生涯無子率がダントツで上がっている日本

さて、その中で、経済協力開発機構(OECD)が公開した、世界各国のチャイルドレス(生涯無子率)統計を日経新聞が報じて、これも大きな話題となりました。日本における生涯未婚率を50歳時未婚率というように、50歳時点で子のない女性は生涯無子として分類されます。

日本を含む世界各国の生涯無子率(生まれ年別50歳時点の無子率)をグラフ化したのが図表1です。

世界各国 生涯無子率推移

日本の2020年時点(1970年生まれ対象)の生涯無子率は27%で、世界一高い。何より、この15年で一気に他国をごぼう抜きしています。とはいえ、日本より出生率の低いイタリアやスペインなども無子率は急激に上昇していますし、北欧のフィンランドも20%超えです。OECD統計にはありませんでしたが、ドイツの値も21%です。

世界各国、生涯無子率が上昇している中で、唯一アメリカだけは16.3%から11.9%へと減少しているのが目立ちます。しかし、そのアメリカとて、同じスパンでの出生率は2.02から1.64へと下げているので、生涯無子の女性の割合は減ったかもしれませんが、その分一人当たりの出生数は減っているということになります。

近い将来、男性の半分は子を持たずに生涯を終える

このニュースでは、日本の生涯無子率が27%、つまり、約3割の女性が生涯子無しであることばかりが注目されましたが、出生は男女それぞれ1人ずつの共同によるものなので、当然男性の生涯無子率もあります。そして、それは女性より高いのです。

勘違いがあるのですが、生涯無子は、結婚して子のいない夫婦の割合ではありません。結婚しても子どものいない「婚歴有の無子」に加えて、未婚のままで子どもがいない「未婚無子」の両方を合算したものです。日本の場合は、極端に婚外子が少ないので、未婚はほぼ無子とみなしてもいいでしょう。婚歴有の無子の場合は、男女ともほぼ同じ数値になりますが、未婚の場合は男女とで大きく差があります。

2020年の国勢調査(配偶関係不詳補完値)による生涯未婚率は、男性28.3%、女性17.8%でした。つまり、OECD統計の女性の生涯無子率27%というのは、婚歴有の無子率が、27%-17.8%=9.2%であることを意味します。この婚歴有の無子率を男性の生涯未婚率と足し上げると、男性の生涯無子率は37%超と計算できます。これは、男性のほぼ4割が生涯無子であることを意味します。

さらにいえば、これが天井ではなく、さらに未婚率は上昇すると推計されているので、やがて日本の男性の半分は子を持つことなく生涯を終える時代になるでしょう。