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ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~【1巻5/15発売】 作者:エリーゼ

第六部

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265 ここ掘れわんわん

◆ 神樹ケイレ・大広間 ◆


 あのね、神樹ケイレがあまりにも損傷が激しいとね? 残念ながら【★超高品質・木材】ってなっちゃうんだよね。あの後どん太とゼオちゃんが切り出した木材のなかで【◆神木・ケイレ】って判定されたの、3個。最初に拾ったのと合わせて5キロ分しかなかったの。ええ、ここで私――――準備は大事なんだな~と、思いましてね。そして同時に閃いたんですよ『虚空なる者(ヴィオダ)の死体を使ったら、なんか収納系のアイテム出来そうじゃない?』って。その瞬間オークション呼び出して買いましたよ、レジェンダリー系で一番性能が良かった【★サメさんリュックサック】を。

 結果から言うと、出来ちゃいましたね……。その名も【◆なんでもパクパクバッグ】、サメ型のショルダーバッグで口の部分が出し入れ口になってる収納装備。驚きのアイテムインベントリ+300kg!! 何より驚きなのが装備から外しても収納したものが溢れ出てこないでこのバッグに収納されっぱなしってこと! まあ、ちょっとした制限もあるんだけど……私! これが大量に欲しくなっちゃったんですねえ!!


「――――で、もう一匹狩って来たんだ」

「はい、狩って来たのがこちらになります」

「えぇ……」

『腹が減ったから木から果実を取って来るような感覚で、古代の神を狩ってくるのか……』


 という訳で私は大量に【◆神木・ケイレ】が持って帰りたいので、アイツを狩ってきました! これから毎週2回狩ると思います、『平均生存時間5秒君(ヴィオダ)』を!

 

「これ、ヴィオダの出現位置と倒す方法です。ギルド内で共有しましょうっ」

「ええ……? ええ…………?」

『なんだ、過去の映像か? これは……? こ、これは……!!』

「出現する場所に事前に設置型スキルをありったけ設置して、出現した瞬間に袋叩きにして10億消し飛ばせれば5秒ぐらいで死ぬと思います!」

「じゅうおく」

「なんッスか、これ……」

「またリンネが悍ましい何かを思いついたのか。まあいつものことか……機材の設置は終わったぞ」

「ちょ、ちょい、皆来て~……」


 そのためにはまずトンネルを完成させないとね! 今つくねちゃんがギルドポータル使ってガリャルドを迎えに行ってるところみたいだから、到着したら入り口から掘り進んで行こうね。ついでに【古代の記憶ダンジョン】も確認したかったけど、ラージウスがさっき撮影してきた動画に釘付けなんだよね……。


『よし、どん太! 切り倒せー!』

『わうわうわうわうっ!!!』

『どん太が【徹底斬滅・三連】を発動、神樹ケイレが倒れます!』

『警報:神樹ケイレの死により封印から解き放たれ、虚空なる者(ヴィオダ)が出現しました!!!』

油断ならぬ(ネグレル・ノッテ)』――――』

『ゼオが【属性・闇】【フルチャージ・次元斬】を発動、Weak!!! 特効! 虚空なる者(ヴィオダ)に445,550Kダメージを与えました』

『不気味な二匹の黒猫が何もかもを消し去る破壊空間に変化します!!!』

『Weak!!! 特効! クリティカル! 虚空なる者(ヴィオダ)に795,422Kダメージを与え、撃破しました。経験値 2,000,000,000 獲得』

「なぁにこれぇ……エリスちゃん、ホラー映像見せられるって聞いてないんですけどぉ……」

「え、え、ヤバぁ……。パトスちゃん、ちょっとこれ怖い」

『ヌァァァゴ……』

『ん~これからはこいつのこと、平均生存時間5秒って呼ぶか~』

「「いやいやいやいや……」」

『敵ながら、もはや同情すら覚える……』


 そういえば、こっちの神樹ケイレには平均生存時間5秒の臭いはしなかったし、ゼオちゃんもリアちゃんも『異質なマナは感じない』って言ってたんだよね。多分神樹ケイレに完全に取り込まれて消滅したんじゃないかなって。ケイレが5秒(・・)を取り込んで分解した時に発生したのがこの神域樹海に湧いてたモンスターで、それを処理してたのがスライムプールなんじゃないかってゼオちゃんの見解。そしてモンスターを誘導してたのがこの歪曲空間なんじゃないかな~って話だね。これを聞いて『ああ~なるほどなるほど~』って納得出来たし、多分これで合ってるんじゃないかな。


