255 龍族
◆ 加賀利・城下町 ◆
『…………!!!!』
「レイちゃん、はい。そっち」
『おーっと、ほれほれ~こっちじゃぞ木偶の坊~!』
『!!!!』
ゼオちゃんが、いつの間にか零姫おばあちゃまを"レイちゃん"って呼ぶようになってる……。リビルドスカルドラゴン、遠目に見た時は随分と強そうっていうか厄介そうな感じが漂ってる強者だったんだけどなぁ~。もうゼオちゃんと零姫おばあちゃまに頭を蹴っ飛ばされてるのを追いかけてるだけになってるよ。
「いや~確かにアイツ、デッドリーポイズンブレスしか使ってこなかったけど。頭無くなったら吐き出せないんか~……」
「再構築しようにも既に頭ありますからね、既に存在してる頭をくっつけないと駄目なんですね」
「あ、リンネさん。終わった、ましたか?」
「終わったよ~。時間を稼いでくれてありがとうね~」
「じゃあ、美味しくないの相手、終わりです。ポイします」
『ゼオが【魔剣・屍刎】を発動、特効! クリティカル! リビルドスカルドラゴン(Lv,????)に44,610Kダメージを与えました』
『ゼオが【魔剣・屍刎】を発動、特効! クリティカル! リビルドスカルドラゴン(Lv,????)に44,625Kダメージを与えました。リビルドスカルドラゴン(Lv,????)の体が崩壊します!』
『ん、なんじゃ。もうよいのか』
『零姫がリビルドスカルドラゴン(Lv,????)に1,226Kダメージを与え、頭部を潰しました』
もう終わったよって伝えたらゼオちゃんが美味しくないを一瞬でふっ飛ばしたわ。おばあちゃまも頭に踵落とし決めて潰しちゃったし。これで再構築に失敗したら撃破かな?
『リビルドスカルドラゴン・コア(Lv,????)が【コープスコレクター】と【リビルドボディー】を発動、MISS……。対象が存在せず失敗しました』
『リビルドスカルドラゴン(Lv,????)が再構築に失敗し、消滅します……』
『ゼオが【◆ハイクオリティ・アンノウンマテリアル】を獲得しました』
ああ、砂みたいにサーーー……っと消滅したわ。いやぁ……呆気ないボスだったなぁ……。ん、なんかドロップしたのをゼオちゃんが拾ったっぽい? ハイクオリティ・アンノウンマテリアル、高菜さんが相手の情報を読み取った時にドロップすることもあるアイテムリストに入ってた奴の上位種っぽいね。これ、なんなんだろ?
「美味しくないから、何か出ました。要らないから、差し上げます」
「およよよ……」
『ゼオから【◆ハイクオリティ・アンノウンマテリアル】を受け取りました』
んお~…………。見た目はなんとなく気持ち悪い感じがする白っぽい、三角形の板みたいな……。金属ではないような……。
【◆ハイクオリティ・アンノウンマテリアル】(???・???)
・不明な素材
重量0.5kg
いや、当然のようにわからないじゃん。何のためのアイテム詳細表示よ。あ~でもこれ、高菜さんとかに見てもらったら内容わかったりするのかな? 後で見てもらおうか~。
「なんでしょう、変なもの、です」
「なんだろうね……」
『おお? リンネ、此奴の復活を阻止してくれたのかや? やりおるのう~』
「はい、回復源を断ってみました。吸収出来るものがなければ復活出来ないようですね」
『面倒な奴じゃったのう~。どれ、後はあの飛び回って暴れておる2匹じゃなぁ……』
「リンネさん、あれが美味しいトカ……ドラゴンですか?」
「あれが美味しいかどうかは、食べるまでわからないけどね」
『むぉ? 食べられるのか?』
「多分……? 昨日ハッゲさんが何度か出してたドラゴン串かつが、あれと同じタイプのモンスターのお肉ですね」
「『…………!!!』」
ゼオちゃんは「串かつ」に反応したし、おばあちゃまは「昨日のお肉」に反応しましたね。どっちも美味しいものを覚えちゃってるから、もはやドラゴンが食べ物にしか見えてないよ……。
「レイちゃん、早くドラゴン食べに行きましょう、待ちきれない!」
『うむ~どらごんを落としに行くのじゃ~!!』
ああ~。ああ~~~……。ゼオちゃんとおばあちゃまが、完全に捕食者の顔になってる……。これはね、ゼオちゃんに美味しい食べ物を教えた私にも責任があるだろうし、私も行くかぁ。
「あ~……リアちゃん? マナは回復したかな~?」
「ん~大丈夫ですねっ! 行きま――」
『ゼオが【魔槍・獣狩】【スナイパーランス】を発動、特効! クリティカル! 星龍ラージウス(Lv,????)に31,299Kダメージを与えました』
いや~この距離から攻撃するの……? 投げちゃった槍はどうするのよって思ったけど、ああそうね。武器は手元に帰ってくるんでしたね! ずるーい!! これゼオちゃんに遠距離からロックオンされたら、サッサと接敵しないとスナイパーランスで一方的に消し炭にされるじゃん。とんでもないレベルの暴力だよこれ!!!
