傍に立つ君は完璧で究極のアイドル 作:カミキヒカラナイ
気が付いたら総合評価16000超えててUA数に至っては500000超えてて腰抜かしました。
50万ってあれだぞ……50万だぞ!? 「私の
こんな小説を読んで下さる全ての方に感謝申し上げます。今後とも拙作をどうぞよろしくお願いいたします。
この日、
死神とは、この世のものとは思えぬほど美しいカタチをしているのだと。
壱護は深く長く呼吸した。唇が震えて息が間の抜けた音を立てる。
寒々とした青い月が見下ろす夜の廃病院、その一室で壱護は静かに震えていた。人の世の埃と影とを塗り固めたような寂れた廃墟に似つかわしくない、差し込む月影の冷淡さとは対極にある熱量が眼前に佇んでいる。
霊性を帯びた静寂が辺りを包む中、震える壱護の前に立つのは一人の少年だった。しかし壱護が目の前の存在をただの少年、ただの人間であるなどと勘違いすることはあり得ない。
峻厳として屹立する天境山脈の鋭峰が如き存在感。まるで人の世の歴史そのものを冷酷な高みから見下ろすような荘厳にして静謐の眼差し。その瞳に灯すは星空の如き紫紺の虹彩。少女のように儚い矮躯に恐るべき迫力を宿し秘めるその怪奇……あるいは魔魅。まるで夜空が人の形をとって目の前に降り立ったかのようだ。
かような超常の気配を前にして平静でいられるはずもない。強く深く妖しく灯る魔性の紫色に見下ろされ、壱護は眩暈に襲われるほどの恐怖に震えていた。
壱護がその瞳を見紛うはずがない。夜空の高みと深みとを結晶化したようなその星の瞳を、他ならぬ彼こそが最も間近で目にしてきたのだから。
「そこにいるのはお前なのか……アイ……」
まるで魔力の夜空に浮遊しているかのような怖気に精神の均衡を崩されながら、壱護は
アイ。かつて壱護が導き、そして消えていった星のような少女の名を口にする。眼前に屹立する人ならざる気配を放つ何者かは、アイと同じ色の瞳にアイと同じ星空の輝きを宿していたのだ。かくの如き怪力乱神を前にして、これがただの偶然の一致であると思えるほど壱護は能天気ではいられなかった。
壱護は廃墟の一室で何の拘束も受けずに簡素なパイプ椅子に座らされている。しかし彼は拉致同然の扱いを受けながら微塵もこれに抵抗する気が起きなかった。当然である。人智及ばぬ霊妙を目の前にした時、人は自ずから畏まり敬うものだ。大自然の絶景を仰いで己の傲慢を増大させる者など痴れ者の中の痴れ者である。壱護はまるで沙汰を待つ罪人の如く静かに項垂れていた。
きっとこれは罰なのだろう。何の疑いもなくアイの輝きを永遠のものであると勘違いし、その恩恵を貪るばかりだった愚かな男への罰だ。眼前に現れたアイの似姿がその証明である。
「俺は結局、アイツに何もしてやれなかった……」
アイの齎す栄光に酔いしれ舞い上がるばかりで、肝心な時にその場にいてやれなかった己の罪を吐露する。それは血を吐くような懺悔だった。もっと何かできた、できることがあったはずなのにと。
星を
果たして願いは聞き届けられた。これまでの人生で一度として神に祈ったことのない壱護は、この日初めて神に感謝した。アイと同じ星の虹彩を宿したその瞳、神気を放つが如きその美貌。これこそはまさに──天が壱護のために遣わせた死神に相違ない。身の毛立つような恐怖と震えるほどの歓喜に戦慄しながら、壱護は救いを求めるように美しき死の遣いを仰ぎ見た。
「アイが死んだことが認められなくて、アイを殺した奴が許せなくて、俺は復讐に逃げた。事務所もミヤコもアクアもルビーも、何もかも捨てて復讐に逃避した。なのに十年経っても犯人の足取りは掴めないまま。ただ日毎に後悔が膨らむばかりだ」
「頼む。アンタが死神だって言うなら……このどうしようもない男を……」
「俺を、殺してくれ……」
どうしよう。これまでどうしていたのかとか素直に話してほしいだけだったのに。
ちょっとだけ脅かすつもりで威圧したら急に泣き出した上に「殺してくれ」とか言われちゃったんですけど。何か僕のことを死神とか言い出すし……アイ! これはいったい……!
