知的障害や精神障害のある大阪市平野区の男性=当時(36)=が自殺したのは自治会の班長選びをめぐり、障害者と明かす文書の作成を強要されたためとして、男性の両親が自治会と当時の自治会長ら2人に計2500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、大阪地裁であった。林潤裁判長は、自治会側の対応を違法と認定し、精神的苦痛への慰謝料などとして計44万円の賠償を命じた。
判決によると、男性は平野区の市営住宅で障害年金などを受給しながら1人暮らしをしていた。令和元年11月、自治会が班長を住民からくじ引きで選ぶ際、障害を理由にできないと伝えたところ、住民に説明するためとして、同24日に役員との話し合いの場で「しょうがいかあります」(原文ママ)、「おかねのけいさんはできません」などと紙に書かされ、翌25日に自殺した。
林裁判長は文書が班長業務とは関係のない内容にまでおよび、自治会側が使途を明確に説明していなかったことから、男性に不安を与えたと指摘。「障害の有無や内容などを秘匿する権利を侵害し、社会的相当性を明らかに欠いている」として、自治会側の対応を違法と認定した。
原告側が訴えていた文書の作成と自殺との因果関係については、男性が後の集会で住民にあいさつをして理解を求める予定だったことが心理的な負担になった可能性もあることなどから、「自殺に至ることは予見できなかった」として認めなかった。