261 競売
◆ 加賀利城・広間 ◆
「24! 24出すねッ僕は!!!」
「お昼寝さんが24ですわ~!! 他に誰かいらっしゃって~!?」
「24は無理だよぉ~」
「降りる、無理だ」
「24以上なくって? では24でお昼寝さんに決まりですわ~!!!」
「いぃぃぃいいいいやったぁあああああああ!!!!!」
今唐突に、私の手元に6ギガシルバーと言う大金が転がり込んで来ることが決定しました。何が売れたのって、メンダスの炎ですね……。そう、【◆◆獄炎呪殺】の素材になるやつ……さっき出た魔界神器素材ね。
なんでこうなったかって言うと、私が『こんなの出たんだけど~』って話を振ったら、もってぃさんが【ケルベロスの鎖】、きぬちゃんが【怨嗟の呪印】、ペルちゃんが【殺戮者のナイフ】を出して来て『あれ、合わせたら獄炎呪殺作れるねこれ』って話になって、他の人も『あ、僕もこれが~』『私もこれが~』って取り出し始めたり、自分じゃ使えないアップグレードキットとか装備とかを各々取り出し始めたら『じゃあ今回出たやつ、この場でオークションしようよ』ってなっちゃったわけですね。はい、そういうわけで唐突にオークション始めました……。
「は、はい、リンネちゃん、受け取ってね、へへ、へ、へ……」
「わ、お昼寝さんのおめめが、ぐるぐるしてる……」
『プレイヤー【お昼寝大好き】から【6,000,000,000シルバー】を受け取りました』
「ありがとう、ございます……」
「ひゃへぇ……ハッゲぇ~……か、貸して……」
「しゃーねぇなぁ……ほらよ」
お昼寝さんのおめめが、ぐるぐるしてる……。あまりにも唐突に大金を失った挙げ句ハッゲさんに借金までしてしまった悲しみと、あまりにも強力なアップグレードキットを入手した喜びで感情が反復横跳びしてる……。まあ私もさっきまで『なんで成功しないのぉぉおおおおおお!!!!』『どぼぢでぇぇええええ!!!』ってなったり『きちゃぁあああ成功しちゃあぁああああ!!!!』ってゼオちゃん用のローブで感情がジェットコースターだったんだけどね。あのローブめっちゃ粘られたなぁ……+12……遠かった……。
ちなみになんで獄炎呪殺がこんなにもぶっ飛んで高い金額で取引されたかっていうと、なんと獄炎呪殺は対応してる武器が【魔界武器系の全て】だったんですねえ……。シークレット等級の魔界武器ならどの装備にでも使えて、誰しもが欲しがるような性能だったからそりゃ欲しいよねっていう。
「こ、これで僕のわんわんパペットが、獄炎呪殺わんわんパペットに……!!!」
獄炎呪殺はね、攻撃が命中した時50%の確率で【獄炎呪】を相手に刻んで火耐性がプラス値だった場合はそれをゼロにして、そこから1スタック毎に完全火耐性が5%減少するっていう恐ろしい性能をした奴だね。しかも30秒で都度上書き式らしくって、30秒以内にスタックが溜まるとまた猶予30秒が貰える。挙げ句発動条件は『攻撃なら何でも良い』って条件の緩さ。
そして極めつきがスキル【獄炎呪殺】、スタックを全消費して相手に火属性のダメージを与えるスキルね。まだHP残ってるからとか油断した相手がこれでボッと燃やされるわけ。たとえ相手が火属性の相手だとしてもお構いなし。借金してまで買いたいのもわかるわ……。対策としては水属性の何かしらで獄炎呪を打ち消せばいいんだけど、戦闘中にそんな余裕があるかが問題なんだよね。相手に手を止めさせる時点で強いよこれ。
「では次、アップグレードキット【◆◆氷刃狂乱】のオークションですわ。性能は公開中の情報の通りでしてよ~!」
「これもぶっ飛んでるなぁ……」
「そもそもシークレット武器が必要なのがなぁ~」
「シークレット武器をいつか引けると信じて買うか、だよね~」
「攻撃毎にアイシクルチェイサー、極稀にブリザードチェイサー発動か~」
「こっちは耐性減少がないんだね」
「あ、本当だ」
「ただその分発動するスキルが多いのと、水属性攻撃力上昇がついてるのか」