『知らん……何それ……怖……』
アイも大の大人が急に泣き出したことでドン引きしている。投げ出さないでくれよあなたの社長でしょ。
まあ言動から察するに、彼はずっとアイを失ったことを後悔し続けてきたのだろう。しかもアイを刺殺したストーカーの裏に教唆犯がいたことにも気付いている様子だ。
『別に私がくたばったのは佐藤社長のせいじゃないんだけどなー』
アイドルがくたばるなんて言うんじゃありません。あと佐藤じゃなくて齋藤ね。
『ミヤコさんを捨てたこと怒ってやろうと思ってたのに、そういう空気じゃなくなっちゃったね。なんか梯子外された感じー』
ちょっと意外だ。アクアとルビーを、ではなく?
『それもあるけど、元々二人の面倒を見てくれてたのは夫人の方だったし。まあ社長なりに二人を可愛がってくれてたのは知ってるけどさ。……そんなことよりミヤコさんだよ! 結婚までした女を捨てるなんて信じられない! 残された方がどんな気持ちでいたことか!』
プンスカと怒りを露わにするアイ。義憤というやつだろうか。彼女がここまで直截に怒りを表に出すのも珍しい気がする。
『おっ死ぬ前の私ならいざ知らず、今の私は愛を知り恋を知ったスーパーアイドル星野アイ! 愛する人に置いていかれる悲しみは痛いほど理解できる! 私だってシオンが黙ってどっか行っちゃったら悲しくて悲しくて こ の 国 滅 ぼ し ち ゃ う か も 』
「やめてね?」
自在に物理干渉できる癖して自分自身は霊体故に物理完全無効で核ミサイルさえ素通りするという、厄介度合いでは下手したら僕以上なのが今のアイだ。そんな人物の日本滅ぼす発言など冗談だとしても怖すぎる。
とはいえ、元社長……壱護さんがここまで追い詰められてしまったのはアイが殺されてしまったからだ。最大の被害者であるアイにこう言うのは
前を向いて生きているアクアやルビーと違って、彼の時間は十二年前に止まったままなのだ。
『そうだよねー。アクアとルビーはちっちゃかったからよく覚えてないかもしれないけど、社長にとってはたった十年前のことだもんねー……』
俯いて
しかし何故だろう、心做しかアイの口ぶりは少し嬉しそうだ。
『いやぁ……不謹慎かもしれないけど、ちょっと嬉しくって。愛されてたんだなぁ私……って。当時は全然、何も分かってなかったけど』
確かにその通りだ。ただの社員、ただの商売道具として見ていたなら十年以上も引き摺るようなことはしない。
愛していたからこそ許せなかったのだ。アイを殺した何者かを、そしてアイを守れなかった自分自身を。
さて……どうする、アイ?
