252 交流
◆ 加賀利・城下町 ◆
『ゼオの【オートスペル:狩人の雨】が発動、複数の対象に平均15,500Kダメージを与えました』
『ゼオが【魔剣・屍刎】を発動、特効! クリティカル! 大型実験体B-22【メルボーンズ】に44,200Kダメージを与え撃破しました』
『ゼオの【オートスペル:狩人の雨】が発動、複数の対象に平均15,500Kダメージを与え、全て撃破しました』
「かわいそう。罪のない、純粋な人々。とてもかなしい」
「大丈夫、魂は冥界に行って、安らかに眠れているから」
「そう、苦しくない場所なら、良い」
あのね、ゼオちゃん別格過ぎるわこれ。オートスペルなんてスキルがあるの? 完全に自動で魔術の矢の雨が発射されて次々と相手を貫いていくんだけど。しかもオートスペル中は普通にゼオちゃんもスキルが使えて攻撃出来るし。不死特効の魔剣とか、獣人特効の魔槍とか、人間特効の魔斧とか、いやぁ素手で大丈夫なのかなーと思ったらなんか次々と武器が出てくるからびっくりしちゃって……。
「……? 私の武器、不思議そう? とても見てる」
「あ、興味はあるけど、ええっと……」
「滅ぼすもの、博士からもらった、大事な。9つの力を持った、特別。リンネさん、見せてあげる」
「えっ」
『ゼオが【滅ぼすもの】の情報を限定条件で公開状態にしました』
え、見せてあげるって、そんな軽々しく見せて良いものなのゼオちゃん……? 名前からしてヤバいんだけど、もう絶対ヤバいもん。見たくない……見たくないんだけど、見たい……!!! 見ちゃう!!! 見~せてっ!!
【■滅ぼすもの】(旧死神印・エンシェントエピック・全武器・空きスロットなし【●】)
・【呪】MP消費量30%上昇
・【呪】装備には【古代系スキル】【旧死神の許可】が必要
・全攻撃力+100%
・スキル【モードチェンジ・ナイン】使用可能
・スキル【エレメンタルチェンジ・ナイン】使用可能
・スキル【破壊王】獲得――獲得済み
・超越者・古代種・神系を持つ相手に対してダメージ1.5倍
・超越者・古代種・神系を持たない相手に対してダメージ3倍
・攻撃命中時、対象の良性状態を破壊する
・手放しても持ち主の元へと戻る
・【◆◆◆旧死神エバデオンカード】攻撃命中時、ダメージの10%MPを回復する
――――博士、私の体を、この子を、頼んだぞ……。 by旧死神エバデオン
強化不可・許可【特異生命体・Z0】・重量なし
「あわわわわわ…………」
「あわ、わわ?」
「これは驚いたり、混乱している時に出ちゃう言葉ですねっ!」
「あわわわ。可愛い、私も驚いたの時に、これから使う。あわわわ」
驚くとか驚かないとか、そんな次元の話じゃないわ。見ちゃった、見ちゃったよ……。多分これはシークレット系とはまた違う部類のレアリティの装備だわ。それに、旧死神エバデオン……? カレンちゃんの前に死神が居たってことだよね。このカードのテキストからして、ゼオちゃんを作り出した『博士』って呼ばれる人物に全部託したような雰囲気。なんとなくだけど、ゼオちゃんの正体がわかってきたような気がしますねえこれは……。恐らくゼオちゃんは――――。
「あ! あわわわわわ」
「ん、ん!?」
早速驚いた時の『あわわわ』の使い道が見つかった見たいな反応!? 何に驚いてるのかな!?
「トカゲ、飛んでる!」
「トカゲ……? ああ! あの上空を旋回してる黄色と青色の?」
「そう。トカゲは、飛ばない。D67も飛べない、あれは飛べる? どうして?」
「ん~アレはね、ドラゴンっていう種類のトカゲなんだよ。お肉を焼いて食べると美味しい」
「美味しい!!!!! 大事、凄く情報!!! まずみんな、冥界に送る。それから!」
「そ、そうですね……。じゃあ引き続き頑張りましょう……」
そっか~……。ゼオちゃんの居たところではドラゴンは飛ばないタイプのドラゴンだったか~……。確かにデロナも飛ばないドラゴンだしね、逆に飛んでるドラゴンが珍しいか~……。
これであのドラゴンが美味しくって、ゼオちゃんがドラゴン食べたい症候群に掛かってドラゴンを滅ぼすものになったらどうしよう。つみれちゃんの天敵になるかもしれないし、先につみれちゃんってドラゴンはお友達だから食べちゃ駄目だよって教えておかないと。
「あのね、え~っと……。あったあった、これ見える?」
「……!? 見える、知らない魔術です。あわわわ、この小さいトカ……ドラゴ、ン?」
「そうそう。この子は私達の大事なお友達で、つみれちゃんっていうの。とっても可愛い子で――」
「可愛い! 食べる、絶対ダメ! 可愛い、可愛い……あわわわ」
「おお~。良かったですねっ! 言い切る前に理解してくれました!」
「ね! 可愛い子だから、傷つけないであげてね」
「わかった、注意」
凄い、つみれちゃんの可愛さがスクショを見せただけでご理解頂けたようです。これならみんなに会わせても問題ないかな……? 中央エリアの残りを冥界に送りながらゆっくり進行してたけど、合流しても大丈夫かも?