『むっ……。ガリャルドがターラッシュから出発するそうだ。俺達はどうする?』

「どうする~? 一回戻りたい人とかも居るだろうし、ギルドポータルでターラッシュ行く~?」

「迷いすぎて疲れたからエリスちゃん休憩した~い……。それに今ので……」

「なんか、ドッと疲れと目眩が来たッス……」

「わかる~……」

『ヌアァァゴ……』


 お、ガリャルド来たんだ。じゃあターラッシュに迎えに行って、一緒に神域樹海の入り口にある掘削ポイントまで向かおうか。この巨大樹の下、穏やかな日差しが差し込んで雰囲気もいいし、ログハウスとか建ててキャンプ地にしたら凄く良さそうな場所なんだよね。そういえば大工さんとかって居ないのかな? あ、加賀利には城を直したり城下町再建をしてる職人さんが居たね! あの島のゴタゴタが終わったら相談してみようかな?


「あ~僕はローレイに行ってクエスト報告するか~……」

「んぇ~エリスちゃんもいきま~す」

「んじゃ後で一緒行こっか~」

「入り口に戻りたいかな~」

『俺は常識皆無女と一緒に行動か……。はぁ……』

「常識はちゃんとあるもん」

『それなら尚更たちが悪い』

「え~」

「常識、超えたから――――むにゅっ……」

『(ゼオちゃんごめんね、超越者なのまだ内緒なんだ~)』

『(わあ! 気をつけます、ほっぺ、むにゅむにゅもう大丈夫です。あれ? いつまでやりますか?)』

「やわらか……」

「むぅぃ~~……」


 危ない危ない、ゼオちゃんが超越者関係のことを喋るとこだったわ。どれどれ、それじゃあ森の入口に戻って……レッツ! トンネル掘りだー!!


「元気過ぎるッス……」

「ヤバい」

「ヤバいですね」

「ヤバいよね~」

「若いって、良いなぁ~……!」

『何を言ってるんだ、お前達なんぞまだまだ若いわ』




◆ ◆ ◆




『――――飽きた!』


 森の入口に戻ってきてさ、ガリャルドが意気揚々と掘り始めて3分もしないうちに100メートルぐらい進んで凄いな~とか思ってたら、急にペースダウンし始めて……これよ。飽きたって。


『ギュアァ~~??』

『嫌だ、母上になんと言われてもこればっかりはつまんねえ! 終点に向かってただ掘るだけ、全然おもしろくねえよ!!!』

『ぴぃ~~……』

「まあ、そ、そうだよね……」

『わかるだろマスター? つまんねえのは、やりたくねえんだ!』

『ふぅむ……』

 

 確かにつまんないよね、これをやったからお腹いっぱいになるわけじゃないし、どうしてもここを掘らないと死ぬってわけでもないし、私でも15キロメートルも掘り進めって言われたら『え~面倒くさ~』ってなるもん。いやでもこれをやってくれないと、ここに通うの方陣を使える人が同行してくれないと通えなくなっちゃうんだよねえ……。どうにかならないもんかなぁ。


『わっふ!! (僕の方が早く掘れるよ!)』

『あ゛?』

『わんわぅ! (見せてあげる!)』


 お? どん太が掘るの交代してくれるの? いいねえ、じゃあどれぐらい早いか見せて貰おうか。


『どん太、やるなら掘った土砂は左右に寄せてくれ。そしてなるべく大きく掘ってくれ』

『わんっ!! (わかった!)』

『お……お……?』

『きゅぃ~~♡』

『わんわうっ!! (頑張るね!!)』


 お、お? お!! ガリャルドより確かに早いし、掘ったのちゃんと左右に払って寄せてるし、いいね! 早い早い!


