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ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~【1巻5/15発売】 作者:エリーゼ

第六部

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258 反省

◆ 加賀利・城下町 ◆


 なんとも気の抜ける最後だったけども、つくねちゃん曰くつみれちゃんは星龍と真龍の母親の生まれ変わりだったらしい。その名も『暴虐龍姫ジェノ』、天魔大戦の前にラージウスとガリャルドを魔族領地で産んで育て、天魔大戦が勃発後は天族の侵略を食い止めるべく奮戦したんだとか。しかし幼い二龍を守りながらでは実力を出しきれなかったらしく、二龍を庇いながら命を落としたそう。

 転生後はつくねちゃんの暴虐性に引っ張られて幼龍として生まれてきたものの、記憶の大半を忘れた状態で生まれてきて、そして今さっき発動したつくねちゃんのスキル【★じぇのさいど!】によって失われていた暴虐龍姫ジェノの記憶が引っ張り出されたんだって。


「あれはね、私が死ぬ前に約束した世界一強い二龍になるって約束が守られてないってまた怒ってるところ、かな……」

「あ~~……。あれ? そういえば、魔龍と合わせて三つ巴なんじゃなかったの?」

「魔龍は邪龍王には勝てないって泣き言喚いて尻尾を巻いて逃げようとしたから、腹が立って食い殺したって」

「ええ……」


 今のつみれちゃんは、つくねちゃんに育てられた可愛いつみれちゃんの人格……人格じゃなくて龍格……? それとジェノママの龍格が同じ肉体に同居してるみたい。ジェノママの怒りが爆発するとつみれちゃんからジェノに切り替わって、大変に凶暴化するらしいよ。まあ私からするとつみれちゃんが手足をパタパタさせて"ぴぃぴぃぎゅぁぎゅぁ"って怒ってるだけにしか見えないんだけど。たまにちっちゃい火の玉をぶつけてるぐらい……?


『すいません……。すいません……』

『も、もう、反省した! 反省したから!』

『ギュァアアアーーー!!????』

『『ひっ……!?』』

「あ。あれは謝り方に誠意が籠もって無くてキレてる……」

「なんとなくわかる気がする……」


 あいつらの目玉ぐらいしかないサイズのドラゴンに火の玉ぶつけられて『ひっ』なんて声を出すデカいドラゴンの情けないこと……。さっきまでアレと本気で殺し合ってたはずなんだけどなぁ~……。


「一番困るのは、つみれが今の主人はわっちだから、わっちの言う事は絶対って言い聞かせてることかな……」

「扱いに困るでしょあんなデカいの」

「ですね……」

『(;´x`)……』

「あ。煽った挙げ句タックルくらってふっとばされたおにーちゃんじゃん」

『(;´;x;`)』

「酷い言われよう……」


 こっちも怒られそう~……みたいな様子で来たよ、おにーちゃんが。いや怒らないけどね? 活躍した場面のほうが多いし、むしろ居なかったら大惨事だったなって場面のほうが多いから。むしろ勝因みたいなところあるし…………。でもそれら全てを帳消しにするレベルの、あの煽った末にガードしきれずふっとばされた瞬間のアレね。うん、ごめんね……ダサかったよ、おにーちゃん。


「そういえば、巨大化してわかったことが。えっと……。メリットとしてはMPと職ポイントを除く全ステータスが5倍、STRからMNDとHPを含める7つのステータスが5倍になりました」

「え、5倍! それは、凄まじいメリットだね……!」

「逆にデメリットは、範囲攻撃を完全に受けた時のダメージが通常時よりも跳ね上がって大きくなるみたい、です。単体は大丈夫だけど、ブレスとかが……」

「あ~! だから一部のスキルの威力が跳ね上がってたんだ」

「最後の、あの黒い球体攻撃、スキル名も何も出ないからログがバグったのかと、お、思いました……」

「そういえばおにーちゃんが微妙にのっそり動いてた原因はなんだろう?」

「単純に、空気抵抗ですね……。その分遅れたんだと思います」

「あ~~~!! なるほどなるほど……」


 とりあえずリトルブラックキャットに関しては詳しく言えないからスルーしといて……。おにーちゃんが巨大化した時に対応が遅れたのは単純に空気抵抗で遅くなった感じか~。そして巨大化した分HPが増えるけど、代わりに範囲攻撃なんかがモロに直撃するとダメージが跳ね上がる、と。


「大型より上のクラスになると、倍率が掛かるのがあったりも、あるかもしれないですね」

「確かに、大きい相手に点で攻撃してもいつものダメージだけど、面で攻撃するとダメージ大きいもんね」


 小型中型大型相手には範囲攻撃を当てても1割~2割とかしか当たらなくて8~9割は外れてるけど、ドラゴンみたいな超大型相手には範囲攻撃がフルヒットしてるからダメージが増えてて、倍率が跳ね上がるみたいなのがあるってことね。考え方としては、雨と同じかな? 傘に雨が当たるのをダメージだと考えたら、傘のサイズが大きい方が雨が当たる量が多いもんね。う~ん、範囲攻撃を得なきゃいけない理由が増えたなあ。


