257 激怒
◆ 加賀利・城下町 ◆
『グォォオオオオオーーーー!!!』
『真龍ガリャルド(Lv,????)が【ドラゴニックチャージ】を発動しました』
『フリオニールが【ハイパーガード】を発動、PERFECT! 【ドラゴニックチャージ】をジャストガードし、無効化しました』
『Σ(´∀`;)!?』
え、おにーちゃん今のタックル防げるの?! ジャストガード、ガードのタイミングが完全に合ってる時は攻撃が防げるってことなの?! なんで今まで発覚しなかったのこれ? あ、もしかして今のおにーちゃんの動作がもっさり過ぎて、ガードが遅れたのがたまたまジャストガードのタイミングだったってこと? いや今の攻撃防げてるの自分でビックリしてるじゃん。
『小癪なッ!!?』
「余所見しやがってェ!!! 潰れろォ!!!!」
『つくねが【ぺちゃんこ!】を発動、真龍ガリャルド(Lv,????)に33,380Kダメージを与えました』
『グゥ、ガァッ!!!?』
『つくねが【猛龍身弾】を発動、真龍ガリャルド(Lv,????)に27,651Kダメージを与えました』
「なんかズレる!!! ムカつくんだよォ!!!」
『くそ、なんてパワーだ!!』
『(すごいパワーですっ!)』
なんかつくねちゃんの攻撃が外れそうになる時があるなあ、的確に急所は避けるようにズラされてるような……。これもしかして歪曲空間の影響で? ラージウスが間違いなく邪魔してるわ。ジャマー、トラップ、結界、それでこの歪曲空間。ラージウスは空間系スキルの練度が非常に高い、反面攻撃したところは見たことがないし、ブレスに至っては回復とか補助系の真覚醒スキル。何か奥の手があるかもしれないけど、これだけ猛攻撃を受けてても攻撃して割り込んでこないところを見るに本当に攻撃系がないのかもしれない。それだけ余裕がないのかな?
『パーティチャット:ラージウスに歪曲空間で攻撃をズラされてるのかも! 連続攻撃を曲げ続けるのは辛いはず!』
『フリオニールが【無双連斬】を発動しました』
『つくねが【斬滅殺界】を発動しました』
『ゴァアア!!!』
『星龍ラージウス(Lv,????)が空間の歪曲に失敗しました』
『スキルリンク! 【無双殺界】が発動、真龍ガリャルド(Lv,????)に49,925Kダメージを与えました』
お! 高密度高威力の攻撃を与え続けると負荷が大きすぎるみたいだね、歪曲に失敗した! 押してる押してる!
『つくねが【★じぇのさいど!】の条件を達成、3分間与ダメージが2倍になります』
「ァ……? アッハ……!! ハハハハハハハ!!!!!!」
『気をつけろガリャルド、奴のオーラが尋常ではないぞ!!!』
『わかっている!!! このままでは防戦一方だぞ!!!』
『やむを得ん!!!』
ラージウスが何かする気だ、防ぎきれないと判断して攻撃に転向する気!?
『星龍ラージウス(Lv,????)が【空間爆発】を発動、【正体不明のトラップ】【ジャマー】【空間歪曲】を解除して爆発を引き起こしました!』
『フリオニールが【パーフェクトガード】を発動、つくねを庇いダメージを無効化しました』
「う、るせぇえええ!!! なんだ、今のッ!!!」
利用してた空間を全部破壊して爆弾にしてぶつけるような攻撃スキルがあったんだ! これをやったら確かに防御はガタガタ、奥の手も奥の手だから使いたがらなかった……でもこの爆発のおかげで……距離を、取られた!
『ッチ! 防がれた、だが!!』
『グォォォオオオオオ!!!』
『真龍ガリャルド(Lv,????)が【アトミックボディプレス】を発動、破滅的衝撃波が発生します!』
『щ (゜д゜щ)カモーン』
『フリオニールが【ハイパーガード】を発動、フリオニールが2,440Kダメージを受けました!』
『。゜(゜´Д`゜)゜。』
『(あ! おにーちゃんが!!)』
なーにしてんのあのオバカ!!! 煽ったくせに自分の動きが思ったより遅くてもろに攻撃当たってどうすんの!? おにーちゃんらしくもない!!
『貰ったァ!!!!!』
『真龍ガリャルド(Lv,????)が【ドラゴニックチャージ】を発動しました』
『( ̄ー ̄)』
『フリオニールが真覚醒スキル【プロテクション】を発動、強固な光の障壁が生成されました』
『しまった!!! ガリャルド、罠だ!!!!』
分断!!! ラージウスがプロテクションの障壁で作り出した箱の中に隔離された! ガリャルドが突っ込んできた瞬間に障壁を生成してラージウスとの分断を狙ってたんだ!! わざと誘い込むように攻撃を受けて体勢を崩したフリをして、分断のチャンスを作り出したのね! 流石おにーちゃん! 後は突っ込んできたガリャルドを、ジャストガードで……!!!