『うーーーん……実体化できるようになってから満を持して「ジャジャーン! アイでーす★ おっひさー元気してたー!?」なんて悠長なことしてられる感じじゃないよね〜』
そうなる前に首でも括りそうな勢いだ。というか今までは復讐に熱中することで目を逸らしていた感じだったのに、僕を前にしたことで苦しみを思い出してしまったという様子だ。完全にトドメを刺してしまった形である。……僕ってそんなにアイに雰囲気似てるのだろうか。
『しょうがないかぁ。信じてもらえるかは分からないけど、私がここにいるってことを伝えるしかないよね?』
それしかあるまい。少なくともこのまま彼を放置して良いことになるとは思えなかった。
さて、どう説明したものか。とりあえず、僕が死神でも何でもないということを理解してもらわなければ……
「……するってぇと、何だ。お前さんは死神でも何でもなくて、しかもアイは幽霊になってそこにいる。俺のことはアイから話を聞いて知った……と」
「そういうことになります」
殺してくれbotと化して泣き喚く壱護さんを何とか宥め
さて、これを聞いた彼はどう出るか。素直に信じるか、出鱈目だとして激昂するか……固唾を呑んで僕とアイが見守る中、一つ深呼吸した壱護さんは──優しい目をして僕に微笑んだ。
「そんな優しい嘘を吐いてまで俺を憐れんでくれるんだな……だがこんな男に気を遣う必要なんかない。愛が欲しいだけの普通の女の子だったアイを芸能界に引き込んで、挙句あんな形で死なせちまったのは俺の責任だ。俺が地獄に行くしかねぇんだ。アンタはそのために来たんだろう?」
「え?」
「アイと同じ髪と瞳の色、そしてアイと全く同じ星の……ああ、世界すら騙くらかす嘘吐きの目だ。ここまでの符合が全くの偶然だなんてそれこそ嘘だぜ。何か超常的な、人智の及ばない何がしかの作為によるものとしか思えん」
だ、ダメだ……! この人、完全に僕が死神だという前提で理論武装してる……! 結論ありきでしか話を理解しようとしていない!
『もう望み通りぶっ殺しちゃえば良いんじゃない? 魂がどっか行く前なら
真顔でなんてこと言うの。そういう物騒なのは最終手段にとっておきなさい。
『それにしても案外鋭いなぁ社長。シオンの嘘……演技? に初見で気が付くなんて』
仕方がない、ベタだけどアイしか知らないような壱護さんのエピソードを語ってみよう。それで信じてもらえるかもしれない。
『うーん、何かあったっけ……あ、社長は森伊蔵のお酒が大好きで、ドーム前日にも飲んでたのよね。アクアを小脇に抱えて盛大に酔っ払ってたっけ』
「なるほど……壱護さん、あなたはドーム前日の夜に森伊蔵の焼酎を飲んでいたそうですね」
「流石は死神だ、その場にいなかったのにそんなことも分かるなんて……」
「叩けば直るかなこの人」
『ステイ、シオンステイ。古いテレビじゃないんだから叩いても直らないし治らないよ』
すまない、ちょっとだけ面倒くさくなってしまった。
もういいや、声を聞かせられないなら文字で言葉を伝えよう。スマホで文字打ってそれを見せてあげて。アイ本人だと分かるように、なるべく素に近い感じの明るい文面でよろしく。
『らじゃらじゃ。えっと、「わっぴー★ アイでーっす! 佐藤社長元気してたー?」っと……』
僕の服のポケットに入っていたアイ用に買ったスマホを取り出し、タッチペンを器用に使って文字を打ち込むアイ。傍目にはスマホとペンが独りでに浮遊して動いているように見えるため、それを目にした壱護さんはぎょっと目を剥いた。
「す、スマホが勝手に……え、これをアイの幽霊が操作してるってのか……?」
「そうです。ほら、この馬鹿っぽい文章が実にアイらしいでしょう?」
「た、確かに……! この知性も遠慮も感じられない文面は実にアイっぽい……!」
『おいコラ誰がダチョウにも劣る脳足りんだって?』
そこまでは言ってない。
だが、お陰で壱護さんも多少はこちらの言うことを信じる気になったらしい。ふわふわと浮遊しているスマホ……アイの霊体がいる位置を目を見開いて凝視している。
「ほ、本当にアイなのか……? そこにいる……? 幽霊になったって、意識はハッキリしてるのか……?」
