男性の飲酒率の低下
このところホストクラブの売掛金が社会問題になっており、逮捕者も続出している。これは夜遊びへの嫌悪感が社会に浸透した結果とも言える。飲酒率の推移を見ると、平成元年から令和元年の30年かそこらで男性は51.5%から33.9%に下がっている。女性は6.3%から8.8%に増加。「増えている」とか「減っている」は濫用されがちだが、男性の飲酒率が51.5%→33.9%というのは激減と表現して差し支えあるまい。それに対して、女性は少しだけ増えている。相対的には女の酒飲みがずいぶん増えているのである。だから食い止めようとしているのかもしれないが、たとえば女がホストクラブに行くのを何が何でも食い止めようとするのはパターナリズムかもしれない。自宅で飲めば数千円の酒を、繁華街で10万円で飲んでどうするのか、という強い疑問はあるにせよ、昭和なら男性の多くはそれをやっていたのである。最近になって「高い酒を飲むのは馬鹿らしい」と酒飲みから撤退して、ホストクラブ規制に走るのは、ずいぶんな話である。若い女が高額な酒代を捻出するには風俗しかないし、そこが問題視されているのだが、これは最近になって発生した問題ではあるまいし、やはり男性の飲酒率が減少したことによって男性が冷静になり、女に対して「馬鹿なことはやめろ」と言っているだけである。夜遊びは損失でしかないが、たぶん楽しいのであろうし、昭和の男は大喜びだったわけである。企業の交際費についての税制の変化も背景にあるし、会社の経費で飲むならいいが、自腹で高い酒を飲むのは御免被るというのはあるだろう。会社の経費で飲むのと風俗で稼いで飲むのはどこが違うのか、たぶん常識では違うのだろうが、その常識が通じない人もたくさんいるし、なんにせよ、男性の酒離れが問題の背景である。繁華街で女が飲み歩いている印象が強いのは、数字的にも裏付けられそうだが、それを規制するべきかどうかは何とも言えないところである。