<MBTI>それぞれのタイプの適職を徹底解説する
16タイプ性格診断について調べると必ず出てくるキーワードとして「適職」がある。性格診断について調べる人間は適職探しに悩んでいるのだろうか。16タイプに関する記述も社会人を前提としたものが多いので、職業と性格に関する悩み分析のスキームとしてMBTIが使われていることは間違いないだろう。
今回は各タイプと適職の関係について論じてみたいと思う。職業はやってみないと分からない面が多いし、「〇〇型にはこの職業が向いている!」と断定的に論じることはできない。仮にわかったところで路線転換を行うのは難しい人かもしれない。ただ、性格診断を通じて職場への理解を深めることはできるし、逆に性格を適職でなぞらえることでより16タイプへの理解が深まることもあるだろう。この考察は、職業にとどまらない人生論の一環として捉えてほしい。
ESTJ・・・会社員全般
ESTJの適職は会社員である。商社とかテレビ局といった具体的な業界ではなく、会社員というのがミソだ。ESTJは全タイプの中で最も組織人としての適性が高く、大半の組織で成功する可能性が高いからだ。
ESTJの強みとして社交的で真面目というのがある。これは即ち所属集団に染まるということだ。その集団で良いとされている価値観を内面化し、忠実に頑張る人たちなのである。これは上意下達を是とする組織社会で大変有利に働く。上下関係に厳格で、慣習と規律を重んじるESTJは上の人間から非常に重宝される。ENTJのように自己主張をしたり上に歯向かうことはなく、ただひたすらに上の要求に従うことを喜びとするのである。
ESTJの強みは他にもある。彼らは向上心が強い。これにSJ型特有の「役割に嵌る」という特性を合わせると、組織内での出世欲につながる。ESTJは会社内での立身出世に効用を感じやすく、エネルギッシュなハードワーカーになる。それほど多趣味なタイプでもないので、仕事中が一番充実感を感じているだろう。
ESTJの適職は会社員にとどまらない。軍人・警察官・スポーツ選手など、活躍できる分野はたくさんある。まさに働くために生まれてきた人間なのだ。
ESTP・・・不動産・証券などタフな営業職
ST型は実用主義者であり、P型は自分の好きなものために動きたがる。したがってESTPの価値観で一番大切なのは金だ。ESTPにとっては頑張れば頑張るほど金の儲かる職業が理想だ。彼らは金が絡むと途端に頭が回るのである。
ESTPはフットワークが軽く、不特定多数の人間と関わるのが得意だ。また、ESTPは他のタイプと比べてかなり図太い。おそらく全タイプで最もメンタルが強いのではないかと思われる。したがって彼らが適性を持っている職種はストレスフルな営業職だろう。特に不動産営業や証券営業などガラの悪い業界はESTPの独壇場である。
体育会系適性が高いため、会社員としてもESTPはそこそこ適応できることが多い。ただし、管理部門の仕事は退屈に感じるだろう。静かなオフィスで法令違反がないか細かくチェックするよりも、屋外で自由に営業ができたほうが気楽と思うに違いない。営業はプロセスよりも結果なので、P型の感性にはマッチしているのだ。
営業職以外にもESTPの適職は存在する。サッカー選手や野球選手のような集団競技のプロ選手はESTPの人間が多い。ESTP型は体を動かすことが好きなので、好きなことを突き詰めた結果、こうした業界に進む者も存在する。
職業と言って良いかは分からないが、犯罪組織もESTPとの親和性が高い。日本のヤクザからメキシコの麻薬密売組織に至るまで、犯罪組織の類いはESTPのカルチャーが支配的のようだ。犯罪組織は一にも二にも金であり、そのためなら暴力を厭わない。一方で、N型と違って政治や文化には口出しをしない。J型の人間はそもそもアウトローにならないだろう。
ESFJ・・・看護師・保育士など
ESFJは女性に多いタイプであり、女性の多い職場で一番影響力を持っているのはこのESFJタイプだろう。
ESFJはESTJと同じく集団への適応度が高い。ほとんどの職場でESFJは頼りにされる。ただ、ESTJと比べてそこまで出世志向でも勝利至上主義でもないので、殺伐とした職は向かない。したがって、周囲と協調して柔軟にやっていくのが大切な職業に向いているだろう。
看護師や保育士といった職種はESFJと特に相性が良いだろう。どちらも人間を直接相手にする職種だ。そのためF型にとってはやりがいを感じやすい。SF型は実生活に密着しているものを好むので、ケア労働との親和性は極めて高い。高度な学識や奇想天外な発想力が求められないという点でもケア労働はESFJに向いている。他にも秘書や小学校教師も適性があるだろう。
