「遺体はすでに硬直し、足は曲がったままで…」秋田でクマに襲われ死亡した男性の「第一発見者」が明かす「恐怖の現場」
威嚇行動なしに突然向かってくる
タケノコの生える場所も時期も変化していますし、明らかにクマの頭数が増えて危険度が増しています。本来、クマは人間が縄張りに入ってきた際に、うなり声を出したり、木をバンバンと叩いたりするなどして、侵入してきた人間を威嚇してくるものです。
それがここ3年ほど、そのようなサインもなく、つまり威嚇行動なしに突然人間に向かってくる個体が増えてきたように感じています。
県内でもクマの出没する場所、目撃された場所が、看板などで張り出されるようになりましたが、報告された件数はごくわずかです。日常的に山に入る我々は日々遭遇しますので、報告などしません。
私らが入る山は、一般の人の入る山とは違います。道などありませんし、登山客などもいません。野生動物のテリトリーに入るという経験は、普通に生きていれば決してないのだと思います。
人の手が入った山林は、日差しも入り明るく、見晴らしもいいです。しかし、人の入らない山は全くの別物です。道がないということもありますが、人を寄せ付けないというか、人間を拒むような感覚があるのです。本来、我々が居住する場所ではないというか、あまり長く居座ったら祟りでもあるかのような感覚でしょうか。
そういう山に入るのですから、山への礼儀というものは人それぞれ心得て然るべきです。それを無視すると、手痛いしっぺ返しが来るというわけです。
私の知り合いの中にも「追いかけられた」「指を食いちぎられた」「荷物を投げてクマがそちらに行っている間に逃げた」などといった話は、よく聞きます。猪やカモシカなどの被害もありますが、いちばん恐ろしいのはやはりクマです。