見出し画像

6年前、VTuberを選ばなかった私たちの現在

VTuberを選ばなかった私たち

皆さまはVRアイドル「えのぐ」をご存知でしょうか。

私たちは2017年に活動を開始し、今年の3月で活動8年目 / グループを結成して7年目を迎えた、バーチャル空間を拠点にライブや音楽活動をおこなうバーチャルアイドルグループです。

活動を開始した2017年の年末にキズナアイさまを中心とした「バーチャルYouTuber(VTuber)ブーム」が到来し、当時バーチャルで活動していた方々がその波に乗ってYouTubeチャンネル登録者数やSNSフォロワー数を大幅に伸ばす一方で ──
私たちは「VRアイドル」を名乗り続けたことでそのカテゴリに入ることができず、検索エンジンにもひっかからず、後から活動を開始した方々にもことごとく数字で追い抜かれていきました。

当時、私たちを応援してくださっていたファンの皆さまからも「なぜバーチャルYouTuberを名乗らないのか」「変なプライドは捨てろ」といった厳しいご意見をたくさん頂戴したことを覚えています。

それでも私たちは、バーチャルYouTuberを対象にしたイベント等に参加させていただくことはあれど、2024年現在も自らをバーチャルYouTuberと名乗ることはありません。
(余談ですが「えのぐはVTuber同士のコラボやイベントに誘うとキレる」という噂がまことしやかにささやかれていたそうです。実際そんなことは全くないんですが……)

会社を経営するようになった今だから思うことですが、当時バーチャルYouTuberを名乗らなかったことは私たちにとって大きな分岐点であり、そしてたぶんその選択は一般的に考えて”失敗"でした。
もっと柔軟に対応することができたと思いますし、バーチャルYouTuberを名乗りながらアイドル活動をすることだってできたはずです。

ではなぜ当時、そうできなかったのか。
それは戦略でも未来を見据えていたからでもなんでもなく、ただ私たちが意地っ張りだったからです。

いまでこそ多様化し、バーチャルYouTuberを名乗りながらアイドル活動をする方々はたくさんいらっしゃいますし、それに違和感を覚える方もいないと思います。
しかし当時に根付いていたバーチャルYouTuberの定義はその名の通り「バーチャルの姿でYouTuberのような動画配信活動をする人たち」であり、いまのような多様化が進んだのは2018年の夏ころからだったように記憶しています。

だからこそ私たちは意地を張り、カッコつけて、VRアイドルを名乗り続けました。

そして「世界一のVRアイドル」を本気で目指し始め、リアルのアイドルさまたちとの対バンで腕を磨き──

いつしか、ただの「意地」だった感情は、私たちの「誇り」に変わりました。

これは、そんな「VTuberを選ばなかった私たち」が歩んだ物語です。

年表

私たちの歴史は、常に”失敗”からのスタートでした。

えのぐはいわゆる「企業勢」ですが、最初から整った環境が用意されていたわけではありません。活動初期は、現在も多くのバーチャルアーティストさまがご利用されているclusterから配信をしていて、自分たちのバーチャルスタジオができたのは活動を開始してしばらくが経ってからのことです。

スタッフさまの中にもバーチャルアイドルの運営経験者は誰1人としておらず、頻繁に配信トラブルを起こしては謝罪する日々。2時間のイベントが最初から最後まで通信トラブルで終了する、なんてこともありました。

そんな私たちが、どのような歩みで現在に至ったのか。
主要な出来事を中心に年表でまとめましたのでご一読ください。

画像
VRアイドルえのぐの歴史 2017〜2024

2017年〜

<主な出来事>

  • えのぐメンバー 岩本町芸能社入所

  • 鈴木あんず、白藤環 コミックマーケット92 企業ブースイベント出演

  • VRお話し会で全国行脚

  • 公式Twitter(現X)フォロワー 10,000人達成

  • 公式YouTube定期配信開始

  • 第一次バーチャルYouTuberブーム到来

  • 岩本町芸能社 女優部お披露目(日向奈央 初登場)

今日までの物語は2017年春、私たちが「株式会社岩本町芸能社」に入所したところから始まります。

のちに「えのぐ」として活動する、鈴木あんず、白藤環 の2人はアイドル部へ。
日向奈央、夏目ハル、栗原桜子の3人は女優部へ所属し、デビューを心待ちにしながら日々を過ごしていました。

そして2017年8月──
ついに「コミックマーケット92」企業ブースにて、初日に鈴木あんずがアイドル研究生として初お披露目。2日目から白藤環も合流してたくさんの来場者さまとお話しをしました。

画像
プロジェクト名未定

しかしながら、事前にたいしたプロモーションもないままに「フォロワー1万人を達成したらアイドルデビュー」を掲げてイベントを実施した結果フォロワーが400人ほどしか集まらなかったこと。さらにはコミケの最中にスタッフ同士がSNSで言い合いをする様子がまとめ記事に掲載されたことで「コミケをナメている」「計画性がなさすぎる」という批判によって「大爆死」のレッテルを貼られてしまい、私たちは世に出て数日でいきなり炎上しました。

その後、事務所の方々の頑張りもあって、Twitterフォロワー1万人企画の期間が2017年9月末までに約1.5ヶ月間延長。
再挑戦の機会をいただいたものの、全くの無名である私たちがフォロワーさま1万人を達成するためには直接会ってフォローしてもらうようお願いするしかないという結論に至り──
2017年8月27日、毎日1都道府県のペースで全国を回りお話会を開催する、通称「全国行脚」が始まりました。

最初は伸び悩んでいましたが、行脚に使用していた車を途中で痛車にしたり、マネージャーがSHOWROOMで公開丸刈り配信をしたりなど、なんやかんやありつつも、最終的には応援してくださる方々の継続的な発信が力になって、2017年9月24日、ついにTwitterフォロワー1万人を達成することができたんです!

