「ない」と説明していた要請文書を確認 市教委、傍聴動員問題で公表
【神奈川】横浜市教育委員会が、教員による児童生徒へのわいせつ事件の裁判の傍聴に職員を動員していた問題で、市教委は27日、動員をかけた4件のうち2019年の1件目の事案に関して、被害者側からの要請文書を確認したと明らかにした。これまで市教委は、依頼があったことを示す明確な記録はないと説明していた。
市教委によると、文書は被害者の児童生徒を支援していた団体から19年4月に提出され、市教委の職員で傍聴席を埋めるよう求める趣旨の依頼が記されていた。当時の教育長も内容を確認し、この文書が最初の動員につながったという。残る3件の事案は、文書の存在を確認していない。
市教委は文書の存在について、会見で問題を公表した21日の時点で把握していた。しかし、22日の市議会こども青少年・教育委員会では、被害者側からの依頼を示す記録について「明確なものはない」と答弁した。市教委は「動員との結びつきが明確ではなかったため公表しなかった。今振り返ると説明の仕方が十分ではなかったかもしれない」と釈明した。
市教委は、複数の弁護士でつくるチームで組織的な動員に至った経緯や、傍聴動員が憲法の「裁判公開の原則」に抵触するかなどを第三者の視点で6月中に検証し、報告書をまとめる。また、類似の事案が他にないかも確認するという。(堅島敢太郎)