「質問です。リアちゃんは、リンネさんを何故、お姉ちゃんと呼ぶ、ますか?」
「私の本当のお姉ちゃんよりも、ずっとずっと家族のように大事にしてくれるからです!」
「ああ~~……。博士も、私を本当の家族ではない。でも家族のように愛して、でした。とても理解出来ます」
「ふふ~ん♪」
「ふふ~ん、可愛いです。それは自慢? ですか?」
「そうですっ!!」
「私も自慢の時、ふふ~んを使いたいです」
「いいですよ、いっぱい使うべきです!」
「はい、自慢はそうします。ふふ~ん、ふふ~ん」
何だこの可愛い生き物達は……。私をこんなところで殺すつもりなのか……? リアちゃんも最初はツンツンしてたけど、ゼオちゃんが無害な相手で人懐っこい子だってわかったら打ち解けてきたね。良いことだよ、仲良くしてね……。
「質問です。メルティス教は、悪いことはこれが初めてですか?」
「ううん、私の従者に、国を乗っ取られかけたり、国を滅ぼされるキッカケになったり、奴隷にされて物として扱われていた子もいるんだよ。もっともっと、酷いことをされた人がたくさんいるの」
「やっぱり。博士の話と同じ、とても酷い。嘘じゃないでした。博士の話でメルティスは、不都合な相手を殺し、悪いことは死んだ相手のせい、しました。噴火したは、ヒノカミが悪い。だから殺した。洪水は、ミズノカミが悪い。だから殺した。これからは、私が世界を平和します。だから私を信じなさい、私はそれはとても恐ろしい思います」
「ああ、ああ、なるほどね……」
ああ、唐突に来た質問で色々と分かっちゃったね……。そうなんだ、昔はもっと沢山の神が居たんだ……。それを自然災害が起きるたびに他の神のせいにして殺して、これからは自分が管理してやるから私を信仰しろってやって来てたワケだ。これが大昔から『メルティスがこの地を守ってくれている』に繋がるのね。反吐が出るなぁ……。
「あれ、メルティシア法国の火山……。ちょっと前に噴火させて来ちゃったけど、大丈夫ですかね……?」
「……? どういうことですか?」
「あ~~。あのね、メルティス教の本拠地があるメルティシア法国が、私達の国を滅ぼしてやる~~って言ってきたの。それとこの島の戦の時期がかぶるから、ずらしたいな~と思って私とリアちゃんともう一人で、火山を人工的に噴火させて来て法国に大打撃を与えてさ、中止させたのよ」
「わあ、それは大変。メルティスは約束を破った、これは大変なことだと思います! あわわわ」
「そう、あわわわなんだよね」
「あわわわ~~」
「あわわわ、あわわわ!」
そう言われてみればそっか。今回の火山噴火に関して、メルティスは古い約束を破ったことになるのか。今まではメルティスが火山を噴火しないように管理してたはずだったのに、急に噴火が起きて法国が飲み込まれかけたんだもんね。これは思った以上に大打撃を与えたかもしれないね……?! ふふ~ん♪
「私は戦う力、とても強いです。でも噴火を自分では出来ない、リンネさんはとても凄いです! 私なら、ただ国に攻撃するだけ。それで終わりです」
「私達がやったってバレちゃったら、あっちが攻撃する理由を作っちゃうから、内緒で大規模攻撃するならどうするかって考えたら、噴火だったんだよね。だからやっちゃった~」
「普通の人、考えない思います。絶対やらない。やるのは、大変でしたでしょう?」
「今日の朝思いついて、お昼前には終わってお風呂入って帰ってきたよ~。あ、その時買った串かつが、さっきのだよ~」
「………………????? ちょっと、理解が苦しいです」
「ほら、言われてますよお姉ちゃん。やっぱりお姉ちゃんがおかしいんですって」
「え~? 雨で学校休校になるんだから、噴火したら戦争中止になるかーって思いついちゃったんだもん、仕方ないじゃん」
「仕方ない、だから噴火。理解が苦しいです。でも、とても凄い」
「…………ふふ~ん!」
「あ、私が使いたかった。ズルいズルい、使いたい」
思ったよりも内部に打撃を与えられたかもしれないってわかったら、なんか気分良くなってきたね! ん゛っ゛!! ゼオちゃんの『ズルいズルい』の時のほっぺをぷく~~っとさせるの可愛いな? 可愛いね。リアちゃんもこれ、真似して良いんだよ?
「近い、戦いの音。あっちです」
「中央南……。リビルドスカルドラゴンが居る方かな、応援は要請されてないけど……いや、要請する余裕がないだけかも。行ってみよう!」
「そうですね、近いですし! 行って損はないかもですっ!」
「リンネさんの、仲間? 戦っている人、見えます。気をつけて戦うこと、注意します」
「そうね、巻き込まないようにね! 派手に暴れるだけなら誰でも出来るけど、目的の相手にだけ集中して攻撃するのは熟達した戦士にしか出来ないから!」
「私は、熟達の戦士です。ふふ~ん♪ 使えました。嬉しい!!」
今回の絶望どん底だったこの現状における癒やしよ、ゼオちゃん……。本当、コミュニケーションが上手く行ってよかったわ。さて、リビルドスカルドラゴン……あ! お昼寝さんのパーティが対応中の相手か! 既にヘルプが出されて、更にお昼寝さん達がヘルプで入ってるのにそこから更にヘルプは出せるわけないか……。う~ん、零姫おばあちゃまも行ってるはずなのに苦戦してるところを見ると、相当ヤバい相手なのかな……。
「かなりの戦力で当たって倒せてないから、注意していこう」
「わかった、ました!」
「はいっ!」
ゼオちゃんのところどころ怪しい言語でちょっとずっこけるけど、気合い入れて行こうっ!!