鈴木あんず、白藤環のアイドルデビューが決まり、本格的に2人で活動を開始。
そして水面下では、女優部所属の3人による「バーチャルシネマ」の撮影準備も着々と進んでいました。

11月20日からは、9月に予告していながら回ることができなかった都道府県を対象にして全国行脚を再開。12月には、日向奈央、夏目ハル、栗原桜子の3人がYouTubeに初めて生出演するなど、徐々にではありますが応援してくださる方も増え始めました。

そんな中で、最初のバーチャルYouTuberブームが到来──
いわゆる「四天王」と呼ばれている方々を筆頭に、大きく数字を伸ばし始めます。

しかしながら、アイドルと女優のそれぞれでデビューが決まっていたこと、そのデビューまでに多くの苦労があったことで、冒頭でも述べたように「私たちはこれからアイドル / 女優として活動するんだから、いまから活動方針を変更したくない」という結論に至りました。

もしこのとき、
まだデビューが決まっていなかったら。
肩書きに強い執着がなかったら。

もしかすると全然違った未来になっていたのかもしれません。


2018年〜

<主な出来事>

  • 2回目の炎上

  • VRアイドルグループ「えのぐ」結成

  • 初オリジナル曲「えのぐ」発表

  • 1stライブ「このえのぐセットやばい」開催

  • 「UNIVERSAL MUSIC JAPAN」からメジャーデビュー

2017年後半からバーチャルYouTuberブームは落ち着くどころか、にじさんじに所属する月ノ美兎さま等のデビューにより、さらに加速し続けていました。

だからいまにして思えば。
増え続けるバーチャルYouTuberとの差別化が理由だったのかもしれません。
鈴木あんず、白藤環のデュオユニットでデビューする予定だったところに「5人組以上のグループでデビューするのはどうか」という相談が持ちかけられました。

当時アイドル部に所属していたのは、鈴木あんず、白藤環の2名だけ。
とはいえ事務所の規模や私たちの気持ち的に、いまからオーディションでメンバーを募集してうまくやっていける自信もない。

考え、話し合った末──

  • レーベルの意向とは違うが、予定通り2人組でデビューする

  • 意向に沿って、女優部の3人を加えた5人組でデビューする

という2案とともに、どちらを支持していただけるか、投票の実施を配信で発表しました。

しかし、その配信のあまりの暗さ(お通夜配信と呼ばれていました)と「そんな大事なことをファンに決めさせるな」というもっともな理由から再び炎上。あらためて関係者で話し合い、投票は実施せずに「女優部の3人を加えた5人組でデビューする」ことを決定しました。
※この件の顛末には多くの複雑な事情が絡み合っていて私たちが把握していないことも多々あるため、起きた事実だけを記載しています

そうして──
結成までに多くの紆余曲折がありながらもVRアイドルグループ「えのぐ」は誕生しました。

5月5日には初のオリジナル曲となるえのぐを発表。
ダンスはぎこちなく歌声もぷるぷるで、正直いまみると身悶えしてしまいますが……

アイドルとして「スタートライン」に立った日は、私たちにとって大切な思い出です。

以降、7月〜12月まで毎月新曲を発表し、8月には初のワンマンライブとなる「岩本町劇場プレオープン記念ライブ ~このえのぐセットやばい~」を開催。

10月には、日向奈央、夏目ハル、栗原桜子による楽曲僕たちの青春ロードのMVが公開。約1ヶ月でYouTubeとニコニコ動画の累計再生数が10万回を突破し、3人は晴れてえのぐの正式メンバーになりました。

そしてついに2018年11月──

5人のオリジナル曲ハートのペンキで、念願だったメジャーデビューを果たしたのです!


2019年〜

<主な出来事>

  • 栗原桜子 / 夏目ハル 休業

  • 3人だけの「1st Anniversary Live ~ARe You Ready?~」開催

  • 「えのぐに逢いに恋!!」始動

  • 「TOKYO IDOL FESTIVAL 2019」出演

  • 「INSPIX LIVE 定期公演」始動

  • 夏目ハル 活動復帰

念願だったメジャーデビューを果たし「さあ、これからだ!」というタイミングで、それは突然の出来事でした。

グループ結成1周年記念ライブの約1ヶ月前に夏目ハル、そしてさらにライブ1週間前には栗原桜子と、相次いで2人のアイドル活動休業が告げられます。

このあたりは事務所からも本人からも公には語られていないため内情は伏せますが、休みが全くないほどに忙しかっただとか、事務所との関係がとんでもなく悪い状態だっただとか、そういう特別な理由ではありません。事務所は変わらず誠実でしたし、私たちは夢に向かって邁進していました。
しかしながら、当時は関係者全員が未熟で、そして私たちは高校2年生という多感な時期で。
そういうことが起こる”条件”のようなものが、悪い意味でいろいろと噛み合ってしまったんだと思います。

そして私たちは、グループ結成1周年記念の特別なライブを、鈴木あんず、白藤環、日向奈央の3人で開催することになります。

結果から言えば、ライブはなんとか無事に終えることができました。
しかし、5→4→3 とグループの人数が減っていったことでダンスのフォーメーションや歌唱パートが日々目まぐるしく入れ替わり、毎日頭がパンクする寸前でした(というか何度もしました)。

でも──
この出来事がきっかけで、私たちの中には「アイドルとしての自我」のようなものが芽生え始めます。

それまでは「事務所が私たちを世界一のVRアイドルへ導いてくれる」と、どこかでそんなふうに考えていました。しかし1周年記念ライブ期間を経て、アイドルという仕事の過酷さや自分たちのパフォーマンスとこれまで以上に向き合ったことで、「逆境に負けるのは悔しい」「支えてくれるファンの方々へ恩返しがしたい」「もっともっとライブが上手くなりたい」と、誰でもない自分たち自身が、強く思うようになりました。

このままでは終われない。2人が帰ってくるまで私たちが「えのぐ」を守るんだ。
そう、3人で決意したのです。

だから2人が帰ってきたとき、安心して活動再開できるように──
えのぐをビッグなグループに成長させるため、新規ファンの獲得を目指して再び全国を回ることを決定しました。