「必ず成功、スーパーシークレットになるってのがいいなぁ」
あ、私が出した【クルックスの氷】も組み合わせて出来上がった奴だ。アップグレードキットってスーパーシークレット以上しか出ないのかな? 他の人達が持ってたアップグレードキットもスーパーシークレット以上の完成予想のしかなかったんだよね。
そうそう意外だったのが、シークレットレアリティの装備が意外にも入手困難らしい。あれ? 地獄融合で~とか思ったら、あれは組み合わせが悪いと完成予想よりも劣化したのが出来てアルティメット止まりだったりが多いらしくて、ミスティック同士で組み合わせてもアルティメットばっかりしか出来ないみたい。極稀にティスティスお姉ちゃまが悪戯するとシークレットかトップシークレットが出来るんだって。しかも地獄融合は『シークレット装備以上は組み込めない』『印付き装備は組み込めない』っていうルールもあるとか。だから素体になるシークレット装備を手に入れるのがまず難しいと。
「では、まずは1.5Gから参りますわ!」
「3!」
「エリスさんから3Gが出ましたわ!」
「4~」
「もってぃさんが4ですわ! 4以上ありませんの~?」
「5デース!」
「きぬさんが5を出しましたわ! 5以上!」
ん~正直水属性限定の攻撃力上昇と水魔術での追撃ってなると、結構使い手を選ぶよね。きぬさんみたいに手数の多い人だと半端じゃない追撃数になるかもしれないけど、あ~でもおにーちゃんが渦巻く直剣を持って、これでアップグレードした水追撃フォルトゥナを使えたら、フォルトゥナで攻撃して水追撃が入って渦巻く直剣で更に追撃~みたいな事が起きるのかな? うわ、そう考えると結構ヤバいかも? まあ追撃に追撃が発動するかわからないから机上の空論だけどね。
「――――12デース!」
「きぬさんが12!! 12以上ありまして!?」
やっぱり獄炎呪殺と比べてちょっと扱いに困るよね。武器が完全に水属性化しちゃうって考えると少し辛いよ、扱いにくいもん。
「きぬさんの12で決まりですわ!」
「シャンシャカンゲキデース!」
「感謝感激な」
「ソレソレー!」
きぬさんの12Gで決まりか――いや、凄い額だけどね? ちょっと前の真覚醒の証ばりのお値段で取引されてるよ……あ! 今ね、真覚醒の証の値段がかなーーーーり下がって1Gぐらいなんだよね、10億シルバー。やっぱり真覚醒に必要な分がパッケージを買えば免除されたこともあって安くなったね~。でも防具は覚醒が必要だし、いずれまた値段がばーーんって上がるよ。私はもう売り時じゃなくなったから売ってないんだ。今は皆、強い装備とかセット装備を求めてるから装備が値上がりしてるの! そっちで稼がせて貰ってる~。どれどれ、ちょっとオークションのメッセージログの方を覗いてみる?
『プレイヤー【クライスター】が【★★破壊の大槌】を即決で落札しました』
『プレイヤー【ウッティア】が【★★ターゲットシールド】を即決で落札しました』
『プレイヤー【アチャアチャのチャン】が【★★ドラグーンシールド】を即決で落札しました』
『プレイヤー【コドモドラゴン】が【★★ヘビーランス】を即決で落札しました』
『プレイヤー【ジョンス】が【★★ペネトレイトアーマー】を即決で落札しました』
『プレイヤー【めっちょす】が――――』
おーおー、さっき出たミスティックが売れてる売れてる。こんな性能の装備じゃもう全然環境に追いつけないけど、追いつくための繋ぎとしてはかなりいい装備だと思うんだよね。あ! 他に出品が無くて幾らにするか迷ってたドラグーンシールドが売れてる! これだけ別格に強かったんだよね、とてもミスティックの性能とは思えないやつ! なんせスキル【インスタントバンカー】獲得って書いてあったやつよ。マグナさんが使ってたみたいな遮蔽物を即時召喚するスキルね! これは5Gで出してたんだったかな? 売れるかな~って不安だったけど、見る目がある人が買ってったねえ~。いい買い物だよ~?