ESFJにピンポイントで向いている職場は伝統的に女性の多い職場である。したがって、ESFJの男性に関してはピタリと嵌る適職は少ないかもしれない。ただ、ESFJの集団適応能力は極めて高いため、会社員をやっていても難なく馴染めるだろう。特に体育会系の日本企業では重宝されるタイプだ。
ESFP・・・美容師・アパレル系など
ESFPはいわゆるマイルドヤンキーやギャルと言った人種によく見られるタイプである。小中学校では常に輪の中心にいて、人気者であることが多い。ただ、社会人となると意外にもピタリと嵌る適職が少ない。これがESFPの年収が低いと言われる一因となっているかもしれない。
P型は興味を自由に突き詰められる職業が向いている。SF型の好きな項目でピタリと当てはまるのは美容師やアパレル系の仕事だろう。SF型は流行に目ざとく、一言で言うなら「イケてる」からだ。
会社員にもかなりの程度、適応できるだろう。特に商社や広告代理店のような賑やかな業界に向いている。ESTPのように押しが強いわけでもなく、ESTJほど出世のために頑張れるわけではないが、卓越したコミュニケーション能力のお陰で会社でもうまくやっていけるだろう。みんなから慕われている宴会部長はESFPにピッタリの「役職」だ。伝統的な日本企業ではこうした存在もまた重要なのである。
ISTJ・・・総務・経理など事務職全般
ISTJはわかりやすい真面目タイプである。人と馴れ合うことを良しとせず、一人で黙々と義務を果たすことを好む。こうしたISTJの姿勢は社会人として重宝される。何人かで旅行をする時も、ISTJが一人いれば段取りが楽になる。こうした事務周りの雑務をISTJは得意とするからだ。
ISTJの適職は総務や経理といった、事務職だろう。ISTJは細かいミスを見逃さないし、堅実で注意深いからだ。裁量の少ない事務職の類いはN型にとっては苦痛極まりないのだが、ISTJにとってはむしろ決められたことをミス無くこなすだけで評価されるので楽だろう。
また、事務職は外回りや宴会など、ISTJが苦手とする項目が少ない。 安定したライフスタイルを好むISTJにとって、変化が少ない内勤の職種は大変心地が良いだろう。ISTJの多い職場は総じて決まった時間に出勤して決まった時間に退勤する職員が多く、人間関係は簡素だ。
他にも銀行員や公務員といった職種も適性が高いだろう。この手の職種は事務職同様に決められたことをミス無く実行することが大事だからだ。TJ特有のシビアさのお陰で請求を突っぱねるような非情さも持ち合わせている。専門職にも適性があるが、しばしばINTJやISTPと競合することになる。
海外駐在員やベンチャー企業にはそこまで適性がないかもしれない。これらの仕事は未知の環境の中で柔軟に生き抜く能力が必要だからだ。テレビ局や広告代理店のような賑やかな職場にもストレスを溜めてしまうかもしれない。ただし、こうした企業にも管理部門は必要なので、やはりISTJに対する需要は尽きないだろう。
ISTP・・・技能職
ISTPの強みは実用的な物事を深く突き詰められることだ。自動車整備や水道工事などメカニックな技術を極めることに喜びを感じる。こうした技能職はある程度自分のペースで進められるのでISTPにはピッタリだ。IT系や職人にも適性がある。弁護士や会計士になった者も知っている。
一般的な職業ではないが、個人競技のアスリートもISTPが多い。スポーツのような身体的な動作をS型は好むため、それを深く突き詰めることにISTPは喜びを見出す。同様にダイビングの専門店とか、クライミング会場の経営者といった人もISTPが多い。「マニアックな自営業」もまた、ISTPが得意とするフィールドかもしれない。
ISTPは比較的多く見られるタイプであり、そこまで偏ったパーソナリティではない。したがって実際は会社員でもそこまで問題なくやっていけるタイプだろう。
ISFJ・・・保守的な日本企業
ISFJはエスニックジョークで登場する日本人の像に近い。控えめで自己主張を嫌い、周囲との調和を重んじるからだ。所属集団の価値観を受け入れ、村の掟を遵守する。こうした姿勢は伝統的な日本企業、特に保守的なメーカーやインフラ系と極めて相性がいい。
伝統的な日本企業は良くも悪しくも村社会である。横並びを重んじ、排他的だ。会社という第二の「ムラ」に社員を染め上げ、ある種のパトリオティズムで社員の士気を高めている。一度内部に入ってしまえば競争はゆるく、人を押しのける能力よりも周囲と仲良く過ごせる能力が大切だ。ISFJはこうした風土に難なく適応できるだろう。
