施設責任者が覚せい剤取締法違反で捕まったLGBT支援団体について願うこと

2024年6月14日

掲題の事件、なかなかショッキングな事件でした。本件は、
① 業界トップランナーの経営者が形成するグループ会社の1社で、
② 公的な資金が投入され公的事業の実施場所にも使われている施設で、
③ その施設の現役責任者が、
覚せい剤取締法で逮捕されて懲役2年執行猶予4年がついた
という、とてもすごい話です。

関西の方でNPO法人を経営する牧師さんが同じく覚せい剤取締法違反で捕まった事件がちょっと前にありましたが、あれよりも「公」の要素が強い団体・施設で起こった分だけ、衝撃も大きかった様子。

当該団体の企業としての、また代表者の経営者としての対応があまりにもアレで、それこそマイノリティの方々が色眼鏡で見られかねないと思ったので書きました。

1、概要

① 同社の概要

  • 同社は「LGBTQ+(性的マイノリティ)への理解促進を通じて、金沢そして北陸全体が多様性を大切にし、誰もが安心して暮らせる地域となることを目指」す団体で、その活動内容は「いろんな方が安心できるコミュニティづくりやさまざまな情報発信や支援活動」ということだそうです。

  • 定款にも似たようなことが書いていますね。

  • 後で触れますが、この定款の業務内容に「IT関連事業」や「観光関連事業」等の事業は含まれていないようです。

https://www4.city.kanazawa.lg.jp/material/files/group/39/KRP_teikan.pdf

② 当該施設の概要

  • 当該施設は「LGBTQ+をはじめとする多様な人たちが自分らしく安心して集うことのできる居場所です。バリアフリーのフロアや、だれでもトイレも完備しています。喫茶、ランチ・軽食、性の多様性に関する情報誌やマンガなどもお楽しみいただけます。」とのこと。

  • 後述の通り、本来はクリエイター等の人材集積・交流拠点として補助金を受けているように見えますがいいんでしょうか。私は金沢市民ではないので別にいいですが。

2、同社と公金および公的機関・事業との関わり

① - 1 金沢市AIビレッジ形成促進事業補助金

  • 当該補助金で約8百万円を調達して施設の整備費用の一部に充てたとのこと。

  • 令和6年度の要項では映像・コンテンツ、デザイン、ICTの分野を主たる業務とする事業者が補助対象者のようですね。

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上記URLより。
あくまでもR6年現在のルールです。
(同社が補助を受けたのは2022年)
  • 同社は明らかにその条件を満たさないので、おそらく2022年当時と2024年とでは募集要項が違うのでしょう。

  • 2022年当時は多分同社でも補助対象となる緩い要項だったのだと想像します。

  • だってそうじゃないと説明がつかないし。

  • 上記アーカイブでは当時の募集要項等は見られなくなっていますが、主旨としては現在と変わらず「国内外から優秀なクリエイターやICTエンジニア、プログラマー等を誘致し、人材の集積・交流による新産業創出の促進を目的」としている様子です。

  • 要項の部分はまあいいとして、「性的マイノリティの方々の交流拠点」という現在の運用が補助金の主旨に合致しているかどうかは人によって判断が分かれるかもしれません。

① - 2 よくわからないクラウドファンディング

  • 本題とは関係ありませんが幾つか気になったので。

  • クラウドファンディングの詳細は以下。

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上記URLより
  • 登記面積約145㎡の平屋建て町屋(賃借)である当該施設ですが、補助金とは別の資金も含めて24百万円もの資金が投入されているのはすごいですね。

  • また、同社代表者が経営する別会社が不足金10百万円を立て替えしているのもすごい。お金持ちなんですね。

  • リノベーション内容を見た感じ、クラファンと補助金の2階建て資金調達15.5百万円で十分過ぎるほどまかなえる気もしますが。

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上記URLより
  • クラファンの資金は代表者が経営する別会社が受け取って管理するよ!という謎スキームが光っています。

  • 「立替金」とやらも踏まえると同別会社から建築業者に向けて支払いが行われてそうですが、総額から何割か「管理費用」とかで抜いてるんじゃないの?みたいな無用の誤解を受ける可能性もありますし、今後はやめた方がいいのでは。

② 金沢SDGsツーリズム推進事業補助金

  • 最大補助額50万円程度の補助金のようですね。

  • 令和2年は採択された別会社への協力という形で関わり、令和3年は同社自身が採択されている様子。

https://kanazawa-sdgs.jp/wp-content/uploads/2021/11/211004_交付要綱_金沢SDGsツーリズム推進事業補助金.pdf

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上記URLより
  • 補助対象者は「観光関連事業者」だそうですが、同社は観光関連事業者なんでしょうか?