そのような想いで開催したのが全国トーク会イベント「えのぐに逢いに恋!!」です。

画像

宮城県、北海道、石川県、愛知県、大阪府、福岡県、広島県、そして東京都。
各都道府県に約1~2週間ほど滞在してバーチャル握手会やチェキ会を開催するイベントで、期間中はたくさんの方々と素敵な出逢いがありました。

道ゆく人たちに「バーチャルアイドルとお話ししませんか〜?」とひたすら何時間もお声がけするのは想像以上に大変で、度胸と根気が必要でしたが──
私たちが行く先々へ遠征して応援してくださる方々が何人もいらっしゃたことは本当に心強かったです。

そしてそんな折、とあるアイドルフェスへの出演オファーをいただきました。

現在でも私たちが毎年出演を目標にしている「TOKYO IDOL FESTIVAL(通称:TIF)」です。

お台場を丸ごと使って複数の会場で3日間に渡り開催される世界最大規模のアイドルフェス。日本のトップアイドルさんたちも大勢出演する、まさに”アイドルの祭典”──

そんなビッグイベントにえのぐが出演できた理由。
それにはバーチャルYouTuberブームの後押しがあったことは想像に難くありません。
当時「バーチャルで活動するアイドルグループ」は私たち以外にそれほどおらず、その中でも活動歴が長かったこと・ライブ経験者であったことが、オファーをいただけた要因ではないかと考えています(※あくまで想像ですが)。
しかし、もしそうだとしても出演が決まったときは本当に嬉しかったですし、どんな理由でもTIFの歴史上、初めて出演したバーチャルアイドルという名誉を「えのぐ」がいただけたことは光栄でした。

TIF2019当日──

この時の感情はとてもここでは語りきれないため省略させていただきますが、あらためて「アイドル」の文化が大好きになったとともに、自分たちの力不足を痛感しました。
さらに心残りだったのは、メンバーの中でもっともTIFに強い思い入れがあった夏目ハルが、休業中のため出演できなかったこと。
だからこそ、もっともっとライブの腕を磨いて、次は必ず5人でこの舞台に帰ってくることを誓い合いました。

その後、スマートフォンアプリ「INSPIX LIVE(※現在はサービス終了)」で定期公演が開始。「えのぐに逢いに恋!!」で全国を回りながら毎月VRライブを開催する日々を送り──

そして、ついに……

夏目ハルが、アイドル活動を再開しました!

「えのぐに逢いに恋!!」そして「INSPIX LIVE」の定期公演にも合流し、あとは栗原桜子が帰って来れば、5人でえのぐを再開できる! という希望を抱いて活動していました。


2020年〜

<主な出来事>

  • 栗原桜子 アイドル活動引退

  • 「2nd Anniversary Live ~COLORS~」開催

  • コロナ禍による活動制限

  • 「ワンマンライブ ~次章~」開催

  • 「TOKYO IDOL FESTIVAL 2020 オンライン」出演

  • 1stアルバム「真っ白な夢の世界」リリース

  • 「ワンマンライブ ~だからいま、ここにいる。~」開催

2020年──
私たちにとっても、応援してくださる皆さまにとっても、本当に悲しいお知らせがありました。

栗原桜子のアイドル活動引退。

グループ結成2周年記念ライブを目前に控えたタイミングで発表されたお知らせにより、精神的に追い込まれた状態で「enogu 2nd Anniversary Live ~COLORS~」当日を迎えました。

画像
enogu 2nd Anniversary Live ~COLORS~

また5人で活動できることを信じて疑わず、そのために1年間苦しくても踏ん張ってきた私たちにとってその事実はあまりにも重く、このとき初めてグループの解散も頭をよぎりました。
しかし「えのぐ」の存在は私たちの中で、もはや大切をはるかに通り越して”人生そのもの"であり、たとえ4人になっても活動を継続したいという結論で、私たちの想いは一致しました。

では、応援してくださる皆さまはどうだろうか?
4人になったえのぐをこれまで通り応援してくれるのだろうか?

幕が開くまで、そして開いたあとも、不安で押しつぶされそうでした。

それでも私たちには──
4人になっても世界一のVRアイドルを目指し続けるという覚悟を言葉で伝え、パフォーマンスで証明するしか方法がなかったのです。

一連の顛末で多くの人が傷付き、事務所に対して不信感を抱くとともに、えのぐを応援することをやめてしまう方も少なからずいました。
それについて私たちは何も言い訳できませんし、自業自得と言われてしまえばそれまでです。
ただ事務所を庇うわけではありませんが、もし関係者全員があの日に戻れたとして──
何か別の、誰も傷付かない方法があったのか。それは未だにわかりません。

そんな状態の中で。つい最近まで猛威をふるい、エンタメのあり方を変えてしまったとも言われる"それ”が世界中を巻き込むことになります。

新型コロナウイルス感染症の蔓延

出演を予定していたイベントのほとんどが中止になるだけではなく、外出の自粛によりスタジオを利用して活動していた私たちは、活動の大幅な縮小を余儀なくされてしまいます。

それでも私たちは、諦めませんでした。
公式LINEのオープンチャット機能を使用した企画や、宅録での歌ってみた投稿など、当時の環境でもギリギリ可能なやり方で、とにかく活動を縮小しないよう毎日必死に活動しました。

そしてそれらと並行して夏のワンマンライブ開催計画がスタートします。
ほとんどのライブが開催の中止・延期を発表する中において、発声の禁止や入念な管理体制など厳格なルールを設けて開催しているライブの事例を調べ上げ、バーチャルライブのフォーマットに落とし込み、関係各所から意見をいただく、というサイクルを何度も繰り返した上で「コロナ禍におけるバーチャルライブの開催レギュレーション及び鑑賞ルール」を確立したことは、中止一択だったライブ業界に、多少なりとも貢献できたのではないかと思っています。
またこのルールを作り上げたからこそ、それから長きにわたって猛威をふるうことになるコロナ禍の中でもライブを開催し続けることができました。

