ミスドを出た私達はしばらくまりょをからかいながら、住宅街へと向かった。
まるで狙いすましたように、私達の家の近くまで走るバスがバス停に到着した。
ギリギリで駆け込んだ車内は比較的空いていて、一番後ろの6人席に座ろうと決めた。
めめさんが座る前にイエモンさんの隣に座りたい一心で、一歩を急いで踏み出した時だった。
バスが急に揺れてバランスを崩した私は、
メテヲさんの胸の中に着地。
めめさんとレイラ―さんは2人で悠長に話していて、なんとなくイエモンさんを独り占めしようとしていた自分が恥ずかしくなった。
いそいそとイエモンさんの隣に座り、私の隣にメテヲさん、次にまりょ、めめさん、レイラ―さんという順に。
『次は恋路図書館前。恋路図書館前です。』
中々会話を切り出せないで躊躇っていると、一つのバス停を通過したようだった。
時間の流れが速いようで遅くて、なんだかよくわからなかった。
さっきのことを思い出してみると、メテヲさんの胸板は私の身体よりもずっと大きくて硬かった。
男の子なんだなぁ、と何故か意識してしまう。
『次は始想町。始想町です。』
隣のメテヲさんを見ると、まりょと何かを熱心に話していた。
ふと今思えば、いつも私の隣に居たのはメテヲさんだった。
いつも変わらず笑いかけてくれて時には茶化してきて。
なんだろう、この感覚。
そして___________
さっき私を受け止めてくれた時に感じたメテヲさんの匂い。
懐かしいような、安心できるような香りがした。
メテヲさんの胸の中は温かかった。
今私がドキドキしているのは隣にイエモンさんが居るからではないの?
でもイエモンさんの時とはまた違う気がするの。
なんだろう、この気持ち。
この抑えようのない胸の高まりは。
『次は恋問境。恋問境です。』
『次は終点、恋叶町。恋叶町です。』
恋のキューピッドの矢は純粋で真っ直ぐなその女の子の心に、
たった今、命中しました。
揺れ動くバスと共に、私の心も揺れていた。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。