『フリオニールが【ハイパーガード】を――――』
『真龍ガリャルド(Lv,????)が【フルスロットル】を発動! 攻撃速度が上昇します! クリティカル! フリオニールが【フルスロットル・ドラゴニックチャージ】を受け5,750Kダメージを受けました!』
『うわあああ▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂あああああ』
『ガァアアアア!!!!』
『(あ)』
「あ~……」
「アァァァアアッ!!??」
ものの見事に対策されてるーーー!!!? 完全に攻撃タイミングをズラされてる!! 巨大化でおにーちゃんのHPが5倍になってるとは言え、さっきの攻撃と合わせてもうHP1,300Kぐらいしかないよ!?
『終わりだァ!! 勝てば問題な――――』
『ゼオが【フルチャージスナイパーランス】を発動、特効! クリティカル! 真龍ガリャルド(Lv,????)に279,891Kダメージを与えました』
『ィ……!!? 貴様は――!?』
今の攻撃! ゼオちゃ~~ん!! この機会を虎視眈々と狙ってたのね~!! となれば、おばあちゃまも!!!
『――――すまんのう、龍退治は…………得意でのう!!!』
『これは……っ!!?』
『零姫が【妖力全解放】【零姫式奥義・龍滅居合斬】を発動、特効! クリティカル! 真龍ガリャルド(Lv,????)の右上半身が消滅! 1,791,399Kダメージを与えました』
『零姫が反動により一時的な【妖力消滅】状態になりました』
取った――――いや、取ってない!!! おばあちゃまの最大最強の妖力で作り出した巨大太刀の一閃で、まだ倒れてない!!! 致命傷だけは避けられてる!! 何よこれ、体力お化けが過ぎるでしょ!?
『ガリャルドーーーーーッッッ!!!!』
『まだ、まだだっ……!!!』
『(お姉ちゃん! まだ生きてますよ!?)』
『(まだ、まだ動かない、つくねちゃんが居る!)』
『(でも!!)』
おばあちゃまは大技の反動で完全にダウン、おにーちゃんは虫の息、2人も危険な状態だけど――――まだ、ここで焦って動くべきじゃない。つくねちゃんとゼオちゃんを信じて待機!!! ペルちゃんは先走ってアイギスパワー使っちゃったからあっちは完全待機!!!
「レイちゃん!!!」
『う、ぐぅ……倒しきれなんだ……!』
『つくねが【★しょーたいむ!】を発動、30秒間DP消費とクールタイムをゼロにします!』
「倒れろォーーーッッ!!!!」
『ここで倒れるわけに、行くかァ!!!』
『つみれの応援バフが発動、つくねが【★真・巨大狂龍姫式地獄巡り】を発動、音速を超える斬打突の複合攻撃! 真龍ガリャルド(Lv,????)に355,525Kダメージを与えました』
『真龍ガリャルド(Lv,????)が【薙ぎ払い】を構えました』
『つみれの応援バフが発動、つくねが【★真・巨大狂龍姫式地獄巡り】を発動、音速を超える斬打突の複合攻撃! 真龍ガリャルド(Lv,????)が行動に失敗! 355,455Kダメージを与えました』
「オラオラオラオラオラァアアア!!!!!」
『グガァアアアアアアアアア!!!!!!!!!』
行け、頑張れ……!! 潰せ、叩き潰せ、つくねちゃん頑張れ~~!!!
『真龍ガリャルド(Lv,????)が【フルスロットル・ドラゴニックチャージ】を構えました』
「!!!!」
速い、フルスロットルのは潰しきれない……!? 力任せに突っ込む気だ!! 来るッ!!!
『フリオニールが【フリスビー】を発動、真龍ガリャルド(Lv,????)が盾を踏み転倒しました』
『なんだとぉおおおおお!!???』
『( ̄ー ̄)』
『プロテクションが解除されました』
『ガリャルドーーーッッ!!!』
ナイスだよナイス過ぎるよおにーちゃん!!! ガリャルドは転倒してる状態、プロテクションが切れてラージウスがなりふり構わずフォローの為に突っ込んでくる……ここだっ!
『ダーリ、トゥム! ダーリッッッ! クァトリッテ!!!』
『古代神術【暗黒子猫】をMP777万を消費して発動します』
『強制状態異常【マナリチャージ不全】状態になりました。3分間いかなる方法でもMPが回復しません』
『強制状態異常【脱力】状態になりました。3分間全ステータスが90%減少します』
『【強制憑依解除】が発生しました。【ねこはつよい!】状態が解除されました』
この瞬間、この一瞬! 誰もが私達を忘れて意識の外に出たこのタイミングが――――!!!