『(;´x`)……』

「おにーちゃんは巨大化した時の動作が遅れる感覚に慣れないとね」

『(*´∀`*)』

「おにーちゃんのおかげで助かった場面がいっぱいあったんだから、そんなにションボリしないの」

『(´;x;)』

「…………でもやっぱり、煽ったのにタックル受けてふっとばされたの、ダサかったよ」

『_| ̄|○ il||li』

「ああ……。崩れ落ちましたね……」

「なんか逆に、言って欲しそうだったから……」


 変に気を使って優しくしてあげるより、言うべきことはグサッと言っておいたほうが、多分おにーちゃんのためになると思うから……。


『エリアメッセージ:城下町北区を制圧しました!』

『エリアメッセージ:全エリアの制圧が完了しました!』

『エリアメッセージ:スタンピードの完全鎮圧に成功しました!』

『エリアメッセージ:全プレイヤーのデスペナルティによる【侵食状態】が解除されました』

『ボーナス1:目標タイム30分以内の制圧に成功!』

『ボーナス2:星龍、真龍の無力化及び説得に成功!』

『ボーナス3:隠しNPCの救出及び説得に成功し、最後まで生存!』


 お、北区の制圧も終わったみたい。これで完全にスタンピードの鎮圧が――って、目標タイムとかあったんだこれ。しかもボーナスが3個もついてるし! 知らず知らずに色々達成しちゃってたけど……私の中で一番なのは、醤油と味噌の醸造所を守りきったところなんだけどね?


『エリアメッセージ:MVPは【リンネ】、準MVPは【つくね】です。その他プレイヤーについてはUIより【戦績】をご覧ください』

『エリアメッセージ:加賀利城広間にお集まり下さい、10分後に報酬が授与されます』

「わ……。準MVPでした、リンネさんMVP、お、おめでとうございます!」

「特にそこまで暴れた記憶はないんだけど、ありがとう! つくねちゃんもおめでとう~」

「ありがと、ございますっ……えへっ……」


 報酬授与は加賀利城の広間か~。そういえば倒しても倒しても経験値が一切入手表示出なかったもんね。もしかしたら各イベント毎に達成状況によってその都度報酬が配られる制度なのかな? 防衛の時もそうだったし。


「あれだけやって、暴れた記憶がない……? お姉ちゃん、記憶喪失ですか……?」

「ん、あ、ほら。ね?」

「あ……! (秘密でしたね、超越の件!)」

『(;´∀`)……』

「広間、行きましょう、か。報酬楽しみです」

「そうだね、広間行こ~……の、前に…………」


 さて、それじゃあ報酬貰いに広間に~……行く前に、そろそろつみれちゃんを宥めておかないと、肉体がボロボロの星龍と真龍が精神までボロボロになっちゃうからね。


「そうですね……。つみれ、もう許してあげて~……」

『ぎゅあぁ~~……。きゅぅいいぃ……』

「お前達も、思わぬ強敵が居るってことはわかった、でしょ? それを肝に銘じて、修行し直した方が良いよ」

『っぐぅ……』

『返す言葉もない!』

「……ねえ、それぞれ体の半分ぐらい吹っ飛んでるけど、大丈夫なの?」

『『大丈夫なわけあるか!』』

『ギャァアアアアアゥゥゥゥウウ!!!!!』

『『すみません!! 大丈夫です!!』』

『きゅぴぃ……』

 

 思ったより元気そうだったわ。これだけ元気なら大丈夫でしょ、そのうちケロッと治ってるって。


『仕方あるまい……。体は、小さくなるが……』

『小型化するか、このままではまともに動けん!』

『星龍ラージウス(Lv,350)が【小型化】を発動、体を再構成して大型サイズまで小型化しました』

『真龍ガリャルド(Lv,350)が【小型化】を発動、体を再構成して大型サイズまで小型化しました』

「お、え、ほえ~……。小さくなれるんだ~」

「巨大化の反対もあるんですね……」


 お~小さくなったし、それぞれ失ってた部位を再構成して五体満足になったわ。へえ~こんなことも出来るんだねえ、凄いわ~ドラゴン。いや~それに……いいね。安易に人型にならないのもまた良い。しっかりドラゴンの見た目のまま縮んでるの評価点高いよ、私の中では。


『これからはおま――』

『キュ?』

『…………つ、つくね殿に、従う!』

『か、勘違いするなよ! お前達に従うのではない、つくね殿に従うだけだ!』

「あ~~……はい、よろしくお願いします……」


 ラージウスのほうは比較的素直っていうか、物わかりがいいんだけど……。ガリャルドの方はツンツンしてるなぁ~。やんちゃな男の子達で大変だったろうなぁ、つみれちゃん……。


『そういえば、なんだ。女が多いな。微妙に肩身が狭いな……』

『俺は同性だから気にもならないがな! ハハハハハハ!!!』

「は?」

「え?」

「えっ」

『(;´∀`)!?!?』


 待って? ガリャルド、女の子なの……? あんなスーパーウルトラ脳筋ダイナミックアタックを仕掛けてきてた方が女の子で、ネチネチネチネチやってたラージウスが男の子? うそぉ……。え、うそぉ……?


『そうだ、もっと肩身を狭くしてやろうか! 一応昔練習したからな、人化の術も使えるんだぞ、使って――』

『待て! 待て待て!! お前、あいつを止め、あ! 止めて下さい! つくね殿!!』

「え? もしかして今人化したら全――――」

『ギュァアア!!!』

『え、今は駄目!? やるなら服を着ろ!? わ、わかったよう……』


 つみれママの一喝、超つよぉい……。まあ今は止められたからしなかったけど、人化も一応出来るなら、服を用意してあげてして貰おうか……? うーん、私個人としてはミニサイズドラゴンの今の姿のほうが好きなんだけどなぁ~。


「…………お肉、小さくなってる」

『なんじゃ~食料にしてよい雰囲気ではないのう~』


 あ! すみませんゼオちゃん、零姫おばあちゃま……。なんか食べ物に出来る雰囲気じゃなくなっちゃったんで、代わりにレッドドラゴンのお肉で……。後でハッゲさんに何か作って貰おうね。は~あ、それじゃあ広間に戻ろうかぁ~。


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