INFJは理想主義や革新性が理由で保守的な企業と相性が悪い。これとは対象的に、ISFJは仕事内容へのこだわりが少ないし、上意下達に不満を持ちにくい。それよりもムラの調和の方が大事だ。解雇に怯えること無く、安定して高い給料をもらえる保守的な日本企業はISFJにとって天国とも言える環境である。ESTJやESFJが職業全般に向いているのに対し、ISFJは日本企業に特化して適性のあるタイプだ。
ISFJは「出る杭」に決してならない人間と言えるだろう。ISFJは兎にも角にも自己主張が苦手だ。人目を引くような飛び抜けた特技も少ない。ただ、日本企業はロングタームで人間を見るので、実直に働く社員は必ずいつか周囲の人が評価してくれる。むしろ慎み深さが人望につながるだろう。人を押しのけることが必要な外資系企業との決定的な違いである。
ISFP・・・大学職員
ISFPは控えめで優しい。職場と家庭が毎日平穏に過ぎ去っていけばそれで満足できる。上昇意欲はそこまで強くないし、非日常的な冒険も求めない。
こうしたISFPの需要を最も満たしてくれるのは大学職員だ。大学職員は総じてホワイトであり、ノルマや出世競争は存在しない。毎日職場に通って決まって事務だけこなせば幸せな人生が営めるのである。
大学職員のデメリットは仕事がつまらないことだが、ISFPはルーチン耐性が高いので、比較的適応できるだろう。ISTPやESTPと違い、そこまで高給を求めない。平穏に家庭を経営できるだけの給料が貰えれば満足だ。
類似の職種として公務員があるが、ISFPにとってベストとは言えないだろう。公務員のブラックさは近年知られてきているし、公務員はそれほど平和な職種ではない。配属によってはクズとしか言えない人間を相手にすることがある。お役所仕事には非情さが必要である。ISFPが向いていないとは言わないが、こうした職種に関してはISTJの方が適性があると考えている。
ENTJ・・・外資系企業
前述のISFJとまさに対照的なのがENTJだ。ENTJは自己主張が強く、上昇志向が強い。常に社会的評価を求め、リーダーシップを取りたがる。
ENTJの適職はまさに外資系企業だろう。ENTJは徹底した能力主義で、激しい競争にも耐えられる。いや、競争を好むと言ったほうが良いだろう。こうしたガツガツした気質は外資系企業とピッタリである。
外資系企業の業務は総じてストレスフルであり、内容も世知辛い。同僚との関係も、日本企業の同級生感覚のものとは異なる。周囲の同僚は年齢を問わず原則としてライバルである。常に積極的に自分の優秀さをアピールし、評価を得なければ生き残れない。ISFPがこんな環境にいたら数日で病むだろうが、ENTJはむしろ生き生きしているだろう。
ENTJは上昇志向が強い。言い換えるとENTJが向かないのは現業や一般職のような二級職である。サポート的な役割に徹することが求められるので、ENTJとしては強い閉塞感を感じるだろう。一昔前までは日本企業の大半は女性は無条件に一般職扱いだったので、ENTJの女性は満足感が低かったと思う。
余談だが、米国企業が昔から「外資的」だったわけではない。20世紀後半までは重厚長大系のメーカーを中心に、「日本的」な企業が沢山存在していた。ところが産業構造の転換でこうした企業は衰退し、日本だったら保守的な大企業で平穏に暮らしている層の労働者が居場所をなくしてしまった。トランプ支持者のメイン層は彼らである。
ENTP・・・起業・ベンチャー
ENTPは「出る杭」になりたがるタイプである。目立ちたがりで、新しいアイデアを実現することに無常の喜びを求める。彼らの適職は起業家をおいて他にないだろう。
ESTPも商売には向いているのだが、両者の求めるものは少し違う。ESTPにとって重要なのは金だが、ENTPにとってはアイデアの実現である。裁量が多い職種でないとENTPはストレスを溜めてしまうことが多いだろう。
ENTPとINTPは気質や興味がかなり似ているが、決定的に違うのが職業観である。INTPは自分の興味を突き詰めることに専念し、社会的評価には無頓着なことが多い。一方でENTPは社会的評価をかなり重んじ、特定の分野に執着しない。テーマは何でもいいが、とにかく社会的に目立ちたいのである。
ただ、両者共に組織社会との相性は悪い。ENTPにとっては組織の中で出世することは無意味に感じられるだろう。ひろゆき曰く、「東大を出て財務官僚になっても誰も名前知らないじゃん」とのことである。完成されたシステムの中で言われたことを実行して出世するよりも、世間をあっと言わせるイノベーションで称賛を得るのがENTPの得意技だ。