「リンネサーン!」
「あ、はいは~い」
「どうぞオカーネ!」
「ありがとうございます~」
『プレイヤー【きぬ】から【3,000,000,000シルバー】を受け取りました』
「ドウイタマエシテー!」
「いたしまして、かな~」
「うんうん、ソレねー! イタマエシテー!」
凄い、何一つ直ってない。まあ、うん可愛らしいからいいや。それよりもう30Gも貯まったんだ、私も何か買おうかな? 経済回さないとね。
「え~では次は~……【◆◆超新星】ですわね! 性能は各自ご覧になられて?」
お、なんだか良さげな名前……。どれどれ性能は……?
【◆◆超新星】(消費アイテム・スーパーシークレット・杖&ほうき系アップグレード)
・【呪】このアップグレードキットは【杖・ほうき系】に使用可能
・【呪】このアップグレードキットは【魔界系武器】のみに使用可能
・【呪】このアップグレードキットは【シークレット等級武器】のみに使用可能
・【呪】このアップグレードキットを使用後、如何なる方法でも取り外し不可となる
・必ず成功する
・条件を満たす全ての武器に使用可能
・アップグレード時に以下の性能を獲得する
┣魔術攻撃力+100%
┣MP消費20%軽減
┣特定条件達成時、特殊なスキルを獲得
┗MP+200%
――――詠唱、展開、充填、発動。 by????
重量追加0.1kg
む゛ぅ゛ん゛!!! 欲しいもんねぇ!!!!! リアちゃんのほうきを強い強いしちゃうもんねぇ!!!
「それではまずは、え~~……3Gから行きますわね!」
「10」
「…………?! じゅ、10G! リンネさんがいきなり10Gですわ!」
「うへぇ、いきなり飛ばしてきたなぁ」
「確実に買うという熱い意志を感じる」
「じゅ……11……?」
「もふキンのメリエルさんが11で――」
「15」
「15ッ!!!! リンネさんが15ですわね!! はい誰かいらして!?」
「む、むりぃ……」
「15! 15ですわよ!」
ごめんねメリエルさん、どうしても欲しいんだなぁこれ。
「16~!!」
「もってぃさんが16で――」
「20」
「ぎょええーーー」
「リンネさんの20! 20以上ある方いらっしゃいまして?!」
「ちょ、ちょっとお金貸して……!? 10ぐらい、ある……!?」
「え~。いいですけど~」
「25!! 25!!!」
「もってぃさんが25――」
「30」
「はいリンネさんが30! 30以上いらっしゃって!!??」
「ギルマスー? どうすんのー?」
「む、むり、かな、15以上借りるの、僕……?」
もってぃさん、私はたった今30G貯まっただけで、他にも色々売れたお金で合計50G持っている。勝負するなら相手になりましてよ。おーっほっほっほっほ……!!
