それ以外にも、まだ高井にできることがある。
「たとえば銀行口座の取引情報や携帯電話の発着信記録の入手。厳密には捜査令状がないとできないんですが、強制力のない『捜査関係事項照会書』というものがある。これはあくまで任意の照会なんですが、日本の企業はお上に弱いので、断らない。公安の場合、もっと裏ルートで手に入れているフシもあります」(前出・青木氏)
もちろんカード会社の利用明細も、同じように入手可能だ。高井がその気になれば、彼女の年収はもちろん、毎月何にいくら使って、どこで買い物をしているかまで、知ることができる。
高井が今回、どこまでそういった「元公安刑事」の経験と特権を使ったのかは、定かではない。恐いのは、今後書類送検された高井が素直に罪を認めた場合、起訴されて公開の裁判で裁かれる可能性はほぼないことだ。つまり、高井が実際に何をやったかは、永遠に闇に葬られることになる。
公安の捜査手法をストーカーに悪用されたら、女性としてはたまったものではない。愛知県警は、高井の「犯行様態」をすべて明らかにするべきだろう。
「週刊現代」2014年6月14日号より