ミセス新曲MVが公開停止 歴史理解に欠ける表現
レコード会社大手のユニバーサルミュージックは13日、人気ロックバンド「Mrs. GREEN APPLE(ミセス・グリーン・アップル)」の新曲「コロンブス」のミュージックビデオに「歴史や文化的な背景への理解に欠ける表現が含まれていた」として、ビデオの公開を停止したと発表した。
12日に公開されたビデオでは、コロンブスのような歴史上の人物に扮(ふん)したメンバー3人が、南の島を訪れて類人猿に音楽などを教える。類人猿が引く人力車にメンバーが乗る描写もあった。
公開直後から「植民地主義と奴隷制を肯定している」「人種差別をエンタメとして楽しんでいる」などの批判がインターネット上で相次いだ。
ビデオの構想を提案し、衣装なども監修したというボーカルの大森元貴さんは、バンドの公式サイトで「年代の異なる生命がホームパーティーをするというイメージをしていた。差別的な内容にしたい、悲惨な歴史を肯定するものにしたいという意図はありませんでした」と釈明。「ご指摘を真摯に受け止め猛省しております」と謝罪した。
ユニバーサルも「公開前の確認が不十分だった」として謝罪した。CMに新曲を使っていた日本コカ・コーラは「いかなる差別も容認しない」などとコメントを発表し、同曲を使用した全ての広告素材の放映を停止した。
バンドは男性3人組で、ヒット曲「ケセラセラ」が昨年の第65回日本レコード大賞を受賞。若い世代を中心に大きな人気を集め、NHK紅白歌合戦にも出場した。〔共同〕
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(更新)- 高橋祥子ジーンクエスト 取締役ファウンダー別の視点
件のMVについては拝見していないので個別の事象についてのコメントは差し控えますが、SNSの普及によりアーティストも企業も炎上しやすくなっている現在、やはり強みになるのはチームの多様性です。「配慮が欠けていた」ということは、すなわち「多様な視点が欠けていた」ということなので、多様な知識やバックグラウンドを持つチームをいかに巻き込めるか、が新しい取り組みや事業を展開したり発信したりするリーダーには今後必要不可欠な能力になると、自戒も込めて考えています。
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(更新) - 天野彬電通 電通メディアイノベーションラボ 主任研究員ひとこと解説
Xでかなり話題になっていたので午後に視聴しました。内容や経緯については記事に書かれている通りかと思いますが、17時台にはMVが公開停止され謝罪の声明が発表されたので、今回は対応が迅速だったなと思いました。ミセスはちょうど国際的に人気を獲得してきているタイミングなので、なおのこと細心の注意を払ってほしかったなと感じます。 エンタテインメント産業はますますグローバル化しているわけですが、だからこそ他国の歴史・文化への敬意と理解、そして倫理的な視点が伴わなければなりません。そうした考査を担うための人文学的な素養を持つ専門スタッフが数多く必要なのではないでしょうか。
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