『なんだ、この小さな――――ッッ!??』
『ニャァァ……』
『【暗黒子猫】が何もかもを消し去る破壊空間に変化します!!!』
『クリティカル! 星龍ラージウス(Lv,????)の左半身の大部分が消滅! 2,770,500Kダメージを与えました!』
『グァ……!! グゥゥゥゥ……!!!』
『星龍ラージウス(Lv,????)が【守護結界】を発動、自らの肉体の欠損部を覆いました』
頭を吹っ飛ばすはずだったのに、失敗した……。まだ生きてるのかぁ……! 完全なる不意打ちと思ったのに、寸のところで即死を避けられた……。
『――――降参だッ!!!!! 降参する!!! どうか命だけは許してくれッ!!!』
『グゥゥゥウウ!!!! 我々の負けだ!!! この通り、だ……!!!』
「え……?」
「アァ!!?」
『Σ(´∀`;)……!?』
『星龍ラージウス(Lv,????)が降参宣言をしました』
『真龍ガリャルド(Lv,????)が降参宣言をしました』
『降参を受け入れる場合、代表プレイヤー【リンネ】か総大将【零姫】が降参を受け入れてください。降参を受け入れない場合、トドメを刺してください』
降……参……? あの、傲慢で我儘で暴力の化身みたいな奴らが……? 地面に頭を擦り付けて、降参する……?
『パーティチャット:つくねちゃん、これどうする……?』
『パーティチャット:ア~~……。あ~~…………』
こんなの初めてのこと過ぎて、もうどうしていいかわからないよ。零姫おばあちゃまは妖力消失状態で気を失ってるみたいだし、リアちゃんもさっきのリトルブラックホールの猫型版、リトルブラックキャットを放った反動でダウンしてるし、おにーちゃんはイエスかノーしか返ってこないだろうからこの場で他に相談出来るの、つくねちゃんぐらいしかいないんだけど?
『パーティチャット:あ~…………。つみれが、なんだかどうにか出来そうみたいなんで、わっちも何か冷めちゃったし……。受け入れて貰って、良いですか?』
『パーティチャット:ん~……。了解、じゃあ……任せるね?』
つみれちゃんがどうにか出来る……? 本当かな、大丈夫かな……。んー不安だけど、降参を受け入れようか? なんかちょっと残念だけど、これ以上暴れられると――――今私が潜伏してる、醤油とか味噌とか作ってた建物に被害が出そうだし。
「おーい、よーく聞けー!! 命だけは助けてやるー!!」
「はァ~~……」
『つくねが【巨大化】【シンクロ】状態を解除しました』
『ギャァウウゥウ~~!!! ギュアァ~~~!!!』
『あ、ありがた――――お゛……!?』
『寛大な――――あ゛っ……!?』
『ギュァァアア~~ギャゥゥ!! きゅぃ、きゅぁ!!!』
え、何こいつらの反応……。え? つみれちゃんに物凄く反応……してない?
『はい……はい……』
『う、ぐ……はい……』
『ギャゥゥ~~!! ギュア~グゥゥゥ~~!!!』
「何もそこまで言わなくても……」
『ギャァァァ~~ウゥゥ~~~!!!!』
『フリオニールが【巨大化】を解除しました』
『ゼオが【パワーアップ】を解除しました』
これはね、なんだろう。つみれちゃんにボロクソ言われて怒られてるような雰囲気を感じるんだけど……。つみれちゃんが滅茶苦茶怒ってるのに対して、さっきまで怒り心頭みたいな状態だったつくねちゃんが宥めに入るぐらいだし……。
『(;´∀`)…………』
「怒られてる、すごい、とても。博士、お母さんに怒られる時、似ています」
『なん、じゃ……。あやつら、あんなに……小さかったかのう……』
「あ、おばあちゃま!! 大丈夫……?」
『うむ、少し……張り切りすぎたのう……』
『ギュアァァァァァァァァァ~~~!!!!!』
『す、すみません……』
『あ、違うんだ、です、あの……』
『ギャァァウ!!!!』
『ガリャルド、言い訳はよせ……!』
『しかし、いや、知らなかったんだ、です……!』
んん~~……。なんとも、締まらない最後になったなぁ~…………。なんかあの二匹、さっき戦ってた時よりもね? ものすご~~く小さく見える、つみれちゃんより小さく見える。これはまだ当分怒られてるかな~……?
『ギュァァァァアアアアアアア!!!!!』
「ま、まあ、つみれだって忘れてたんだから、ね……? ね……?」
『ギュェエウゥゥゥ…………』
『た、助けてくれ、お嬢さん……!』
『頼む、頼む……!』
「あ、やっぱり、もうちょっと怒っていいよ……」
『がぁぁぁうぅぅ~~~!!!!!』
『『ひぃぃい……!!?』』
あ、まだまだ怒られてそうだわ。とにかく今は全員ボロボロだし、こっちは回復することだけを考えておこうね。うん、そうしよ……。じゃあもうちょっと、つみれちゃんに怒られておいてくれるかな? なんで怒られてるのか、知らないけどね……。