一般的な職業ではないが、ENTPにはもう一つの適職がある。それはYouTuberだ。起業家と同じくYouTuberは裁量が大きく、世間に評価されれば手段は問わない。余計な内部調整や上司へのゴマすりなど存在しないのだ。NP型特有の豊富でユーモラスなアイデアにより、ESTPよりも遥かに多くのネタを思いつけるだろう。E型特有の柔軟性により、特定の分野に固執しないのも強みだ。
ENFJ・・・教師
ENFJはしばしば「説教臭い」と言われる。合法的に説教をできる職業といえば、何と言っても学校の先生である。NF型は人間に興味がある。しかも表面には現れない、その人の未来や可能性にフォーカスすることを好む。教育系の職業はNF型の興味を満たせる数少ない職業であるのだ。
ただし、教育系といっても主にENFJが得意とするのは小中高の教師だ。大学の教員は教育者というより学者という側面が強く、NT型が圧倒的に多い。塾講師や教材作成者もNT型の方が向いている。幼稚園はケア労働という側面が強く、SF型の方が向いているだろう。
余談だが、学校教師という業界は社会でも珍しくNF型の色彩が濃い。学校の教師はリベラルな人間が多いと言われるが、彼らの好む平等主義や博愛主義はまさにNF型に良く見られる傾向だ。マルクス主義まで行くとNT型になってしまうのだが、よりマイルドな反戦教育や弱者保護といった内容はNF型の好みが色濃く出ている。
ENFP・・・メディア系
NF型の職業選択は難しい。というのも、働き口の大半を占める一般企業の業務にNF型の興味を満たせる要素が少ないからだ。金儲けを追求したり、出世競争で同期を出し抜いたりすることにNF型は興味がない。したがってビジネス上の利益を主眼とする金融や不動産といった業界では充実感を感じにくいだろう。
ENFPが比較的興味を持ちやすいのはメディア系だ。WEBライターや出版といった職種は遠く離れた誰かの感情を動かすことを目的としているからだ。したがって、こうしたクリエイティブな業界はNF型の特性を生かしやすい。特に、社交的でアイデアマンのENFPは適応しやすいだろう。
ENFJほどではないが、教師にも良く見られるタイプである。次世代の育成に尽力するという活動はENFPにとって楽しいことなのだ。ただ、それに問題がないとは言えない。N型は金銭的利益に無頓着なので、しばしばブラック化しやすい。学校の先生の激務薄給が問題になっている背景にはN型が多すぎるという業界の体質が影響しているのかもしれない。
INTJ・・・大学教授・弁護士など高度専門職
INTJは個人主義で馴れ合いを嫌う。一人で黙々と技術の習得や知的探求にのめり込む傾向がある。こうしたINTJの強みは優れた知的能力として現れており、INTJの適職はこうした特性を生かせる職となる。
学者や弁護士、その他高度な専門性を要する職業はINTJにとってピッタリである。これらの職は専門技能に関する知的プライドを満たせるし、しばしば自律性が高いからだ。I型特有の「のめり込む能力」も高度専門職との相性が良い。
INTJは勤勉で賢いので、多くの職業で成功しやすい。実際にINTJは年収が高いというデータが存在する。ただ、伝統的な日本企業との相性は悪いかもしれない。体育会系上意下達や周囲との協調はINTJにとって苦手分野だからだ。
INTJ、いやNT型全般に向かないのはケア労働だ。こうした職業に求められる精神性はNT型の性格と真逆だからだ。子育てや介護といった家事労働に関してもNT型は嫌悪感を感じやすいだろう。
INTP・・・理系職
「INTPは理系に行け」、これは私が口を酸っぱくして言いたい経験則である。
INTPは頭がよく、興味を持った分野を突き詰めることが好きだ。こうした気質はエンジニアや学者など、理系の分野での優位をもたらしている。ISTPが現場寄りの物事に興味を持つのに対し、INTPは理論や学術といったより難解で抽象的な事物に興味を持つ。技能職のISTP・研究職のINTPという色分けが可能だ。
一方、INTPは文系職種との相性が極めて悪い。営業・内部調整・社内の事務手続きといった業務は軒並みINTPからすると面白くもなんともないからだ。体育会系組織との相性の悪さも問題となる。職場の細かいマナーや頻繁な飲み会はストレスの種だ。
弁護士や会計士は自律性が高い専門職だが、私の知っている範囲ではINTPとの相性はそこまで良くない。INTPはINTJほど勤勉でも能力主義的でもないので、文系の場合は致命的になりうる。東大法学部出身のINTPの知人は紆余曲折を経て結局プログラマーになった。
