデザインを踏襲したものとなっており、リスペクトが感じられます。
「鳥山先生は直接携わってはいませんが、開発スタジオの株式会社アートディンクとスクウェア・エニックスのチーム浅野は鳥山先生の影響を大きく受けており、全てのアートスタイルは鳥山先生を模倣し、作品全体で鳥山先生へのリスペクトを表しています。まだ公開していないキーアートも鳥山先生へ感謝と哀悼の意を表現した素晴らしいものとなる予定です。」
また、楽曲の方はすぎやまこういち氏が残した原曲を東京都交響楽団が演奏しており、新作でありリメイクでもある本作から両者への敬意が感じ取れて、楽しみが俄然増しました。
過去と現代が調和した懐かしくも荘厳なグラフィック
本作を制作するにあたり、原作の世界は現実世界の各地域をモチーフにしていたコンセプトを引き継ぎ、「世界旅行感」をキーワードとし現代のハードウェア性能にそれぞれの地域らしさを発揮できるようにHD-2Dをフル活用したとのことです。
デモ版でプレイできたのは、アリアハンで王に謁見してどう考えても勇者を信用していないお約束の支援キットを受け取り、まずはレーベに向かって「とうぞくの鍵」を入手しようという段階からとなります。
グラフィックはさすがに力が入っており、過去に何度もプレイした『ドラクエ3』の新たな一面が覗けます。とくに光の表現が美しい。今回プレイしたのはPS5版でしたが、「グラフィック優先」と「パフォーマンス優先」の2つのモードが選べました。ドラクエもフレームレート重視の時代か、と時の流れを感じました。
しかし、基本的なゲーム性は『ドラクエ3』らしさを残しており、敵との戦闘などに違和感は一切ありません。まさに過去と現代の融合と言えます。
現代らしい快適さ
グラフィック以外にもゲームの細かい面に調整が入っています。まずは難易度設定が導入されました。
これまでの難易度は「バッチリ」、イージーモードの「らくちん」は戦闘不能にならず、与ダメージはアップして、一部のボスにあったHP自動回復がオフになります。ハードモードの「いばらの道だぜ」は全てのボスのHPがアップ、被ダメージアップ、経験値とゴールド低下、弱点ダメージ低下。ためしにこの状態で一角ウサギとスライムx3のグループを倒してみたところ、経験値とゴールドがそれぞれ3しかもらえませんでした。まさに茨の道。
セーブはいつでも可能になり、オートセーブも追加。セーブしてくれるキャラクターも城と教会以外にも点在するようになりました。また、冒険の書が複数ある場合は他の冒険の書からおたすけキャラを一人だけ呼ぶことも可能になりました。おたすけキャラはレベルは上がらず装備品も変更できませんが、家族間でのキャラクターのやり取りもできるのは、父と子のストーリーを描く『ドラクエ3』らしさも感じます。
この他にも『ドラゴンクエスト6』で導入されたNPCの発言を記憶したり、目的地やクエストガイド、移動速度や戦闘速度の変更、宿屋での定型文スキップや時間変更などなど、今どきのゲームらしい変更点が加わっています。
予想以上の新鮮さ!
各キャラクターも男女の性別が用意されており、今作にも各キャラに「性格」が付与されています。「性格」はレベルアップ時に上がりやすいステータスに影響があり、アクセサリーを付けたり本を読むことで性格を書き換えることも可能です。過去作では伸び率が飛び抜けている「セクシーギャル」が選べる女性キャラが有利でしたが本作ではどうなるのでしょうか。
一通りプレイしたあとは改めて質疑応答があり、プラットフォーム限定コンテンツの有無も聞いてみましたが、現時点ではその予定はないとのことで一安心です。
本リメイクを触ってみると、新しいグラフィックと現代風に生まれ変わった操作性が快適で、新しく追加されたストーリーが気になり先が見たい、もっと遊んでいたいという気持ちが残ったまま、プレビューイベントを後にすることになりました。
『ドラゴンクエスト3』はこれまでに何度もリメイク作品がリリースされており、正直に言うと少し食傷気味でしたので、この結果には自分自身驚きです。発売されたらどのプラットフォームで遊ぼうか新しい悩みのタネができてしまいました。
HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は、ニンテンドースイッチ/PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam / Windows)向けで2024年11月14日に世界同時発売を予定しています。
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