理学療法士が教える、日本人に多い「体を壊す」歩き方を改善する簡単メソッド
大半の人は「体を壊す歩き方」をしている
文/鈴木拓也 公益財団法人 笹川スポーツ財団の最近の調査によると、健康を意識してウォーキングをする人の数は、5千万人近くと推計。調査を開始した1996年の2倍に増えており、特にシニア層の実施率が高いという。 写真はこちらから→理学療法士が教える、日本人に多い「体を壊す」歩き方を改善する簡単メソッド 長く続く健康ブームのなか、手軽に行えるのが人気の理由だが、「正しい歩き方」をしている人は実は少ない。それどころか大半が、「体を壊す歩き方」をしていると警鐘を鳴らすのは、理学療法士の中村光太郎さんだ。 中村さんは、かつて介護士をしていた頃、車いす生活になった途端に心身の衰えが加速した高齢者を数多く見てきた。それが、歩行と健康の関係に注目するきっかけとなり、探究を深めた。 そうして、これまで8万人の歩き方を診てきた中村さんが、このたび上梓したのが『タンデム歩行 体を壊す歩き方が健康になる歩き方に3日間で勝手に変わる』(Gakken)。「ダメな歩き方」を最小限の手間で改善し、健康的な身体へと導くというセルフケアの実践書となっている。
歩き方の改善で体の歪みを解消
ウォーキングや歩行スタイルを論じた書籍はすでに何冊も出ているが、本書がそれらと異なるポイントがいくつかある。 その1つが「量」より「質」。 「毎日4キロ歩く」といった、距離・歩数を増やす方向性ではなく、あくまでも正しい歩き方にフォーカスした質重視の考え方。そして目指すのは、「体の歪み」の改善だ。中村さんによれば、腰痛、肩こり、転倒しやすいといった不調は、体の歪みからくるものが多く、それを直すことで不調も改善されるという。そして、正しい歩き方こそ、体の歪みを直す最短の道だと説く。 といっても、いきなり完璧な立ち方・歩き方は目指さず、ハードルの低いところからスタート。まずは、裸足になって、以下のことを意識しながら室内を歩き回ってみよう。 <1. 歩くとき、踏み出した足は必ずかかとから着地する。 2. 地面につけた足は、「かかと→足の側面→指の付け根→指先」と半円を描くような意識で重心を移動させる。(本書61pより)> これだけでも、「自然と背筋が伸び、正しい姿勢」になるという。 その次のステップが、メソッドのコアとなる「タンデム歩行」。詳細は本書に譲るが、まっすぐ伸びた1本の直線上を歩くイメージで、「片方のつま先に反対側のかかとをつけながら歩く」のが基本。やはり裸足になり、無理せず1日5分。様々な不調の素因となる身体の歪みが改善され、健康レベルも回復していくそうだ。