INFJ・・・医者
INFJにとってピッタリの職業は医者に置いて他にない。INFJは倫理観が高く、実直だ。勉強も苦にならないだろう。困っている患者のために尽くすことができるし、社会に貢献している実感が持てる。ケア労働と違って深いレベルで問題を扱えるのも良いところだ。自律性の高い生き方を選べる点も向いている。大学病院に疑問が生じたら開業すれば良いだけだ。
他にINFJが向いているのは教師や聖職者など、一定程度の自律性を持って人間の生き方に関われる職業だ。INFJは金融や不動産といったビジネス色が強い業界には興味が持てないだろう。外資系投資銀行は論外だ。そもそも受けもしないだろうが。
問題となるのが公務員やインフラ系の企業である。こうした職場は公共性が高いので、社会貢献を志すINFJが興味を持ちやすい。ただ、こうした職種は実はそこまでINFJに向いていない。完成された大規模組織であり、自律性が極めて低いからだ。独立開業も不可能である。理想を持って就職したものの、数年で失望し離職する、というリスクが高い。
INFP・・・特になし
さて、お待ちかねのINFPである。INFPは16タイプの界隈で「社会不適合」と言われがちであり、INFPの生きにくさは鉄板ネタとなっている。
INFPは実のところ、別に性格に問題があるわけではない。学生時代は自分なりの過ごしやすい環境で楽しくやれていた人が多いだろう。問題が顕在化するのは職業選びである。
INFPの適職としてしばしば取り沙汰されるのは芸術家だが、こうした職業で食っていけるのは一握りだ。また、そこに至るまでの競争は極めて激しいため、飽きっぽいINFPの気質に合うかも微妙である。少なくともINFJやINTPと比べて大した優位はないのではないかと思う。
一般的な職業はどれもINFPにはピッタリとハマらない。まず会社員は向かない。ビジネスにも組織社会にもINFPは適応できないからだ。出世競争は存在自体が苦痛に感じるだろう。仮に勝ったところで中間管理職になるだけだ。苦労ばかりで、何も良いことはない。
エンジニアや研究者もあまり適性がない。確かに自律性や創造性は魅力なのだが、こうした物質的な職種はNT型の独壇場である。コンピューター科学やダム建設にINFPは興味を持てないだろう。医者や裁判官は人に関わる専門職だが、極度の勤勉さを要求されるため、INFPにとっては大変だろう。
「楽だから」という理由で大学職員や市職員になる者もいる。確かに適性は無くはないのだが、この手の職種はルーチンワークが多く、一言で言えば「つまらない」。無味乾燥の業務に耐えられるのはISFPやISFJだろう。INFPはしばしば空虚感を感じるようだ。教育も適性が無くはないのだが、多くの人と接する職業であり、ENFJやENFPと比べると適性は劣る。
皮肉なことに、INFPは適職がないが故に多様な職に付いている。私の周囲を見回しても金融・IT・公務員・医療・教育など色々だ。ただ外資系に就職したものは一人も知らない。あからさまに相性が悪いからだろう。
向かない職について
適職を論じるならば、向かない職を論じるのも良いだろうと当初は考えていた。しかし、実際に考えてみると思いの外に向かない職を考えるのは難しいことに気がついた。
これまで取り上げた教師・外銀・大学職員といった職業はそれぞれ良いところがあり、自分の適性に合わせて進路を選ぶべきだ。しかし、世の中には残念ながら積極的な理由で選ばれない職というのも存在する。給料・やりがい・労働環境の全てが悪い場合だ。具体的な職種を挙げるのは避けたいが、近年問題となっている技能実習生が良い例かもしれない。
こうしたブラック職はどのタイプから見ても適職とは言えないだろう。INFPだろうがESTJだろうが、等しくブラック職に就くのは避けるべきだ。
また、明確に向かない職に関しては最初から目指さないという要素もある。例えばESTJにとって詩人は全く不向きな職だが、興味がないのに好き好んでそんな職は選ばないだろう。したがってESTJの詩人適性を論じる意味は乏しい。
向いてない職に就いてしまうパターンは主に二つある。一つは天職にたどり着けずに成り行きで会社員になるケースであり、もう一つはその職業に誤った理想を持っていたケースだ。これらのケースはN型に発生しやすく、N型が職業上の悩みを抱えやすい原因になっている。おそらくネット上に氾濫する16タイプと適職に関する記事の読者は、大半がこうした悩みを抱えるN型なのではないかと考えている。
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