社会福祉士と精神保健福祉士の違いは何?ダブルライセンスについても解説
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社会福祉士と精神保健福祉士の違いをご存知でしょうか?
共に福祉の国家資格であることは同じですが、それぞれの役割や活用できる場所は違います。
今記事では社会福祉士と精神保健福祉士の資格の違い、それぞれの取得方法、関係性について紹介します。
将来にどちらか、もしくは両方の資格に興味のある方は参考にしていただければ幸いです。
目次
社会福祉士と精神保健福祉士の違い
最初に2つの資格の違いについて紹介します。
前提として、共通しているのはどちらも福祉の「相談業務」に活かされる国家資格であるということです。
日常生活する上で困ったこと、問題を抱えている人の福祉に関する相談にのり、その人らしい生活のサポートをすることがどちらの資格も求められます。
2つの資格の大きな違いは相談の対象が変わることです。
社会福祉士は高齢者、障害者、児童、低所得者など、幅広く相談の対象にしているのに対し、精神保健福祉士は精神に問題を抱えている方の支援に特化しています。
社会福祉士の特徴
社会福祉士は福祉で様々な困りごとを抱えている方の相談にのる業務に活かされる資格です。
活躍の場は社会福祉施設、地域包括支援センター、社会福祉協議会、児童相談所、病院など多岐に渡ります。
選択肢が広い分、自分がどの分野で活躍、貢献したいのかで勤め先が変わってきます。
精神保健福祉士の特徴
精神保健福祉士は、精神保健福祉に関する専門的知識や技術を持って精神障害者に対し相談援助をする資格です。
主に精神に関わる医療機関(精神病院や総合病院の精神科)や精神障害者の方が利用する施設で活躍しています。
先程も説明した通り、相談業務という点で社会福祉士と同様です。
関連コラム:社会福祉士とは?仕事内容や相談業務の流れや将来性についても解説
社会福祉士のなり方
社会福祉士の資格を取得するには年に一度ある国家試験に合格する必要があります。
誰でもすぐに受験はできるというわけではなく、受験資格を得る必要があります。
受験資格を得るには学歴や実務経験の有無で変わり、全部で12パターンあります。
例えば、
- 福祉系大学などに4年通うルートの場合は、指定科目を履修する
- 社会人の方は、相談援助実務を4年間積み、一般養成施設で定められた学習をする
ことで受験資格を手に入れることができます。
上記はあくまで一例なので、その他の受験資格は下記の図から自分はどのルートに該当するのか確認してみてください。
合格率は約30%と福祉資格の中では低めです。
合格後、登録申請をすることで証明書が届き、社会福祉士を名乗ることができます。
関連コラム:【図解あり】社会福祉士試験の受験資格と対象者をわかりやすく紹介
精神保健福祉士のなり方
社会福祉士と同様、年に一度ある国家試験に合格する必要があります。
こちらもすぐに国家試験を受験できるわけではなく、受験資格の取得には学歴や実務経験によって違います。
該当する学校や養成施設に通い、実務経験などが必要になります。
福祉系の4年制大学で指定科目を履修していれば、在学中に受験することができます。
一方で、既に福祉系大学大学・短大で基礎科目を履修している、福祉系以外の大学・短大を卒業している、もしくは4年以上の指定された相談援助実務経験のある方は該当する養成施設に通い定められたプログラムを受ける必要があります。
また、既に社会福祉士をお持ちの方は、
- 一般養成施設ではなく、期間の短い短期養成施設で受験資格を得ることができる
- 試験で共通科目は免除される
などの特例もあります。
こちらもルート図があるので、自分はどのパターンで受験資格を取得できるのか確認してみてください。
試験の合格率は60%程と社会福祉士に比べ高い傾向にあります。
合格すると登録申請用紙が送られてくるので、登録後、精神保健福祉士を名乗ることができます。
同時受験でダブルライセンスを目指す場合
2つの資格は関係性が高く同時に受験することができます。
どちらも合格することができれば、一度で2つの資格を手に入れることができます。
受験資格を得るためには、双方に必要な科目を履修できる大学に通う必要があります。
最短のルートを目指す場合、それぞれの指定科目のある4年制の福祉系大学を卒業する必要があり、2つの資格を視野に入れている方は注意して大学を選びましょう。
【Attention】
令和3年度から社会福祉士養成過程については新カリキュラムが導入され、最短で令和5年度から実習時間が240時間になる方もいます。
ご自分の希望されている学校の実習時間がいつから変更になるか問い合わせて確認してください。
(相談援助実習からソーシャルワーク実習と名称も変更になります)
ダブル受験はハードルが高く覚悟が必要
説明の通り、社会福祉士と精神保健福祉士は同時に受験することができます。
どちらも合格することができれば、一度で2つの国家資格を手に入れることができます。
しかし、合格にはハードルが高い点に注意が必要です。
最短で双方の受験資格を取得する場合、両方の指定科目を受講できる4年制の福祉系大学に通う必要があります。
その場合、対応できる大学が限られていること、履修しなければならない科目が多く時間と費用がかかります。
更に受験勉強においても、共通科目は同じものの、専門科目は別々に勉強することになります。
1つの試験のみでも、かなりの勉強時間が必要になりますので、両方の資格を目指すとなるとそれなりの覚悟が必要になります。
社会人の方は社会福祉士または精神保健福祉士のどちらかを受験、合格し必要があればもう1つの資格を検討する、という流れがおすすめです。
社会福祉士と精神保健福祉士、迷った場合どちらを目指せばよい?
どちらの資格が自分にあうのか悩まれている方もいるのではないでしょうか。
ポイントは自分が将来どの分野で活躍したいかを考えながら資格を選ぶことです。
精神に障害をお持ちの方と関わった仕事を目指す場合は精神保健福祉士、その以外の高齢者、児童や低所得者など様々な分野を視野に入れている場合は社会福祉士が候補に挙がります。
従って「まだどの分野がいいか決まっていない」という方は社会福祉士の取得がおすすめです。
社会福祉士は福祉職の基幹資格です。
先程も紹介した通り、社会福祉士はあらゆる福祉分野での相談で活かすことができ、汎用性が高い資格となります。
もちろん、精神分野に対し目的や志がある方は精神保健福祉士からの取得も間違いではありません。
この記事の監修者 遠藤 愛 講師
全くの異業種から介護の世界に飛び込み、訪問介護員として介護業界での勤務をスタート。住居環境・経済状況が様々なケースを担当。
現在は、医療ソーシャルワーカーとして、地域の在宅・施設の福祉職と協働しながら、数多くの高齢者・障害者とその家族への退院支援業務にあたる。