五等分の花嫁がいかに凄いラブコメであるかという話 ※ネタバレあり
こんにちは、コバンです。
今回は自称ラブコメ有識者として、僕が完結後20周以上読んだ作品である五等分の花嫁について語っていきたいと思います。
五等分の花嫁はご存知の通り週刊マガジンで連載されていた大ヒットラブコメ漫画ですが、このコミックは半ミステリー漫画とも言えるような1巻から14巻まで全て伏線を回収するラストまでの逆算でできた非常にロジカルな作品となっております。「俺は〇〇推し!」で終わるのは勿体ない、五等分の花嫁の物語のギミックを解説していきたいと思います。
※このnoteは五等分の花嫁を全話読んだ方向けです。
終盤まで五月が花嫁であるというミスリードが凄い
まず五等分の花嫁といえば、「誰が花嫁になるのか?」という疑問、ある種のミステリーから始まる作品ですよね。
これは皆さん読んでいて感じたことでしょうが、「五等分の花嫁、どうせ五月が花嫁なんじゃないの?」と思っていたんではないでしょうか。
それもそのはず、この作品は作者自身が五月がメインヒロインであるというミスリードをギミックとして取り入れているからです。
まず第一に挙げられるのが、五つ子の中で最初に会ったヒロインが五月であるということです。
転校生としてやってきた五月は唯一の風太郎のクラスメイトとして登場し、勉強を教えてください最初に頼むのも五月です。あたかも五月がメインであるかのようにこの作品は話の序盤を薦めていくことになります。
また、中盤でも様々なギミックで「五月と結婚するのでは?」と読者のミスリードを誘います。
例えば「私は母親の代わりになる」という五月に風太郎は「俺は父親の代わりになろう」と言います。あたかも結婚することを想起するようなセリフに、僕はこのくらいのあたりで勝手に五月をメインヒロインだと決めつけていましたね。
さらに終盤、思い出の女の子”零奈”を名乗って変装していたのは五月であることが判明します。
この事からも思い出の女の子が四葉だと修学旅行後に作者がネタバラしするギリギリまで五月が思い出の女の子だとミスリードを展開している実に巧妙なトリックを使ったラブコメであることがわかります。
最後まで決まらなかった四葉の将来までの逆算が凄い
五等分の花嫁の作品の中で、五つ子と風太郎が高校三年生になったとき、風太郎は五つ子が学業の結果を出せたことにより、次は「高校卒業後の将来」を導くことを決めます。
まずは、それぞれの五つ子の夢を分解していきましょう。
最初から夢が決まっていたのは一花ですよね。一花は「嘘つき」「演じる」「華がある」というキャラクターを付けられている存在で、明確に女優を目指すキャラクターであることがキャラ作りから既に伺えます。この時点で作者が五等分の花嫁を考案段階で誰を花嫁にするかまでのギミックを練っていたことがわかります。
次に将来の夢が決まるのは五月。五月は「自分の母親を目指す」キャラクターなので、母親の職業だった教師になることを中盤で決心しています。
何かと喧嘩をしている二乃と三玖ですが、腕前の差がかなりあるとはいえ、お互い料理が好きというキャラクターで一貫しています。
二乃は五つ子の料理を作っている炊事担当且つ、将来の夢がケーキ屋さん。
三玖は風太郎に好かれる為に風太郎に料理を食べさせている内に、料理を作って食べさせることに喜びを感じます。
この2人は将来、喫茶店を共同でやることになります。
この時点で五つ子のうち4人の夢がほぼほぼ決まっているのですが、四葉の将来の夢に関しては何一つ決まりません。この描写に関しては序盤から何度もされており、あのシーンに辿りつくまで四葉は夢が無かった状態なのです。これがもう五等分の花嫁最大の肝と言っても過言ではありません。
四葉は勤労感謝の日に風太郎にプレゼントを買ってやると言われます。ですが五月の好きなレストラン、一花の出る映画、三玖の好きなスパ、二乃の好きそうな服など、姉妹の好きなものばかりで自分の欲しいもの見つからない状態だったのです。
四葉は自分が一番最初に五つ子の和から抜け出そうとするも、運動部を掛け持ちしすぎた結果試験の追々試も受からず、結果的に学校を転校することになってしまいますが、その時に他の五つ子も付いてきてくれることになりました。そのことがあり姉妹や周囲に気を使いすぎるくらい使うようになり、人をサポートする、誰かの為に生きるという事が四葉の行動理念という風になっていきます。
そして作中で五つ子の中で最後まで将来の夢が決まらない四葉。
そのまま姉妹の恋路を応援していた結果、突然風太郎から四葉が指名され告白されてしまいました。
その結果というと・・・
子供の頃の夢であり、夫を支えて支えられる四葉に最適な進路、お嫁さんになることを決意し、タイトルの通り花嫁が四葉の将来という事に決まったということです。つまり、四葉が欲しい物は京都で出会った風太郎くんだったと気付くわけですね。
ここまで最初から最後まで五つ子のキャラクター性とロジックが完璧にハマっている凄い作品であることがわかり、読めば読むほどロジカルに四葉が花嫁であることが妥当であることがわかるので、是非何周もしてみてください。
例えば、ここもそうですよね。誰が最初に見分けられるようになったか?という話、これは温泉の五月の森で風太郎が四葉を最初に見分けられたシーンですよね。
元々「五つ子の中から1人立ちしたい」というのが四葉がリボンを付けた理由ですから、同じ見た目でも愛で見分けてくれる風太郎が四葉にとって運命の人と、この視点で切り取っても言えるわけです。
終わりに
いかかでしたか?ラブコメ論を語るnoteは久々でしたが、五等分の花嫁はハーレムラブコメの中でも異質と言えるほど四葉を最終的に選択する要素が全てロジカルに仕組まれているラブコメの試みとしては大変新しい稀代の名作であることがわかります。
週刊誌で絵、ストーリー、キャラクター全てこのクオリティの高さで綺麗に完結できたこの作品をリアルタイムで見れたのは奇跡だと僕は思っているので、春場ねぎ先生には感謝したいですね。
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