「30!! リンネさんが落札で決まりですわ!!」
「ひえ~~最高額だよリンネちゃ~ん」
「ふふふ……。ありがとうございます……!」
『プレイヤー【ペルセウス】から【◆◆超新星】を受け取りました』
「これはエリスさんに30ですわね!」
「わかった、ありがと~」
「うぅぅぅ~~欲しかったねぇ……!!」
エリスさんがこれ出したんだ、うわ~すっごい。いいですね……素晴らしいですエリスさん。ありがとうございます。
「エリスさん、最高です!」
「んふ、どうしようエリスちゃんお金もちになっちゃ~う!」
『プレイヤー【エリス・マーガレット】に【30,000,000,000シルバー】を渡しました』
「どひゃーーーー凄い大金だーーーー!!! ありがとうー!!!」
「いえいえ、こちらこそ!」
ありがとうございましたエリスさん……! そしてそのシルバーを握りしめてリアちゃんのところに行って『これ、これ半分あげるから今日一日、好きなだけハグさせて……?』とか言うのやめてください。リアちゃんドン引きしてるじゃないですか。
「お姉ちゃ~~ん!!!」
「あああ……!!」
「うんうん、よしよし怖かったね~」
「…………ふふ~ん」
「あ゛っ゛」
あ、リアちゃんこれがやりたかったのね……。エリスさんに対して『ふふ~ん』がしたかったのね。悪い子だなぁ……。どれ、リアちゃんのために買ったものなんだから、早速使っちゃおうかね。
「リアちゃんこれさ、リアちゃんのじゃらしを強く出来るものだから。使っちゃおう!」
「え、いいんですか? お姉ちゃんのが先のほうが……あれ?」
「私はもうやっちゃったんだ、へへ……」
「なるほどっ!! じゃあ、お願いしますっ!!」
これでリアちゃんの王家のねこじゃらしが強化される……! それでは早速、いってみよーっ!!
『【◆王家のねこじゃらし】に【◆◆超新星】を使用し、アップグレードを開始します……』
『【◆◆超新星じゃらし】が完成しました!』
もう名前に関してはツッコミ入れるのやめておくね?
【◆◆超新星じゃらし】(準将器・スーパーシークレット・ほうき・空きスロットなし【●】)
・【呪】装備にはクラスが【王系】でなければならない
・【呪】装備にはMAG400以上が必要
・魔術攻撃力+100%
・MP消費20%軽減
・全属性攻撃力+100%
・MP+200%
・スキル【ディスペル】使用可能
・スキル【ディストラップ】使用可能
・条件未達成、【◆◆◆◆◆◆◆】獲得 (要:特定ボス討伐)
――――誰にもバレておらぬじゃろうな……。よし、大丈夫じゃな。ん、んっ……! ほれほれほれ~~妾が来たぞよ~~♡ by初代ステラヴェルチェ女王・エキドナ
――――なんじゃろう、視線を感じるような……? by初代ステラヴェルチェ女王・エキドナ
【★★★禍津アラクネのオリビエのサイン入りカード】
┣50%の確率で最終与ダメージが10%上昇する
┣44%の確率で最終与ダメージが44%上昇する
┣6%の確率で最終与ダメージが66%減少する
┗上記の内いずれかが必ず発生する
――――サイン? サイン? サイン? サイン? できた。できた。できた。できた。by禍津アラクネのオリビエ
強化不可・装備登録者【オーレリア】・重量0.3kg
ふへーーー!!! つよーーい!! あれ、条件は未達成なんだ……。特定ボスの討伐が必要、かあ。これはヘルジャッジメントの方は超地獄パーティのカーミラが条件だったみたいだから、こっちも超新星ってスキルを使えるボスを倒せば使えるようになるのかな。いや、でも超新星だと文字数合わないな……。あ、英語? スーパーノヴァなら文字数合うね! じゃあスキル名はスーパーノヴァかな! バビロンちゃんにこっそり聞けたりしないかな~? 今度聞いてみよう!!
「それでは次は~……【◆◆微睡む森】ですわ! こちらも性能は各自――」
これだけ居ると、完成したアップグレードアイテムも多いね~! これは、ん~~鈍器系はうちには居ないからスルーかな~。まだまだ続くみたいだし……じゃ、私はこっそりあっちで黙々とお肉を食べてる腹ペコ組に混ざって来ようっかな~っと!
「ふみゅ?? ひゃべまひゅか、ひんねひゃん!」
「うんうん、食べる~」
「はひ、ひょうじょ!!」
『……!!!?? ぜ、ぜおが、他人に肉を……!!?』
『わうぅ!!?』
「…………こ、此方のも、どうぞ」
「あわわ、こんなにいっぱい食べられないよ~? ほら、皆で食べよう!」
「んぅっ!!」
みんな焼けたお肉分けてくれて優しいね~。でもお皿に山盛り4つは無理かな、1つで十分過ぎるから! じゃ、いただきまーす!