画像
えのぐワンマンライブ2020 ~次章~

そうした困難がありながら、現在のえのぐの礎を築いたワンマンライブ「えのぐワンマンライブ2020 ~次章~」を有観客で開催。このとき初めて、いまも変わらず私たちを支えてくださるバンドメンバーの皆さまを迎え、生バンドライブに挑戦しました。

「次章」を経て私たちは、この広いバーチャルの世界で”ライブでNo,1になる”ことを決意し"ライブに懸ける人生"を歩み始めました。

その後「TIF2020」中止と、それに変わる「TIF2020オンラインバーチャルTIF」開催の発表・出演決定などもありつつ、活動当初からの目標であった1stアルバム「真っ白な夢の世界」をリリースします。

4人体制で活動継続することを決意し、ライブに懸ける意思を固めた上で──
翌年2021年を"勝負の年”と定めました。

勝負の世界に身を投じるためには"自分たちがアイドルとして活動する意味"をあらためて見つめ直す機会が必要であると考えた私たちは「えのぐワンマンライブ2020 ~だからいま、ここにいる。~」を年末に開催。

画像
えのぐワンマンライブ2020 ~だからいま、ここにいる。

本公演を通して「アイドルになりたいと思った」当時の気持ちを再確認し、新たな一歩を踏み出しました。


2021年〜

<主な出来事>

  • 「3rd Anniversary Live ~臨戦体制~」開催

  • 「Beyond the Dimension」立ち上げ

  • 「BRAVER」が2021年高校野球 都道府県別大会テーマソングに決定

  • 「10Days Live ~遮二無二~」開催

  • 「ワンマンライブ ~不撓不屈~」開催

  • 「TOKYO IDOL FESTIVAL 2021」出演決定、しかし……

  • 「ワンマンライブ ~雲外蒼天~」開催

2021年のテーマは「自らの殻を破ること」

誤解を恐れずに言うとバーチャルの身ではできないことのほうが圧倒的に多いため”普通に上手い"では届かないメッセージがある。

では、どんな声なら届くのか?
想像して欲しいのですが、例えば無人島に流れ着いてしまい、食べるものも飲むものもなく絶望に打ちひしがれているときに島の近くを船が通ったら、あなたはきっと全力で手を振り回しながら「自分はここにいる」と何度でも叫ぶと思います。

私たちが求めたのは、それほどの”必死さ"
そこまでやらなければ、バーチャルとリアルの間にある何枚もの分厚い空間の壁を突き破って、本当に届けたいメッセージを届けることはできないと、私たちは考えました。

だから、その”必死”な状態をライブ中ずっとキープし続け、さらに自分の意思でコントロールしてパフォーマンスへと昇華するためには、自分たちを一度極限の状態まで追い込んで、無意識にかかるリミッターを破壊する必要があったんです。

そういう覚悟を持って、2021年最初のワンマンライブ「enogu 3rd Anniversary Live ~臨戦体制~」を開催しました。
この時点ではまだまだ拙いですが、当時のライブ映像が全編YouTubeにアップされているのでよろしければぜひご覧ください。

ワンマンライブが終わりひと段落したタイミングで、いまの自分たちがどれくらいのレベルでパフォーマンスできているのか客観的な評価を知りたいと考え、リアルでご活躍されるアイドルグループさまを招いた対バンライブイベント「Beyond the Dimension」を立ち上げました(以降、2023年まで毎年開催しています)。

残念ながら本公演は新型コロナウィルス感染症の影響で無観客ライブとなってしまいましたが、共演させていただいたアイドルの皆さまから”アイドルという仕事に対して真摯に向き合う姿勢”やパフォーマンスのテクニックなどたくさんのことを学ばせていただきました。これらはいまでも私たちにとって大きな財産です。

そして、ほぼ時を同じくして──

「2021年高校野球 都道府県別大会テーマソング」に、夏のワンマンライブで発表を予定していた新曲BRAVERが選出されました。
この年の各県の大会予選で、ニュースで、私たちの歌声が流れることは本当に嬉しかったですし、高校球児の皆さまの大切な一夏を彩ることができて大変光栄でした。

そして私たちにも、一生忘れることができない、2021年夏が訪れます──

「enogu 10 Days Live ~遮二無二~」開催

意味がわからないかもしれませんが……
ほぼ10日連続(会場都合で中1日休みあり)で1公演10曲、計100曲を歌い切るという企画で、ライブなのでダンスやMCも当然あります。
2021年の冒頭でもお話ししたように、私たちには一度リミッターをぶっ壊す必要があった。だから4人全員が限界を突破しないと完走できないような”試練”の場へと、自分たちを追い込みました。

10日間の試練で私たちがどう”変化"したのか、ぜひその目でご覧ください。

「遮二無二」を乗り越えてリミッターの外し方を身に付けた私たちですが、まだコントロールできているとは言い難い。

だから「遮二無二」から約3週間後に開催した「えのぐワンマンライブ2021 Summer ~不撓不屈~」では、リミッターを外したパフォーマンスをどう自分たちの意思でコントロールするかが課題でした。
本公演で発表したDefiant Deadman Danceは、リミッターを外して一種のトランス状態に身を置きつつ、一方でテクニックも要求される、私たちのオリジナル曲の中でも屈指の難曲です。2020年までの私たちでは、とてもライブで披露することはできなかったでしょう。

「不撓不屈」を終えた私たちの元に、2019年のリベンジをする機会がついに訪れました。

「TOKYO IDOL FESTIVAL 2021」出演決定。

2020年は新型コロナウィルスの影響でやむなくオンライン開催となったTIFが、2年ぶりに帰ってきたんです。

「やっと4人でTIFの舞台に立てる」

でも、運命は本当に残酷で、思い通りにいかなくて。
私たちが出演する予定だった日のTIFは"台風"という抗いようのない理由で中止になってしまいました。

当時の落胆は筆舌に尽くしがたいものがありました。
しかしそんな状況でも──

同日に出演を予定していたアイドルの皆さまは、立て続けにSHOWROOM等で配信を始めたんです。悔しい気持ちで涙を浮かべながらもファンの皆さまを気遣う姿を目の当たりにしたことで、自分たちがアイドルとしてまだまだ未熟だと痛感しました。