「いいぞ~どん太! そのまま進め~!」

「どんど~ん、頑張ってくださ~いっ!」

「凄いな、秒速1メートル弱は進んでるんじゃないか?」

『お゛ん゛……?』

『わっ! ふっ! わっ! ふっ!!』

『ちゃんと分けて払っているから上部と側面を固めるのも楽でいいな。いいぞ、そのまま突き進めどん太!』

『おい』

『わっ! ふっ! わっ! ふっ!!』


 いいね~最初からどん太に掘らせてれば良かったじゃんこれなら。ガリャルド要らなかったな~……待ってるの無駄な時間だったかも。


「どん太君、やや上方に掘るように。かなり緩やかな上り勾配になるんだ」

『わふっ! わふっ!! へっ! へっ!』

『楽だ。凄く…………』

「入り口から風を送り続けてますけど、足りますかね?」

「苦しさは感じないな。火の猫で照明も足りている」

『おいっっ!!!!』


 お? なんですか、すぐに飽きちゃったドラゴン? そこで寝て待ってればいいじゃないですか~?


『わふっ? (なぁに?)』

『俺のほうが早い!! 貸せ!!』

『おい、ガリャルド、ちゃんと掘ったのは均等に寄せろよ。それを石化させて壁と天井を作るんだからな……最終的には、アーチジョウ? という半円型にしなきゃいけないんだ、キッチリ分け――ぶべっ……』

『うるっせぇな!! 掘るの早いんだから文句言うんじゃねえよ!!』

『わふぅ~……』

「あ~張り合ってますね……。やる気は、戻った感じかな……」


 なるほど、相当負けず嫌いなタイプなのね。だとするとあの時降参したのは、相当プライドに傷がついたんだろうなあ……。あの時力比べでも負けて、今度は穴掘りスピードまで負けたくないってことか~……。


『――――面白そうなことをしていますね、リンネさん?』

「わあああああああああーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!???????? カヨ、コ、コッコッコッコッコ……!!??」


 ひっっぃいいぃぃいいいい!!!!???? カ、カヨ、コ、コッコッコッコッコッコ……!!???


『あら、鶏さんでしたか?』

「カ、カヨコさん!? なんでここに!?」

『ローレイの領主の娘が神樹の調査を進めていた件で、それがバビロン様のところまで報告が上がりまして。その神樹まで道を作ろうという方が居ると聞いたものですから。あ~これはと思って、現地調査に名乗り出たのですよ』

「は、へぇぇ……!」


 ビックリしすぎて鶏みたいな鳴き声出ちゃったよ……。急に後ろから肩を掴んで、耳元で囁かないでくださいよ……。心臓破裂するかと思ったわ。

 それで、なんでこんなところにカヨコさんがって思ったら、そんな経緯があったんですね。道を作ろうという人が居るって聞いて、なーんで私だって思ったんですかこの人は……。まあ、結果当たってたんですけど……。


「リンネさん、お友達さん、ですか? あれ?」

『おや、リンネさんの新しい…………あら?』

「そうです、私の新しい家族ですっ! ゼオちゃん、こちらは魔神兵のカヨコさん。この子は今言った通り、ゼオちゃんです」

『…………』

「…………」

『初めまして、ゼオさん。よろしくお願いしますね』

「初めまして、カヨコさん! よろしくの、おねがいをします!」

『ふふっ……』

「えへっ……」


 ――――私の鋭い勘では、絶対君たち初めましてじゃないね? でも初めましてってことにしたんだね!? じゃあ初めましてだ! それ以上は踏み込むまい!!


『……あら、リアさん。毛艶が良くなりましたね』

「あ! カヨコさんこんにちは! 使ってるものを変えたんです、ふふ~ん♪」

「おや、カヨコさん。こんなところまで来るとは、多忙だね」

『ええ、とある事情によって丁度暇になってしまったので。何故でしょうね?』

「なななな、なんででしょうね~~!!?」


 なんで暇になったのかな~~!? 私わかんないなぁ~~!!


『わっ! ふっ! わふっ! わふわふっ!!』

『おらおらおらおらぁ!!!』

『おい、おい!!!』

「あ~~……あ~~~……」


 あれ、いつの間にかどん太とガリャルドが同時に掘ってるわ……。ん~どん太のほうが若干遅いような気がするけど、なんかどん太のほうがスムーズに進んでる気がする……?