  • まあ「関連」という単語の捉え方は広いですし、金沢市さんには金沢市さんなりの基準や考え方もあろうとは思いますが。

③ 公的機関・事業との関わり

  • ソースは省きますが、同社は警察でのご講演や、国立大学への出張授業等、公的な組織にも出入りをしておられるようです。

  • また既に色々なところで指摘をされていますが、厚生労働省の「孤独・孤立対策のための自殺防止対策事業」の一環、つまり公的事業として相談も受けているのこと。

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上記URLより
  • 予算の執行状況を調べたところ同社への補助金支出は見当たりませんでしたが、同社代表者の経営する別団体はこの通り同事業を受託しています。

  • 代表者が同じで近似した活動を行っているグループのようです。

  • 当該別団体を経由してニュース記事で紹介されているような公的事業に同社が携わった可能性が高そうです。

  • 覚せい剤が使用されていた場所で自殺防止のための相談も受けていたということについては、何ともコメントし難いものがあります。

  • 当該別団体から同社に対して公金を原資とした外注費等が支払われているのであれば問題かもしれません。

  • 当該別団体から同社への外注・委託等が仮にあったとして、それが有償であれ無償であれ、厚労省的には補助事業の下請け事業者の幹部が覚せい剤取締法違反で捕まったというのはどう判断するんですかね。聞いてみたいものです。

6/14 公開当日に追記

  • 有償で同社への委託はあり、当該別団体にはその外注費相当額を返納させる方向で調整している様子です。

3、事件と同社の責任について

  • 以上、さらっと流すつもりがモヤッとするところが多すぎて長くなってしまいましたが、とりあえずそれは措いておくとして、以上の通り同社は「公」の色合いが強い団体であることに間違いはないと言えます。

  • そこを踏まえて今回の事件を見てみましょう。

① 今回の事件

  • 報道それぞれに細切れに情報が出ており、網羅的に理解がし難いです。

  • 事件以前の報道はこちらなんかが参考になるでしょうか。

  • 事件の報道はこちら。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0c855a29d9486e532ccb09de8f15a27e43a031c0
↑ 元URLが消えちゃったのでアーカイブ ↓

  • 判決の報道

  • 以下、報道から諸要素抜き出し。

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  • 逮捕された同氏は、

  • 施設の責任者で、施設に寝泊まりしていた。

  • 覚せい剤の常習者であり、施設で覚せい剤を使用した。
    (施設での使用頻度は不明。1回だけかもしれないし常習していたのかもしれない)

  • 3月に現役事務局長として逮捕され、覚せい剤や他の違法薬物が押収された。4月に事務局長を退任した。

  • 6月に懲役2年執行猶予4年の判決。

  • これらは概ね事実と捉えて良さそうです。

  • また、押収された覚せい剤の量が2.11gであったことは重要です。

  • 覚せい剤の1回あたりの使用量は0.01g~0.03gと言われていますので、押収された覚せい剤を使用量に換算すると、少なくとも70回分、多ければ210回分余りにあたります。
    (警察は統計資料等で乱用者の通常の1回分使用量を覚せい剤は0.03gと規定しています。)

  • 本人の言なのでどこまで信頼性があるかは不明ながら、本人の使用頻度は「月1、2回」とのことなので、所持量は頻度の割にかなり多量だった様子です。

  • 営利目的所持とは見なされなかった様子ながら、「本人だけで使ってたの?」という疑問が沸く人も少なからずおられそうです。

② 当該事件を受けた同社及び同社代表者のコメント

  • 同社は元スタッフが逮捕されたとの声明文をTweetしています。逮捕された時は現役事務局長なのでミスリードであり、姑息に感じます。

  • 同社代表者は「知らなかったので驚いた」や、「イメージとして薬物使用のようなものが性的マイノリティのコミュニティと紐づけられることはあってはならない」等とコメントしています。