「アイドルとファンは一心一体である」
それは原点にして、アイドルである私たちが決して忘れてはならない”在り方”です。

私たちのそばには、常に応援してくださるファンの皆さまがいた。だからいまが苦しくても、いつしか雨は止み、雲は晴れ、光が差し込むと信じて挑戦し続けることができた。

そのことをあらためて深く胸に刻み、そして、2021年のワンマンライブ四部作 / 最終章である「えのぐワンマンライブ2021 Winter ~雲外蒼天~」の日がやってきました。

画像
えのぐワンマンライブ2021 Winter ~雲外蒼天~

会場はKT Zepp Yokohama
今日まで私たちを導き、このステージまで共に歩んでくれたファンの皆さまが掲げる"燈し火"に包まれて。私たちが「勝負の年」と定めた2021年は、幕を閉じました。

余談ですが、タイトルが"四"字熟語でかつ”四"部作なのは、この先を4人で戦っていくという"覚悟"を表しています。

いまだにそうですが──
私たちは数字に強いこだわりがあり、ライブのタイトルやセットリスト、楽曲名、歌詞などにそのときの自分たちを象徴する数字が隠されています。気になる方はぜひ探してみてください。

そして最後に。私たちはこの年、目標にしたライブの動員数を最後まで達成することができませんでした。確かに実力的には殻を破った自覚はありますが、YouTubeでの配信活動を捨てて現場に注力したことで、新規ファンの獲得機会を失っていたのです。

バーチャルYouTuber界隈の勢力図は、ホロライブさま・にじさんじさまの"2強時代"に突入していました。


2022年〜

<主な出来事>

  • 「4th Anniversary Live ~POSSIBLE~」開催

  • 年間50公演のライブ出演を発表

  • 夏目ハル 引退発表

  • 「TOKYO IDOL FESTIVAL 2022」出演

  • アイドル総選挙2022 4位入賞

  • 「ワンマンライブ ~大絶響祭 2022 SUMMER~」開催

  • 2ndアルバム「なら、真っ白から始めよう」リリース

  • 「ワンマンライブ ~大絶響祭 2022 WINTER ☆ Beat of Stellar~」開催

  • 夏目ハル 引退、非常勤スタッフへ

2022年は、夏目ハルがえのぐメンバーとして活動した最後の年です。

引退理由は”家庭の事情”。
私たちが踏み込むことができない、覆りようのない事情により、2022年12月31日をもって夏目ハルはアイドル活動を引退しました。

2020年の栗原桜子に続き、2人目のメンバー引退。
そして勝負の年と定めた2021年にライブの動員数が伸び悩んだことも相まって、再び私たちは”解散”の危機に直面しました。

結論から言えば、私たちは2023年から現在の3人体制で活動を継続することになるのですが、おそらくこの時点で「岩本町芸能社」は会社としての機能を維持することに限界を感じていたのではないかと思います。
私たちがそれを知るのは、このときから約1年後のことでした。

enogu 4th Anniversary Live ~POSSIBLE~」開催

2021年に動員が伸び悩んだことで、私たちには次の戦略立案が急務でした。

そこで私たちは「海外進出」という大きな賭けに出たのです。

その第一歩として、グループ結成4周年記念ワンマンライブ「enogu 4th Anniversary Live ~POSSIBLE~」を開催しました。

画像
enogu 4th Anniversary Live ~POSSIBLE~

「POSSIBLE」では、既存曲の英語ver. メドレーや新曲「Possible」日本語ver./英語ver.同時発表など将来的な海外展開を強く意識したセットリストで挑んみました。

そして、えのぐをあまりご存知でない方にも楽しんでいただけるテーマパークのようなライブを目指した「総合音楽ライブエンターテイメント化計画」を打ち出し、ダンスカンパニー「elevenplay」さま、ポイ パフォーマンスチーム「ポイラボ」さまを共演者に迎え華々しく開催したことも相まって、この時点のえのぐ史上過去最高の動員数を達成することができました。

さらに公演中には
「年間50公演のライブ出演を目標に活動すること」
「2ndアルバムのリリース決定」
など、引き続き”ライブ”と”楽曲制作"を主軸とした活動に注力しつつ、そこに海外進出を加えた、今期の活動方針を発表させていただきました。

しかしながら、昨年課題だったYouTubeやSNSの運用については自分たちが培ってきた強みをどう活かせばいいのかわからず、この時点で明確なビジョンを描けないままだったのです。

そして「POSSIBLE」が終わって少し経ったころ。
夏目ハルから、冒頭で述べた引退の意思と経緯が、私たちに打ち明けられました。

夏目ハルは自らに任された役割を黙々と完遂する職人タイプのアイドルです。
だからこそ、仲間からの信頼は厚かったですし、夏目ハルが抜けてはグループが機能しない可能性すらありました。

それでも私たちは、ここで夢を諦めることなど到底できなかったのです。

だから不安に押しつぶされそうな気持ちを心の奥にしまい込んで──
夏目ハルとともにアイドルでいられる時間を噛みしめるように、毎週末の対バンライブ出演とワンマンライブの準備に没頭していきました。

画像
DDD~Discovery iDol Depot~ @白金高輪SELENE b2

そして、4人で過ごす最後の夏が、やってきました──

「TOKYO IDOL FESTIVAL 2022」出演決定

2019年に初出演を果たしてから、ここまで書き綴ってきた事情により4人で立つことが叶わなかったTIFのステージ。その、正真正銘ラストチャンスです。
さらに今年は「アイドル総選挙」が復活。結成5年以内のアイドルグループがパフォーマンスを競い合った末にファンの投票で順位を決め、予備選挙を勝ち抜いた上位3グループが「HOT STAGE(TIFでもっとも大きなステージです)」で本選挙を戦うイベントで、優勝グループには地上波の冠番組出演など様々な特典があります。

