挿絵表示切替ボタン
▼配色






▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~【1巻5/15発売】 作者:エリーゼ

第六部

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
242/536

241 先手

◆ 加賀利城 ◆


「いや~僕が来た後で良かったね~これ……うわ~スクラップって表示されてるよ~再利用も再生も不可だってさ……」

「本当ですね……。お昼寝さんが来た後で良かった~……。間一髪でしたね」

『面目ない……。我らがしっかりと監視していれば、このようなことには……』

「いやいや、かなり制限はあるけど行き来できなくなったわけじゃないさ~。むしろ監視を全部任せて申し訳ないよ」

『こればかりは仕方あるまい~。あのホウエンが本気だったのだ、防げまいて。メイナ、皆と共に腹ごしらえをするがよいぞ、儂が交代しよう』

『零姫様のお手を煩わせるわけに……あわわわ……』

『まあ、食えや。ハゲ殿に教わったんだ、美味いぞ』

「はっはっは!! 腹が減ってちゃあ、集中力もなくなるもんだ! 食って行きな!」

『かたじけない……』


 死灰丸が突出してたのは、完全に囮だった。黒死天狗姫ホウエンが完全に単騎で加賀利城に突撃して来て、こちらの移動手段だったテレポータル発生装置を一瞬で破壊して離脱していった。ただこれはお昼寝さんがこちらに来た後だったから【加賀利の国と国交を結ぶ】の項目が活性化してて、城の一室を華胥の夢のギルドルーム化したことでギルドメンバーと同盟ギルドのメンバーさんの行き来だけは出来るようにはなってる。

 ただし、加賀利の国と本土を結ぶギルドポータルの発動は30分に1回のみ、それも1分間しか開けないから扱いに気をつけないと詰みの状況が発生する可能性があるから、出来るだけ早くテレポータル発生装置を復旧したいんだけど……。


『魔の嵐までは行かないにせよ、かなり歪曲し始めておりますね』

『ああ、馬鹿みたいに魔素を吸収しようとしてやがるな』

『あたしの波動は乱れない!!』

『あ、美味しい……』


 オロチが活動を再開したことで弱いマナの嵐が再発生してるから、テレポータルを使ってのテレポートは変なところに飛ぶ可能性が出てきてちょっと怖くなった。それに、死灰丸……。短気で馬鹿だって聞いてたけど、完全にオロチに服従してるみたい。ホウエンの奇襲の後は完全に後退、平原のモンスターの狩りに移行したらしい。


「ホウエンを先に叩きたいですね。他の連中を攻撃中に乱入される可能性があると、常に予想外の一撃を警戒しなければならなくて不利です」

「かなり移動速度の速いやっちゃな、少数精鋭で短期決戦しかないやろ」

「迎撃はどうだろ?」

「いつ来るかわからないものに備える余裕が…………あ、その死体はこっちに持ってきてください~。使えない武器もこっちです~」

『あいよ、導師殿!』

『これが使えるようになっちまうんだから驚きだねえ~』

「たっだいま~」

「リンネ、こちらの班は一旦休憩だ」

「マリちゃんとリアちゃんお疲れ様~。ありがとうね! エリスさんもおかえりなさい!」

「このぐらいならいくらでも倒せます! あ! イカリング!!」

『俺が作ったんだ。食べるか?』

「え、い……頂きます」


 現在はどちらの陣営も準備段階、ただしこちらのほうが圧倒的に数が少なくて、向こうは物量押しの選択も取れる。物量に対抗するには、ひとりひとりの質を向上させるしかない。今のところ、おにーちゃん、エリスさん、レイジさんを頭にして三班に分けて、それに加賀利の国の戦士達を組ませて周囲のモンスター狩りをしつつ物資調達をしてるところ。他にも別働隊がいるけど、そっちはレベリングオンリー。加賀利の人達には結構ハードな内容かもしれないけど、全員のレベルを上げたり武具の質の向上をしないと、絶対に押し負けちゃうから頑張ってもらわないと。


「よし、作るか~……!」

「何回見ても凄いよねそれ、そのスキルで色々作ってたんだ~ってビックリしちゃった」

「内緒にしてる場合じゃないな~と思って……」

「あ! エリスさんこっちに来ないでください!」

「まだ嫌われてるよぉ~~……」

「当たり前だ、エリスさんがいきなり抱きつくのが悪い」

「エリスの班変えたほうが良いんじゃない?」

「仲直り出来るかな~と思ったんですけど……う~ん……。とりあえずこれ、処理しますね」

「そうだねえ~。いつまでも置いておくわけに行かないからね~」


 ん~~……。エリスさん、リアちゃんに対する欲望を抑えきれなかったんですね……。リアちゃんに後でこっそり念話を送って、どうしても嫌だったら班を変えようっか……。とりあえず今は、この死体処理が先よ!