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  • 前者については「他人事か!」と怒っている方々も多い様子ですし、後者については「それは第三者が言うべき言葉では?」と、自身が任じた施設の責任者が信じ難い犯罪で逮捕されたことに対する経営者の姿勢としてかなり批判されています。

③ 問題点

  • これはLGBTやマイノリティは関係ない、団体と経営者の資質の問題です。

  • 信用を回復するためにはズレたコメントをしている場合ではなく、必要なのは「施設の責任者が覚せい剤の常習者だった」ことから連想できる影響の調査です。

  • 違法薬物を供給できるのは反社会的勢力等であるはずです。

  • 施設で寝泊まりしていた人物が覚せい剤の常用者であり、施設で覚せい剤を使用していた上に、多量の覚せい剤が押収されたこと。

  • また同氏が同拠点の責任者であり、一定程度の権限を有していたことが推認できること。

  • 以上を踏まえると、覚せい剤やその他にも押収されたという違法薬物を供給していた反社会的勢力、もしくはそれに連なる人物が施設や同社自体と関わりがなかったかどうかの調査等は必要です。

  • 極端な話、施設に反社やそれに準ずる人物が出入りし、同氏と覚せい剤等の取引を行うようなことはなかったのか?

  • その場合、施設利用者が覚せい剤等の使用や購入を勧誘されたこと等はなかったのか?

  • また、同氏が責任者として行っていた出納に不審なものはなかったのか?等が心配です。

  • 施設の支出先に違法薬物を供給する反社会的勢力の構成員が経営するフロント企業等があった可能性はないのでしょうか?

  • 仮に疑わしいものがあった場合、同氏がポケットマネーではなく施設の資金を実質的に覚せい剤等の購入に充てていた可能性はないのでしょうか?

  • その辺りの疑いの有無や、疑いがないと判断したのであればどのような調査を行ったのか等を公表するのが、無用の疑いを晴らして今後も活動を継続するために重要であろうと思います。

  • これらを「ナアナア」で済ませようとするのであれば、それこそ「薬物使用のようなものが性的マイノリティのコミュニティと紐づけられ」ることに繋がる可能性もありますから、はっきりとさせて欲しいものです。

  • もちろん警察の捜査で十分な調査がなされた部分もあろうとは思います。

  • 警察にはどのような形で捜査協力を行ってどのような結論を得たのか、警察の調査では及ばない部分があるのであれば、そこを団体としてどのように調査するのか等の発表は早急に必要だと思います。

4、まとめ

  • 以上の通り、本件は「公」との距離が近い施設の責任者が、在任中に施設の中で起こした、団体としての責任を問われる事件である点を重々認識していただきたいと願います。

  • また、経営者が「マイノリティ代表」として内閣総理大臣に面会するほどの業界の重鎮であった点も重要だろうと思います。

  • 現在、本件について同社・経営者から発せられているコメントは世間の皆々様が常識として備えている「反社会的勢力の排除」「違法薬物の追放」という価値観を共有できていないのでは?と疑われかねないものです。

  • また同社と同一コミュニティに属する団体はこんなコメントを出しています。

  • 繰り返しますが本件は「公」との距離が近い施設の責任者が、在任中に施設の中で起こした、団体としての責任を問われる事件です。

  • その特異性に触れずに単に「病気でかわいそう」とも受け取れるコメントを出すことはいかがなものかと思います。

  • 団体、経営者、関係団体の言説は、むしろ「LGBT活動家は違法薬物に甘い」なる誤った認識を世間に抱かせかねない危うさを感じます。

  • もし仮に性的マイノリティの方々が不当な差別に苦しんでいるのだとすれば、その支援団体や活動家が誤解されないような対応を、同社・経営者・関係団体には心掛けていただきたいと願います。

以上

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