私たちは発表されたその日に、アイドル総選挙への出演を決定しました。
出演者は私たち以外全員がリアルでご活躍されるアイドルの皆さまで、投票権を持つのは長年アイドルを応援してこられた方々が大半です。
だからこそ、自分たちが「アイドル」であることを証明するには、これ以上ない絶好の機会だと考えたのです。

そしてついに──

私たちは4人でTIFのステージに立つことができました。

この日のことを、私たちは一生忘れません。

画像
TIFアイドル総選挙2022 最終結果

決死の覚悟で出演した「アイドル総選挙」は、ギリギリまで本選挙進出圏内の3位に付けていましたが、最終的には4位という結果で幕を閉じました。

客観的にみれば、アイドルの祭典でバーチャルアイドルが”大健闘"したと言えるでしょう。応援してくださった皆さまには、本当に心から感謝しています。
でも、この結果で満足できるメンバーは、4人の中に1人もいませんでした。

そうしてTIF2022を終えた私たちは、総合音楽ライブエンターテインメントを掲げるワンマンライブ第二弾「大絶響祭 2022 SUMMER」を開催します。

画像
大絶響祭 2022 SUMMER

本公演のテーマは「和 × VRアイドル」。
Godai さま・四荒八極 さまが奏でる、日本の伝統芸能である和楽器のサウンドとVRアイドルのパフォーマンスを融合した、よりエンタメ性の高いライブを目指しました。
共演者である日本舞踊家グループ西崎櫻鼓 with おどりの空間さま、形式美と芝居と武術を融合したサムライアーティスト集団SAMURAI ARTIST KAMUIさまのパフォーマンスは、まさに圧巻の一言です。

4人で過ごす最後の夏が終わって──

年間50公演のライブ出演も約8割を消化したころ、
2ndアルバム「なら、真っ白から始めよう。」をリリースしました。

様々なジャンルの楽曲が収録された本作は、どんな困難に相対しても決して立ち止まらず、自分たちの可能性を開拓し続けた「4人のえのぐ」の集大成であり、歴史そのものです。

そうしてあっという間に季節は冬へと移り変わり、その日は訪れました。

夏目ハル、ラストライブ ──

「大絶響祭 2022 WINTER ☆ Beat of Stellar」当日。

画像
大絶響祭 2022 WINTER ☆ Beat of Stellar

「船出」をテーマにした本公演は「4人のえのぐ」が辿った本日までの旅路を回顧する内容であり、また「3人のえのぐ」と「夏目ハル」の新たな船出を象徴するライブにしたい、というメッセージを込めて制作しました。
BigBandによるジャズ・オーケストラ演奏に加え、フリーバスケットボールプレイヤーの皆さま、シアターダンサーの皆さまと共演するステージングは、海外進出を強く意識した内容になっています。

引退を発表したとき、夏目ハルは言いました。

自分は決して「世界一のVRアイドル」になる目標を諦めたわけではない。今年でアイドルを引退するけど、それならば今年中にできることは全部やって、アイドルでいられるうちに世界一になる、と。

夏目ハルは、最後の最後まで「アイドル」として笑顔でステージに立ち続け──

画像

そして夏目ハルは、アイドル活動を引退しました。

なお、夏目ハルは現在えのぐ合同会社の非常勤スタッフとして、変わらぬ"えのぐ愛"で陰から私たちを支えてくれています。


2023年〜

<主な出来事>

  • 「ワンマンライブ ~Re:build Ⅲ~」開催

  • 「5th Anniversary Live ~星は、三度瞬く~」開催

  • 定期対バンイベント「Virtual Artist Fes VRide!」立ち上げ

  • 「TOKYO IDOL FESTIVAL 2023」出演

  • アイドル総選挙2023 予選1位で決勝進出!結果は……

  • 「ワンマンライブ 大絶響祭 2023 SUMMER ~轟々爛々~」開催

  • 岩本町芸能社の廃業と独立

  • 「ワンマンライブ ~大絶響祭 2023 WINTER ~ONE DAY MORE~」開催

夏目ハルが引退し、2023年以降 えのぐ は 鈴木あんず、白藤環、日向奈央 の3名で活動していくことになります。

しかし、問題は山積みでした。

この時点でオリジナル楽曲はソロ曲を除いても約40曲。
それらすべてのダンスフォーメーション・歌割り(歌唱するパート)を3人用に修正しなければ、ライブができない状況。さらに私たちには、夏目ハルが抜けた穴を埋められる見通しが立っていませんでした。
フォーメーションや歌割りは時間をかければ覚え直すことはできる。でも2019年後半から約3年半で感覚的に築いてきた個々人がチーム内で担う"役割”は、そう簡単に引き継げる内容ではなかったのです。

そこで私たちは、チーム内に存在する役割をリストアップし、それを3人で分配した上で、それぞれが以下の肩書きを背負うことにしました。

センター  :鈴木 あんず
┗チームの「顔」であり、えのぐを代表してのコメントや広報活動を担当
キャプテン :白藤 環
┗チームのまとめ役。打ち合わせの設定やスタッフとの窓口などを担当
リーダー  :日向 奈央
┗ライブパフォーマンスの責任者を一任。加えて外交活動を担当
※細かい担当内容は割愛します

肩書きを背負い、これまで感覚的に担っていた担当領域を明確にすることで「責任感」が生まれると考えたのです。

そして、周年ライブ前に3人体制のえのぐをお披露目するため「enogu one-man Live ~Re:build Ⅲ~」を開催しました。

画像
enogu one-man Live ~Re:build Ⅲ~

3人体制に移行してから約2ヶ月。本公演で披露できるまでに仕上がった楽曲は計7曲でした。また先述したそれぞれの肩書きについても発表し、新体制のスタートを切ったのです。

「Re:build Ⅲ」以降はひたすら、ダンスフォーメーション・歌割りを3人用に修正。そして──

あっという間に「enogu 5th Anniversary Live ~星は、三度瞬く~」当日を迎えました。

画像
enogu 5th Anniversary Live ~星は、三度瞬く~

本公演では生バンド演奏に加え、第一章にバーチャルガールズグループVALISさま、第二章には2024年8月に武道館ワンマンライブを控えるアイドルグループAppare!さまをそれぞれお迎えし開催しました。