「――――捧げよ!!」




◆ ◆ ◆



【本陣】 (平均レベル120 ※ネームドNPC、プレイヤーを除く)

★零姫

☆お昼寝大好き

・リンネ

・八百姫 (離脱中)

・ハッゲ

・天狗姫メイナ

・加賀利の戦士達



【パーティ1・物資調達&レベリング】 (平均レベル99 ※フリオニール・ティアラを除く)

★フリオニール

☆ティアラ

・加賀利の戦士6人


【パーティ2・物資調達&レベリング】 (平均レベル101 ※エリス・マリアンヌ・オーレリアを除く)

★エリス・マーガレット

☆マリアンヌ

☆オーレリア

・加賀利の戦士5人


【パーティ3・物資調達&レベリング】(平均レベル95 ※レイジ・どん太を除く)

★レイジ

☆どん太

・加賀利の戦士6人


【パーティ4・レベリング】(平均レベル86 ※姫千代・波動のラーラを除く)

★姫千代

☆波動のラーラ

・加賀利の戦士6人


【パーティ5・レベリング】(平均レベル85 ※百姫・剛烈を除く)

★百姫

☆剛烈

・加賀利の戦士6人


★:リーダー

☆:サブリーダー

・:メンバー



◆ ◆ ◆



 

 想定していた時期よりも、随分と早まったと思ったが……。未熟な女神の要らぬ邪魔が入ったようだな。まあよい、完全に力を取り戻し奴を喰らい、この島を手に入れ封印を断ち切った暁には、あの未熟な女神も喰らい取り込んでやろう。


「――ホウエンか、報告しろ」

「はっ! 加賀利城にて怪しげなからくりを発見しました。どうやら異界人を召喚する物のようで、脅威と感じましたので破壊して参りました!」

「そうか……。しかしかようなからくりであれば、魔の流れが乱れている今であればすぐに使い物にならなくなったであろう。早まったな」

「も、申し訳ございません……! しかし、同時に零姫以外の脅威となりえる存在を発見しました!!」

「ほう……」


 ほう、あの忌々しき小娘の他に脅威になりえる存在とは……。戦力はこちらが有利と思っていたが、思い改める必要があるか?


「黒き衣に深き青い髪、導師リンネと呼ばれる女で御座います」

「導師リンネ、その女はどのように脅威なのだ?」

「はっ……! 粗末な武具を強力な武具へと昇華させる力を有し、加賀利の者達の指揮を行っておりました。更に、此度の大規模復活を引き起こした人物であると推測されまする!」

「ほ~う…………。これだけの戦力の差を覆せるほどの人物か?」

「恐らく、尋常でない被害を、出すやもしれませぬ……」

「ふむ……」


 未だ動けぬこの肉体では直接確かめに行くことも出来ぬ故、ホウエンの最後の情報が正しいかどうかを確かめる術はない……。だが、零姫含め5人の厄介な者に加えて、面倒なのが更に居るというのは確か、か。


「デロナを呼べ」

「は、はっ!!」


 死灰丸では頭脳に欠ける。ぽこんこが抜けては守りが欠ける。ホウエンは既に警戒されている……。となれば、デロナが適任だろう。狡猾さと言えばデロナ、あやつが適任だ。


「――――お呼びですか、オロチ様???」

「敵陣に導師リンネという女が居る。軍師であり、鍛冶師であり、この大規模な復活を引き起こした導師であるらしい」

「そのような化け物が本当に実在すると???」

「ホウエンが見た。まさかその場しのぎの出任せではあるまい」

「はあ。このデロナに裏取りをしろと?」

「そうだ。行け」

「はあ~~…………。オロチ様のお望みとあらば」

「待て。一つ忠告をする。なんとしてでも生きて情報を持ち帰れ。深入りはするな」

「…………肝に銘じます」


 『なぜすぐに攻め込まないのですか? あっという間に捻り潰せるでしょうに』……デロナは、加賀利の者共を甘く見ている。奴らは幾度となく絶体絶命の危機を乗り越えてきた戦士達だ。考えなしに攻め込めば、また思わぬ反撃を受けて痛手を受けることになる。用心しなければならない。


「零姫……。それに、導師リンネ……。此度こそ、このオロチが……必ず……」


 今は力を取り戻すことに集中せねば、零姫は手強い……。あの小娘に何故あれだけの力があるのか不思議でならないが、此度はあの時よりも遥かに力を付けねば確実に負ける。今はまだ、耐える時だ……。時が熟すまで……。



  • ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いいねで応援
受付停止中
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
作品の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