挿絵表示切替ボタン
▼配色






▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~【1巻5/15発売】 作者:エリーゼ

第五部

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
232/536

231 やる気は十分

◆ リュース・ギルドルーム【談話室】 ◆


 耐えられなかった、あの突然のほっぺにチュー攻撃に……。そしてお菓子の焼けるいい香りと共に起きてみれば、ハッゲさんがティアちゃんとサリーちゃんにマカロンの作り方をガッチリと教えてくれてたみたいで、バビロニクスのギルドルームに山のようなマカロンが積み上がってたね。ちなみにおにーちゃん達が説教され始めてから1時間になる辺りかな、そのぐらい。

 このマカロンの山をどうするかって? ハッゲさんの書き置きで『欲しい分は貰ったし、ギルドメンバーの分はあるからそれは自由に消費してくれ』って書いてある通り、自由に消化させてもらうことにしたよ。主にローレイの建造班への差し入れとして9割は消化したね。完全にローレイの職人NPCにスイッチが入っちゃったらしくって、レーナちゃんが外観をデザインし直した飛空艇を明後日までには作り上げるって暴走してたよ。地下の建造施設が大幅に拡張されてて、今では200人ぐらいでノンストップ施工中じゃないのかな、アレは……。

 もはや何も言わず、持ってる全財産をソッと差し出して来たよ。真地獄晶石とか、圧縮パナシーアクリスタルとか、希少な物も素材を買いに買いまくって揃っちゃってたね。あ、私が投資額ランキング1位だったよ。366Gも投資してたね、ハハ……。そりゃあ、地獄パーティとかで出たアイテムとかシークレット未満は殆ど売りさばいてるもん、そのぐらい行くよね。だって今真覚醒の証が最安値で15Gだよ? 50は必要だけどまだ先だし、今は換金のほうが優先だからで多分全部売っちゃったよ。


『。゜(゜´Д`゜)゜。』

「まあマカロンでも食べて、元気だして……」

『これがマカロン。ピンク色でも悍ましいと感じませんね、可愛らしいです』

『ピンクって染料が希少だし、レアな味がするでしょぉ~?』

『大丈夫、ちゃんと焼けています』

『そっちのレアじゃなくってぇ!! 希少性の方、希少性!!』

『んまぃ……』

「元気出して、大きいおじさん!」

『お、おじ……!?』


 あ、クーガーさんがおじさんって呼ばれて複雑そうな顔してる。おじさんって呼ばれたくない相手からおじさんって言われた時のダメージってね、かなり高いんだよティアちゃん。まあクーガーさんだしおじさんでいいっか。クーガーさんだし。


『そ~そ~♡ 早く元気出しなよ~お・じ・さ・ん♡』

『ぐ、ぅ……!』

『ティア、私は今まで通りに呼ぶように』

「はい! カヨコ様!」


 カヨコさんが、ティアちゃんを牽制しとるーー!!? 絶対にあの呼ばれ方だけはされたくないのね、かなりガチトーンでしたもんね……。

 

『そういえば、下位神に襲撃されたと聞きました』

「あ、そうなんです。撃退したんですけど、容赦なしに来ていたらかなり強かったと思います」

『潜入ルートについては、どうやら行商人の体に入り込んでの侵入だったようです。人間の皮を被って、装備類に関しては行商人の砂上車に積み込んで。ローレイとルテオラ、リュースには確認されていないようで――――』


 おっとカヨコさんから追加情報。なるほど、あの後調査が進んだのを魔神兵ネットワークみたいなので情報共有されたんですね。そっか、行商人に……。とんでもなく悍ましい潜入方法ですね……。


『目的は前回のルナリエット戦で領域制圧能力を発揮したリンネさんの撃滅、及び従者の抹殺。更に我々の始末、出来る限りのバビロニクスの兵力減少だったようです。どうやら情報を得ていたのはバビロニクス内での情報だけだったようで、ローレイやここリュースで活動していた内容に関しては一切知らなかったようですね。当然、飛空艇建造に関しても知らなかったようです』