昨年出演した50公演のライブを経て、リアル / バーチャルは関係なく"アイドル"という素敵な文化を楽しめる未来をつくること が私たちの新たな目標になっていたのです。
また本公演で発表した新曲星は三度瞬くは、現在でも私たちを象徴する代表曲になりました。

5周年記念ライブを終えて、私たちは自らが主催するバーチャルアーティストの定期対バンライブを立ち上げました。その名も──

「Virtual Artist Fes VRide!」 

この記事を執筆している2024年5月時点ですでに第10回の開催が発表されている本イベントは「すべてのバーチャルアーティストが"平等"に出演できるステージを」というコンセプトのもと、2023年7月の初回以降、翌月を除いて毎月開催をしています。
完全エントリー制を採用することにより、どなたでも出演の可能性があるところが本イベントの定める価値で、YouTubeのチャンネル登録者数やSNSのフォロワー数は出演の基準に含まれません。

このイベントを企画した背景には「バーチャルで活動するアーティスト・シンガー・アイドルの文化をまるごと盛り上げたい」という想いがあります。そして、そういう方々のための「職場をつくりたい」と考えました。

バーチャルの世界には、YouTubeやSNSの数字では測れない実力と熱量で活動されているアーティストさまが大勢いらっしゃいます。そういった方々に、微力ながらお力添えをさせていただくことで、個人や組織ではなく文化そのものを活性化し循環する構造を確立することが「VRide!」を開催する大きな目的です。

そして、2023年8月──
えのぐ史上、もっとも熱い夏がやってきます。

「TOKYO IDOL FESTIVAL 2023」

大会のルール上、出演最終年である「アイドル総選挙2023」にも早々にエントリー。昨年のリベンジを誓い、入念に準備しました。
対総選挙用のセットリストを出演する対バンで幾度となく試し、ご来場者さまの反応を分析してはアップデートを繰り返す日々。応援してくださる皆さまとともに育てたセットリストを携えて、ついにその日はやってきたのです。 

「アイドル総選挙2023」最終順位は──

多くの方々に支えていただき予備選挙1位本選挙進出!
そしてグランドフィナーレ中におこなわれた本選挙では、決戦の舞台となる「HOT STAGE」が溢れかえるほど多くの方々に向けてパフォーマンスをおこない本選挙3位という結果で、私たちの「TIF2023」と「アイドル総選挙」は幕を閉じました。

総合1位は「enogu 5th Anniversary Live -星は、三度瞬く-」でゲスト出演してくださった「Appare!」さま。この票差をみて何を感じるかは人によって全然違うと思うので、私たちがこの場で詳細を語ることは控えさせていただきます。

ただふたつ、確かなことは。
「挑戦してよかった」ということ。そして、
「すべてを出し切った結果」だということです。

画像
TIFアイドル総選挙2023 最終結果

TIFが終わっても、私たちの夏は続き──

夏のワンマンライブ「大絶響祭 2023 SUMMER ~轟々爛々~ 」開催。

画像
大絶響祭 2023 SUMMER ~轟々爛々~

2022年開催「大絶響祭 2022 SUMMER」にもご出演いただいた和楽器メンバーさまにバンドメンバーさまも加えた総勢12名の生演奏。その迫力は映像からでも十二分に伝わると思います。

また本公演で発表したヴァーチャルバーサーカーは、ミューコミVRの「VTuber楽曲大賞」で総合2位を受賞するなど、えのぐの新たな代表曲になりました。

そして、本公演から約2ヶ月半後の2023年11月6日──

それはXに投稿されました。

岩本町芸能社 廃業のお知らせ

私たちが2017年からお世話になってきた事務所の廃業。その事実を、私たちは夏ごろから知っていました。

そして、投稿当日の夜──
所属事務所の廃業に伴い、鈴木あんず、白藤環、日向奈央の3名は、2023年12月31日をもって事務所を退所し、新たに自らをマネジメントする法人「えのぐ合同会社」の設立を発表します。

いまだから正直に言いますが、廃業の知らせを聞いたとき、今度ばかりはもう自分たちの力ではどうしようもないと思いました。
これまでもメンバーが引退するたびに解散の話はありましたし、公になっていないだけで「こんなに辛い思いをするくらいならもういっそ辞めてしまおうか」という考えが頭をよぎったことは幾度もあります。

しかし事務所がなくなるということは、私たちの意思とは関係なく、バーチャルアイドルである私たちが物理的に活動できなくなることを意味します。

それでも──

「もう諦めよう」と口にするメンバーは、3人の中にはいませんでした。
様々な可能性を模索し、あらゆる手を尽くしたうえで「独立からの法人設立」を決断したのです。

その覚悟を胸に──

岩本町芸能社所属アイドルとして立つ最後のステージ
「大絶響祭 2023 WINTER ~ONE DAY MORE~」を開催しました。

画像
大絶響祭 2023 WINTER ~ONE DAY MORE~

本公演も全編バンド生演奏。共演者にはDJ BANBIさま、そしてダンスチーム「カペラ」の皆さまをお迎えし、バンド・DJ・ダンスが融合したとても賑やかな公演になりました。独立する私たちを湿っぽい雰囲気で送り出したくない、という事務所スタッフさまの気持ちが伝わってきて、とても嬉しかったです。

さらに今回初めてメンバー1人1人がグループ楽曲をプロデュースしています。
これまでは事務所のプロデューサーさまや音楽ディレクターさまが楽曲を考えてくださっていたのですが、独立後を見据えて自らでプロデュースする機会をいただきました。