『もー絶好調! シオンから毎日エネルギー貰ってるお陰で生身の身体がないこと以外はすこぶる元気!』
だかだかだかとタッチペンが踊り、スマホの画面に文字が打ち込まれていく。タッチパネルがアイの指を認識してくれないため使い始めたタッチペンだが、流石に何年もペンを使っての操作を続けているためか手慣れたものだ。指での操作に劣らない速度で入力されていく文字を壱護さんは食い入るように凝視し──
「アイ……! テメェ俺らが大変だった時になに若いツバメ捕まえてよろしくやってやがんだコノヤロウ! 無事……無事……? とにかく無事だったんなら連絡の一つぐらい寄越しやがれこの無責任アイドル!」
『はー!? 何よツバメってシオンを愛人みたいに! シオンは私をこの世に留めてくれた大恩人なんですけどー!? ていうか幽霊なんだから連絡なんて取りようがないじゃん!』
「そりゃそうだが! 今さっき俺にしたみたいに説明しに来れば良かったじゃねぇか!」
『そんなこと言って社長だって最初は全然信じてなかったじゃん! それでシオンが狂人扱いされたらどうするの! そもそも当時四歳で施設暮らしの子供を連れ回せるわけないじゃないこのあんぽんたん!』
「ぐぅ……! アイのクセに正論抜かしやがる……!」
『ヘイヘーイ! 二十も歳下のアイドルに論破されるなんてなっさけなーい! ねえどんな気持ち? ねえどんな気持ち!?』
NDKNDKと叫びながらスマホ片手に壱護さんの周りをグルグル回るアイ。今日も絶好調である。
壱護さんは忙しなく動き回るスマホに必死に追随し、画面に表示される文字を目で追いかける。そうやってしばらくの間、二人は旧交を温めるのだった。
「……不思議なこともあるもんだなぁ。まさか死人と言葉を交わせる日が来るなんて想像もしてなかった」
『まあ私の声はシオン以外に届かないから、こうやって文字の上でしか会話できないけどね』
「それにしたって驚異的だ。この期に及んでそこにアイがいることを疑うつもりはないが……正直夢でも見てるような気分だよ」
なあ、アイ……と神妙な声色で居住まいを正す壱護さん。彼はサングラスを外すと、深い哀しみと不安に揺れる眼差しでアイのいる場所を見つめた。
「お前は……俺を恨んでいないのか? 聞かせてくれ。最後までお前に何もしてやれなかったこの無能な男を、本当は恨んでいるんじゃないか?」
『……』
「お前は嘘吐きだからな。それでいて……優しい子だ。もし俺に遠慮して明るく振る舞っているってんならそんな配慮は不要だ。お前がそれを望むなら、俺は──」
『社長』
トントン、とペンが踊る。再び動き出したタッチペンを見て口を閉ざす壱護さんの前で、アイは微笑みながら心の内を文字に綴っていく。
『私は心から楽しんでアイドルをやってたよ。歌って踊るのは好きだったし、それでファンから歓声を貰えるのは嬉しかった。
アクアとルビーを授かったのもこの世界に来たから。二人と出会えたのは私の人生で一番の喜び。愛してるって、心からその言葉を口に出せたあの瞬間、私は間違いなく幸せだった』
『──シオンと出会えた。死ぬまで誰かを愛してるって気持ちが分からなかったお馬鹿さんな私だけど、シオンのお陰でこんな私にも“次”が与えられたの。愛を知って、恋を知って、今の私の世界は生きていた時よりも綺麗に色づいて見えるぐらい』
『全部、ぜーーーんぶ、社長が私をアイドルにしてくれたお陰。あの時社長が私を見つけてくれてなかったら、私は誰かを愛することもできないで、ドキドキもワクワクも知らないまま死んでたかもしれない。ちょっとだけ早死にしちゃったけど、私は絶対にアイドルになったことを後悔しないし、アイドルになったからこそ出会えたこの世界の全部に感謝してる』
『だからありがとう。私を見つけてくれて。私をアイドルにしてくれて』
『こんな私を愛してくれて、ありがとう!』
「アイ……お前ってやつは……」
涙が
十余年もの間、彼の心の奥底で澱み続けていた深い哀しみと苦悩が、涙と共に流れ落ちていくようだった。過去は覆せない。失ってしまったもの、過ぎ去ってしまった関係を埋め立てるには十年という時間は長すぎる。それでも確かに、停滞したままだった彼の時間は今この瞬間に動き出したのだ。
