ほんっとうに信じられない、あのウーパールーパー。
動物だからってなんでも許されると思ってるのか。
あの後部屋に籠った私は一人で悶々と考えている。
ウパパロンのあれは純粋に飲みたかっただけ?
それとも狙ってやった?
最近いい感じになってきたあの2人の前で間接キスとか笑えない。
私も応援してるのに!
でも、ちょっとだけめめさんが羨ましい……
今は誰とも話したくなくて、黙ってしまった。
高校生にもなってみっともない。
これもあいつのせいなんだから。
ドタドタと階段を下るうるさい足音が通り過ぎていき、私の部屋にはまた静寂が戻った。
あいつと間接キスをする日なんて一生来ない気がする。
なんとなく気分じゃなかった。
吹奏楽とは私達の通っている高校にある部活のこと。
元々吹奏楽部の高校2年生の全員がめめ村メンバーとなった感じだ。
だから全員同じ部活ということ。
否が応でもあいつと顔を合わせなければならない。
文化祭では吹奏楽の発表をするから今は部活全体で日々練習中。
高校3年生になるとまたそれぞれが別々の高校に行くこともある。
だから今年の文化祭が最後かもしれないなのだ。
でも私は今回の文化祭でクラリネットのソロをもらっているから、何が何でも部活に行かなきゃ。
それもウパパロンのトロンボーンソロと続けてやるソロだ……
レイラーがなんとなく空気を読んだのか、ソロを譲ってくれた。
せっかく譲ってくれたからにはやり切らなければ。
向こうが謝ってくるまで絶対喋らないぞ!と決心し、私は部屋を出た。
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全員で登校するとなると大人数で歩くことになるから、結構迷惑。
でもめめさんが一緒に登校したいという願いを聞き入れて、毎日揃って学校へ行っている。
それでもやっぱり大人数で横に並んでいくわけにもいかないから、最終的には何人かのグループに別れ始める。
ウパパロンの言葉を無視して顔を逸らした。
一人取り残されたウパパロンはどこか寂しそうで少しだけ胸が痛んだ。
でもあんなことするのが悪いんだし……
結局私達は学校に着いても一言も喋らなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!