3人体制による再出発で始まり、主催対バンイベント「VRide!」立ち上げや「TIFアイドル総選挙2023」3位入賞、そして所属事務所の廃業、独立──

激動の2023年。その終わりとともに私たちは7年間お世話になった株式会社岩本町芸能社を退所しました。


2024年〜

<主な出来事>

岩本町芸能社から独立した私たちは年始から法人の設立準備に追われていました。

すべてが初めての経験で戸惑ってばかりでしたが、身近の詳しい方に教えていただきながら設立に必要な資料を用意・提出し、資金を集め……

そうして、2024年1月25日──
自らをマネジメントする法人「えのぐ合同会社」を登記したのです。

画像

登記簿謄本が手元に届いたときは、すごく感動しました。

しかし、登記しただけでは会社は機能しません。

設立準備と並行して、最大の課題である「活動を維持するための資金をどうやって得るか」に頭を悩ませていました。
私たちがバーチャルアイドルとして昨年までの活動を維持するためには毎月約400万円というたくさんのお金が必要で、しかしCDやグッズ、ライブの収益だけでは、とても足りない状況だったのです。

私たちの力だけでは会社を維持していくことが難しい。
一緒にえのぐ合同会社を運営していただける"仲間"が必要だ。

独立を決めたときからわかっていたことですが、やはり現実は甘くなくて。
だから私たちは、2つのコミュニティを立ち上げました。

私たちを応援してくださる方々に様々な場面で支えていただきながら。
いま現在も、活動を維持していくために必要なご支援を、皆さまにお願いしている状況です。

私たちができることは、すべてやるつもりです。
あとはもう──

奇跡を願うしかない。

「enogu 6th Anniversary Live #2589日目の奇跡」開催

これまで開催した私たちのライブタイトルには、その年の決意や活動方針だったり、これから発表する出来事だったり、何かしらのギミックを仕込んできました。
でも今回のタイトルだけはまったく別物。これは私たちの「願望」です。

事務所に入所し活動を開始した日から数えて2,589日。誰よりも努力してきたつもりです。だから神様、お願いします。たった1回でいいので私たちに「奇跡」を起こしてください。

そう願って、このタイトルをつけました。

結果から言えば「奇跡」はまだ起きていません。

それでも私たちは、今日も、明日も、明後日も、継続できる限りずっと「世界一のVRアイドル」を目標に、試行錯誤を重ね、誰よりも努力し、活動を続けます。

まとめ

ここまで長文にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

ご覧いただいてわかるように、私たちの歴史はうまくいかないことの連続でした。

「もし2017年にバーチャルYouTuberを名乗って活動していたらどうなっていたんだろう」そう考えたことは一度や二度ではありません。早くに活動を開始した私たちには、そのチャンスがあったのです。

だから冒頭で述べたように、意地を張ってバーチャルYouTuberを選ばなかったことは失敗だったのかもしれない。

でも私たちは、自らの人生を後悔したことは一度もありません。

唯一無二のバーチャルアイドル人生を歩み続けたからこその出逢いや経験は私たちにとって何物にも変え難い宝物です。

しかし私たちはいま、この先の活動を維持できるかどうかという、はっきり言って危機的な状況にあります。
それでも「ナンバーワンにはなれなかったけど オンリーワンにはなれた」というようなセリフで誤魔化し、自分たちが目指す「世界一のVRアイドル」から目を背けることだけは絶対にしたくない。
だから最後の最後まであがいてあがいて。それでもし届かなかったら「ダメでした」と言ってカッコ悪く終わるつもりです。それが私たちらしいから。

でも私たちは、世界一のVRアイドルになる目標を諦めたわけではありません。
絶対に、世界一のVRアイドルになります。

だからこの記事を読んで少しでもえのぐに興味を持ってくださった皆さまにお願いです。
どうか、私たちのことを応援してください。

YouTubeのチャンネル登録をして、SNSをフォローして、暇なときに配信や音楽に触れて、そして気が向いたらライブに来てください。
もしそうしてくれたら。私たちは全力で、あなたに”最高の笑顔"をお届けすることを約束します!

えのぐ合同会社
鈴木あんず、白藤環、日向奈央

この記事が参加している募集

#自己紹介

228,904件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?

ピックアップされています

マガジン2

  • 3,547本

コメント

サル
もしもを言い始めるとキリがないけど、数々の逆境が今のえのぐを作ったのもまた事実。
『バーチャルYoutuber』のえのぐだったら今みたいに年に何度もライブに足を運んでるか分からなかったですからね(いやたぶんそこは変わらないかもしれない)

私が出来ることはそう多くは無いかもしれませんが、これからも応援していきます。
しーます
これほどの熱量の記事を久々に見た気がします。
あんずちゃんはライブでも魂に響いてくるようなMCでいつも本当に圧倒されます。
だからこそ自分も先日のライブに行ったわけだしこれからも応援します!
去年の冬からの新参者ですがよろしくお願いします!
差方央
ヒャダインさんのTV番組で初めてえのぐを目にし、(年間ライブ50本!?)とびっくりしてから……朝ノ瑠璃さんの歌枠リレーで初めてえのぐの歌を聴き、ほどなく「緊急会見」。そこから私はえのぐを知り始めました。そして、この記事でえのぐが辿ってきた足跡を、初めてしっかりと知ることができました。書いてくださり、ありがとうございます!
えのぐのライブ力は本当にすごいです。その背景の一端を知れて、本当によかったです。
私はVRide!にもすごく注目しています。応援しています。
とあるオタク
昔少し応援していて応援できなくなった理由がこの記事に凝縮されてる気がしました。この我の強さと頭の固さ、誇りという名のプライドには賛否が分かれると思います。最終的に私は「否」の側に立ちましたが「賛」の方々の気持ちもよく分かるほどに素晴らしいアイドルだと思います。もう私は応援する立場でもないし動機もありませんがご健闘をお祈りします。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。
私たちはVRアイドルを誰でも知っている当たり前の存在にすること、その上で世界一のVRアイドルになることに人生を懸けて挑戦しているVRアイドルグループです!リアルとバーチャルの壁を越えて「アイドル」という素敵な文化を楽しむことができる未来を目指して活動しています!
6年前、VTuberを選ばなかった私たちの現在|えのぐ
word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word

mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1