「は~……。それだけメルティス側が必死ってこと、でしょうか?」

『本気も本気、ここで傾いた勢力を逆転したいと見て間違いないでしょう。恐らくローレイ側の情報も欲しかったのでしょうが、あちらには非常に優秀な門番がいらっしゃいますから、入れなかったのでしょうね。それに異界人が南東方面から回り込んで襲撃した事件もあったでしょう? あれで警備が更に強化されて、近寄れなかったようですね』

「あ~……な~るほど……」


 そうか、ローレイには門番のベロスちゃん達が居るし、ルナリエット襲撃後の【ミィナイト強襲事件】があったから警備が強化されてたんだ。飛空艇も知らないとなれば、ということは私が超越した件に関しても知らなかったのかな。超越、古代神術がなければ勝てると思いこんでたから、あの余裕っぷりだったんだ。こっちを知り尽くしてるみたいな雰囲気出してきたから、超越してても全く問題ないのかと思って焦っちゃったよ。焦り損だったか~。


『ところで、ティアは次の段階に進まないのですか?』

「え? ああ、まだ上限解放の条件が――あれ」

『上限解放クエスト【上限解放:ティアラ・2】をクリア可能です』


 あ! ティアちゃんの上限解放がいつの間にか出来るじゃん! おお……。本当にいつの間に……。


「出来るみたいです!」

「わあ、もっと強くなれるって、ことですか?」

『そうですよ。もっと強くなりましょう、私を超えるほどに』

「もっと、が、頑張ります!」

『そこで無理~って言わない辺り、凄い子よね~』

『(*´∀`*)』


 前のティアちゃんだったら『それは無理です』って言ったかもしれないけど、この言葉がすんなり出てくるってことは……成長してるんだなぁ。こんな短期間で。どれ、じゃあチャッチャと上限解放しちゃおうか。


「それじゃ、やっちゃうね」

「はい、ふ、ふちゅちゅかものですが……」

「そんなに畏まらなくても。これから結婚するわけじゃないんだからさ、それっ」

『上限解放クエスト【上限解放:ティアラ・2】をクリアしました』

『ティアラの状態をチェック中です…………』


 おー。通った通った、どれどれ今回はどんなもんかな~? シークレット要素突破した気がしないんだよね~。なんか通常の上限解放になりそうだなぁ~。


『信頼度:★★★◆』

 ┗目指す道を示し、その道の険しさを理解させ、それに応える覚悟を決めた

『好感度:★★★』

 ┣好感度最上位に到達し【アンデッド憑依】を実行した

 ┗未達成事項:婚姻

『成長度:★★★◆』

 ┣【超位吸血鬼の血を取り込んだ】【吸血鬼用武器防具の大幅成長】を達成

 ┗【格上の存在との戦闘術を指南】を達成

『総合評価:SSS』

『ティアラのクラスが【◆アーク・ブラッディア】にランクアップしました』

『ティアラが完全に力を取り戻しました』

『ティアラの攻撃スキルが【混沌化】しました』

『◆◆の条件は不明です』


 好感度が未達成だったか~!! いや婚姻て、すんごい重いじゃん……。わ~お、そりゃ無理だわ。そんで攻撃スキルが混沌化って何? え、これヤバイじゃん……? 攻撃属性が【無・聖・闇】のトリプルになってらっしゃるよ、一番倍率が高いのが優先されるって。ひえ~~~……!!