はらはらと滴る涙は、まるで星の雫のように輝いて見えた。
「アイ……お前は最高のアイドルだ……! 昔も、今も……ずっと、ずっと、俺を導く一等星だった……!」
「ありがとう……っ! 俺と出会ってくれて、俺を導いてくれて──」
「夢を見せてくれて、ありがとう……!」
アイの死が彼の心に及ぼした絶望の程は察するに余りある。しかし、消え去ってしまったかに思われた一番星は、変わらぬ輝きで今もそこにあった。
これで良かった、などと軽々に口にすることなどできよう筈もないが。確かにこの瞬間、一人の男の心は救われたのだ。それはきっと、悪くない結末である筈だった。
肩を並べて一台のスマホを覗き込み心の丈を交わし合う二人の姿は、僕の目にはまるで本当の
【桐生紫音】
アイに言われるがまま郊外の廃病院まで社長をドナった。立派な拉致監禁だが、彼はアイがカラスは白だと言えば一旦彼女の正気を疑った後で大真面目に三千世界のカラスを白く染め上げに行く程度にはキチガイなため迷いはなかった。
そして拉致ったらついその気になってしまい、尋問官よろしくノリノリで少しだけ威圧したら泣かせてしまった。自分をハスキー犬かなんかだと思い込んでいるゴジラ(エヴォルヴ)
【星野アイ】
誰かを愛したことも愛されたこともなかった生前のアイであればミヤコを捨てた壱護を見ても「ふーんミヤコさんかわいそ」で済ますが、誰かを愛することを知った今のアイからすれば言語道断の行いに映る。私が叱らなきゃ(使命感)
そのため原因が自分の死にあることは承知した上でオハナシ(精一杯のマイルド表現)するつもりで拉致ったが、予想以上に壱護が病んでいたため方針転換。実体化を待つことなく壱護に自分の存在を明かすことを選択する。
一般的な観点からすれば死者が幽霊になって元気にやってるなど信じ難いことである。それでもし相手の怒りを買ってしまえば被害を被るのは自分ではなくシオンであるため、これまでは選択肢から外してきた。しかし流石に瞳孔かっ開いて涙を流しながら「俺を殺せ! なあ! 死神だ! 死神だろう!? なあ死神だろおまえ」と錯乱する社長の姿を見れば考えを改めざるを得なかった。
【斎藤壱護】
シオンの威圧(本人的にはちょっと凄んだだけ)を受け、まるで世界そのものが伸しかかってきたかのような重圧を体感したことで目の前の少年がただの人間ではないことを本能的に悟る。そしてシオンからアイの面影を感じ取ったことで「神様とかそんな感じの超常的な存在がアイの似姿をとって俺を罰するためにやって来たのだ」と勘違いする。そんなあり得ない妄想に囚われる程度には精神的に追い詰められていた。
怪我の功名というべきか、シオンという超常存在を認識したことでアイの存在も素直に信じることができた。これで相手が本当にただの子供であればそう易々と信じることはなかっただろうが、相手は人の皮を被ったゴジラであったため「ま、まあアンタほどのゲッターがそう言うのなら……」と納得することができた。「納得」は全てに優先するのだ。
壱護がアイを謀殺した教唆犯への憎悪と同じだけ自分を責めていた、というのは本作の独自解釈。前世の経験があるとはいえ所詮は幼児に過ぎなかったアクアと異なり、大人であり身寄りのないアイの後見人であった彼にとって、アイは守るべき社員であると同時に庇護すべき子供であった。
アクアにとってアイは自分の命に代えても
その感情が今回の描写に繋がっていて、シオンやアイ視点では若干ギャグっぽく書いたが壱護視点では相当精神的に参っていた。これまでは憎悪に目を曇らせることで直視することを避けていた後悔や罪悪感と否応なしに向き合わざるを得ない心理状況に追い込まれ、あの錯乱したような発言に繋がったというわけである。
ここまで妄想膨らませられるってやっぱ佐藤社長スゲェよ。この人がアイを見出したことが全ての物語の開始点である、という点込みでめちゃくちゃ好きなキャラです。まあ推しの子で嫌いなキャラなんていないんですけど、それはそれとしてスゲェ良いキャラしてると思います。これからはシオンとアイの秘密を知ってる唯一の人間として有効活よ……便利に使わせて頂く所存であります。長文失礼いたしました。