第5話

恋のキューピッド
5,623
2022/09/11 08:00


めめんともり
わぁっ!!
iemon
そんなに驚かないでくださいよ。
俺もびっくりします。





ぐさお
………


最近2人を見ていて思うのだ。


2人はきっと両片思いなんだなぁ、と。


恋愛の経験が乏しい私でも分かる。


もちろん恋の成就は素晴らしいことだけれど、この2人となると話が変わってくる。

めめんともり
私は……好きな人はいないですね。


そんなの嘘だ。


めめさんがたまにイエモンさんを見つめている時の瞳は完全に恋する乙女のもの。


そしてイエモンがめめさんを眺めている時の瞳もまた愛しいものをみるかのよう。

ぐさお
悔しいなぁ……


私も出会った時からイエモンに想いを寄せているのに。


初対面の時だ。


駅で待ち合わせをしていた私をナンパしてくる不良から守ってくれたのがイエモンさん。


その時に惚れてしまわなければ、今こんなにも苦しい思いをしなくて済んでいたのに。

メテヲ
大丈夫ですかー?ぐさおさん。
ぐさお
大丈夫ですよ。


でもこの気持ちは誰にも悟られてはいけない。


あの2人の仲を引き裂こうだなんて、とてもではないけどできない。


私も臆病だ。

メテヲ
悩みなら聞きますよ。
ぐさお
……恋のキューピッド、目指そうかなって。
メテヲ
へっ?


イエモンさんが幸せになるならば、めめさんと想いが通じ合ってもいいと、私は思ってしまうんだ。


だから自分の気持ちを無視して、2人の恋を応援する「恋のキューピッド」になろうかな、なんて考えてしまう。

メテヲ
……恋のキューピッドって辛いですよね。
メテヲ
無条件の幸せを人に与えなきゃいけないなんて。
ぐさお
そうだね……
メテヲ
悩みがあるなら聞くよ。
ぐさお
……ふふっ、嬉しいです。
ぐさお
私はもう大丈夫なのでゲームでもしますか。
メテヲ
はい!











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恋は思うように上手くいかない。


好きな人には既に想いを馳せている人がいたり、恋敵ライバルが現れたらなんてことたくさんある。


それでも好きな人の幸せは自分の幸せでもあるから。


だから自分の気持ちを押し殺してしまうことも多々ある。


失恋だなんて世の中には数えきれないほど存在する。


ただ誰にだって新しい恋は訪れるもの。


その恋心を自覚した時、人はまた成長する。








いつか恋のキューピッドが、純粋で真っ直ぐなその女の子に新しい恋を届けてくれるまで





あともう少し。




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