「この距離で攻撃ですか~……。かなりの距離、マリにゃんが当てられるかどうかぐらいの射程ですよね?」
「だね~……。これからはこんな化け物と戦って行くことを想定しないといけないのか~……」
「…………え、お姉ちゃんもしかしてゼオちゃんに勝つ気で居ます?」
「え? そりゃあそうでしょ。ゼルヴァさんもカヨコさんも将来的には倒さないと、偽バビロンちゃんとかも」
「ちょっと認識を改めて気合を入れたいと思います!!」
でもまあ、不意打ちなら今の段階でもネクロフォースの被弾無敵で防げる……と、思うし。無敵状態を無視出来るような攻撃でもして来ない限りは、一撃死ってことはないと思うんだよね。
『星龍ラージウス(Lv,????)が【原初の結界】を発動、一定時間【無敵】状態になりました』
『ゼオが【スナイパーランス】を発動、良性状態破壊! 特効! クリティカル! 星龍ラージウス(Lv,????)に31,335Kダメージを与えました』
「あっ…………」
あっ…………。うん、うん……。あのエバデオンに書いてあった『良性状態を破壊』って、無敵とかのバリア系もぶっ壊すんだぁ。これはね、今の装備じゃ駄目だわ。生半可な装備でどうこう出来る相手じゃないよゼオちゃん。
「ちょっと認識を改めて、気合を入れたいと思います……」
「え? 私以上に気合入ってるお姉ちゃんが、更に気合を……?」
「はい……」
というか星龍の方も星龍の方で、あんだけダメージを受けてピンピンしてない? なんかアイツ『くっそ~痛っえなぁ~~!!!』みたいな反応ぐらいしかしてないように見えるんだけど。あれをくらってその程度で済むの? これは、ちょっとじゃなくてガッツリ認識を改めて気合を入れないとヤバいのでは? ん、あれ? なんかゼオちゃんがこっちに戻ってきたよ?
「リンネさん、リンネさん。聞きたいこと、ありました。ヤバいは、どういうこと、ですか? レイちゃんも今、ヤバい言いました。辞書、ないです。困った」
「あ~……。想定外とか、信じられないとか、思ってたのと違うっ! みたいな、反応に困ったらとりあえず使う便利な魔法の言葉、かな?」
「魔法の言葉! ヤバい、ヤバいは、ヤバいですね! じゃあ、あの美味しそうは頑丈で、ヤバいです! 戦うの、ワクワクします!」
あ、すみませんゼオちゃん、ラージウス君がなんか深呼吸してるっぽいんで、多分……いや絶対こっちにブレスか何かしようとして来てるんで、アレの対応とか……して貰ったりとか……。うわ、すんごい勢いで走ってったわ。はっや……。
『ハッゲが【フライパンホームラン】を発動、お昼寝大好きが高く飛び上がりました』
『お昼寝大好きが【デッドリーバスターボム】を発動、Weak!!! クリティカル! 星龍ラージウス(Lv,????)に12,050Kダメージを与えました』
『星龍ラージウス(Lv,????)が【シューティングスターブレス】の発動に失敗しました』
『星龍ラージウス(Lv,????)が墜落します!』
先に北に向かったお昼寝さん達が対応してる!! あ、もう1匹の方のドラゴンが逃げに徹してたのをやめたわ。お、ラージウスが墜落した場所に急降下してった! なるほど、あの2匹はお互いにフォローしあって戦うタイプっぽいね……。ん? 星龍? そういえばいつだったか星龍にまつわる何かを見たことあるような、無いような……?
「とりあえず急ぎましょうっ! もう本格的に戦闘が始まってますよっ!」
「ん、そうだね! 行こっか……ん……」
今頃思い出したけど、リビルドスカルドラゴンは消滅しちゃったから死体残ってないのか~。なんかいい装備が出来上がると思ったのに残念。ハイクオリティ・アンノウンマテリアル、何か気持ち悪い感触があるし呪いのアイテム代わりに使えないかなこれ。後で試してみよっかな?
『真龍ガリャルド(Lv,????)が【グラビトロンブレス】を発動スタンバイ!』
『星龍ラージウス(Lv,????)が【原初の螺旋結界】を発動、真龍ガリャルド(Lv,????)が【無敵】状態になりました』
「わ、ヤバい。急ご……」
うわ、あのコンビ最悪じゃん。片方大技攻撃で片方無敵防御、ドラゴンのくせに頭良くない? ドラゴンはこう、バビロンちゃんの椅子になるかどん太達のご飯って相場が決まってるのに……。お昼寝さん達ピンチかも、急ごう!