『さてさて、仕事に来たのですから仕事をしましょうか。どん太君、こんにちは』

『わうぅぅん!!??』

『なんだおま――――ッッッッ!!!??? こ、これは失礼した……』

『いえいえ。それより、途中からトンネルの大きさが大きくなってしまっていますが、これでは通りにくくなってしまうのでは?』

『ガリャルド!!!!!』

『ああ!? なん――――ひょぇ……っ!!!?』


 あ、ラージウスとガリャルドがカヨコさん見てビビってるわ。二匹揃えばもしかしたらギリギリいい勝負するかもしれないけど、それぞれ単体ではカヨコさんに遠く及ばないって感じなのかな……? 事前準備なしのいきなり衝突なら、カヨコさんがもしかしたら不利な戦いになるかもしれないけど……うーん、まだどっちも死力を尽くした全力までは見てないからなぁ~。わかんないね!


『ちょっとあの辺りから、しっかりと道幅を決めて掘り直しましょう。せっかくなのですから、良いものにしませんと。ねえ?』

『そ、そうだな、そう言おうとは思っていたのだが……』

『掘り直す、か! ど、どん太、行こうぜ!』

『わふぅぅん…… (ふぅ~~ん……)』

『なんだよっ!!!』


 どん太が掘ったところとガリャルドが掘ったところの幅と高さ、確かにバラバラだし……。二匹揃って掘ってたところなんて幅が更に広いし……。確かにこれは揃えたほうがいいね~。ラージウスが固めたところ破壊して、ちゃんと幅を揃え始めたわ。いいね~これなら大型の馬車とかでも余裕ですれ違い出来そうじゃな~い?


『では、私はどん太君の掘ったほうを固めますので』

『あっ!!? ず、ずる――――いやなんでも! ガリャルド、しっかり掘ったやつを一箇所に寄せないと、絶対向こうに勝てないぞ!』

『わ、わーーったよ!! ちゃんと寄せりゃ良いんだろ!!!』

『わうぅ~ん!! (競争だよ、競争!!)』

『ぜってー負けねえからな、見とけよお前!!!』


 おーおー最初とは段違いよ? かなり作業に対してやる気が出てきて良いことだね~。


「掘るのが早くなると、送風が大変になりそうですね~……」

『風の道を作りましょうか。私が左側面沿いに空気を送り出しますから、リアさんは右側面沿いに風を送り込んで下さい。照明は私が出しましょう』

「いいんですか? じゃあ、入り口にいきま~すっ!」

「わ、わっちが、護衛でついて、る……?」

「私も行く、ます!」

「あ、じゃあ二人体制でお願いしても良い~? モンスター居ないみたいだけど、万が一があるし……」

『良いですね、各々役割が出来てきましたね。ではリンネさんはトンネル内に異常がないか点検と注意喚起を、マリアンヌさんは方向の指示をしているのですよね? それで』

「ああ、そうだな」

『では定期的に方向を確認しながら掘り進むということで。開始しましょう』


 カヨコさんが来てドタバタ行き当たりばったりみたいな作業が、スラッと纏まった~! やっぱりこう、現場を指揮してくれる人って大事なんだなぁ~……。空気の通りもかなり良くなってる気がする……! リアちゃんが送って送って~~ってだけだったのが効率良く循環するようになったから、トンネル内なのに凄い、風を感じる! 涼しいかも……。


『おらおらおらおらっ!!!』

『わうわうわうわうっ!!!』

『良いですね。どん太君、がんばって下さいね。おててが痛くなったら治してあげましょう』

『ガリャルド! お前も意地を張らずに見せるんだぞ!!』

『わーーーったよ兄貴!!!』

『わうぅ~ん!』


 …………あれ? 異常がないか点検って言われたけど、ひょっとして私――――やること、全然ない……!? 


「ネクロフォースぐらい、使っておこうか……」


 やることがなさすぎるし、ここは……。ネクロフォースを定期的に使って誤魔化しておくかぁ……。頑張れ~皆頑張れぇ……!!


【◆なんでもパクパクバッグ】(準神器・シークレット・その他・スロットなし)

・【呪】アバター装備不可

・【呪】最大3個まで所持可能

・【呪】装備すると永久に譲渡不可になる

・独自のアイテムインベントリ+300kg

 ――――可愛くって何でも詰まる!

 強化不可・所持者【リンネ】・重量なし

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