「凄く、力が湧いてきます!!!」

「ステータス1.5倍ぐらいになってるもん、そりゃあ力も湧いてくるでしょうねえ……」

『おお、なんというか――――ごほっ……!?』

『おじさんうるさい』

『(;´∀`)……』

『これだけ強くなれば、やっと私の技を一部教えられそうですね。ティア、一緒に少し稽古をしませんか? このおじさんを一緒にやっつけましょう』

『え』

「はいっ!! 是非、ご一緒させてください!!」

『えっ……?』


 ああ、おじさん……。なんというか、ご愁傷様です……。


『クーガー、緊急時にタンカーがあんなに慌てていいとでも思っているのですか? これから緊急時の判断を鍛える特訓です』

『ほ、本気で――うぉぉぉおお!! サリー、離してくれぇ!!!』

『ウダウダ言ってないで行くぞゴリおじ。じゃ、リンネちゃぁ~ん♡ ティアちゃん借りていくわねぇ~~??』

「ア、ハイ……。ティアちゃん、カヨコさんからしっかり学ぶんだよ。全部盗んじゃっていいからね」

「はいっ!!!」

『全部は、ふふ……困りますね』

『リーダー!! リーダーも来るよな!? 助けて――』

『(;´∀`)ノ』

『そんな、リーダー!!! リーーダーーーー!!!!』


 おにーちゃん、完全にクーガーさんを見送ってるし……。ああ、二人っきりになっちゃった。どうしよ? 何しよっか? ペルちゃんは一瞬だけログインして来てまた落ちてるし、ギルメンさん達は~……大体が【取り込み中】のマークが付いてるなぁ~。つくねちゃんは【ダンジョン進行中】のマークついてるし、う~ん。


「え~っと……? どん太と千代ちゃんとリアちゃんは一緒に砂漠で暴れてる、ティアちゃんはカヨコさん達がついてるから大丈夫、マリちゃんは地下建造施設で完全に缶詰……うわ、こんなに働いてるのに調子が絶好調だし、怖っ……」

『(*´∀`*)』

「んじゃあ~おにーちゃん。ヘルホエール号でも倒しに行くかね」

『(*´∀`*)b!!』


 誰も一緒に行く人居ないし! んじゃ~おにーちゃんと一緒にうみのどーくつ、いっくかぁ~~!! なにげにおにーちゃんとペア旅行って初めて? 初めてかも? パーティ構成的にはタンカーとバッファーだけっていう火力不足待ったなし構成だけど、私とおにーちゃんなら大丈夫でしょ。というかおにーちゃん一人だけで余裕でしょ!


「よし、行こ行こ! あ、このマカロンは妖精さんにあげるんだ~あげてくるね~」

『(*´ω`*)b』


 よぉ~し!! じゃあこのマカロンをお皿に乗せて、飲み物はミルクとかでいいのかな? 


「今度材料いっぱい持ってくるし、またお菓子いっぱい持ってくるからね、壊しちゃってごめんね~……」


 んじゃ、出発しよう! まずはローレイの――あ、面倒だし地獄パーティチケ切って現地の近くに飛んじゃおう! その方が早いもんね~。おにーちゃんは隣りにいるし、対象に選ばれてるね! ほんじゃそれ、ペリッとな。


『――――壊れちゃったね』

『ガッカリしてた』

『掃除だけする? 倉庫の材料、使う?』

『ウォォオン』

『ちょっとしかないよ』

『ちょっとでも直そうよ、ほら! 見たことないお菓子がいっぱい!』

『期待されてる、頑張らないとっ!』

『ムゥゥン』

むきむき(・・・・)もやる気いっぱいだ~! 私達も、がんばろ~!』



【ちょっと紹介♡】


【掃除の妖精】ぱたぱた

【修理の妖精】くるくる

【鍛冶の妖精】かんかん

【筋肉の妖精】むきむき

――――リュースのギルドハウスに住み着いている妖精。手乗りサイズ程の可愛らしい女の子達で、とても働き者。お菓子を貰うとお礼に壊れたものを直したり、新しく作り変えてくれる。その姿を目撃した者は幸運になると言われているが、同時にその家から姿を消してしまうとも言われている。

  • ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いいねで応援
受付停止中
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
作品の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