天才と星の子   作:もう何も辛くない

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間が空いて申し訳ない。
それと、多分皆さんが期待してるほどの曇らせではないです。


天才と仲間達

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長を告らせる。その決意の下、臨んだ奉心祭だったのだけれど、結局一日目は上手くいかなかった。

 上手くいかないどころか、何もかもが頓挫する所だった…。あの眼鏡の中年男性の所為で…っ!何が、『カップ一杯に愛がいっぱい!』よっ!貴方に愛を注いだつもりなんて微塵もないわよ!

 

 …というか、紅茶を注ぐのと一緒に愛を注いだ事だってないわよ!

 本当に、あの人は一体何だったのかしら…。珈琲に対する知識の量は相当だった様だけれど。

 

「珍しいですよね。総司君が私達を呼び出すなんて」

 

 今日一日、奉心祭にて起きた出来事について思いを馳せていると、同じ室内に居た藤原さんが口を開く。

 

 今、私は生徒会室に居る。理由は、たった今藤原さんが言った通り。総司に呼び出されたからだ。

 

「それも、生徒会メンバー全員ですもんね。伊井野は呼ばれてない所を見ると、元を付けた方が正しいかもですけど」

 

 総司に呼び出されたのは私だけじゃない。さっき声を上げた藤原さんに、今、藤原さんに相槌を打った石上君。そして─────

 

「四宮に心当たりはないのか。総司が俺達を呼び出した理由に」

 

 前生徒会メンバー。副会長の私に、書記の藤原さん、会計の石上君と、勿論生徒会長である白銀御行も例に漏れず、呼び出されていた。

 だけど、心当たり…か。あるにはある、けど…。

 

「あります。ですが…、それを知ってる私を、何故わざわざ呼び出したのかが分かりません」

 

「…そうか」

 

 基本、総司は無駄な事をしない。

 もし総司が、私が思った通りの事を皆に伝える為に呼び出したのだとしたら、私まで呼び出す事はしない筈だ。

 

 ─────総司は、まだ私が知らない何かを抱えている?

 

 それを伝える為に、私も一緒に呼び出した。

 

「それにしても、いけませんねぇ総司君は。呼び出した張本人が一番遅れてくるなんて」

 

「…そういえば、学校中で噂になってましたね。総司先輩が同年代の女子を連れて奉心祭を回ってたって」

 

「え゛」

 

「しかも、二人で一緒に、双子の赤ちゃんを抱っこしてたとも聞きました」

 

「え゛え゛」

 

 や、やっぱり噂になってた…。当然と言えば当然ですけど…、総司もどういうつもりなのかしら…?

 藤原さんが知らないのはちょっと分からないけど、こういった噂には疎い石上君の耳にまで渡っている以上、もう隠し通す事は出来ない。

 

 お兄様達にも納得させた上で、正式に総司が次期後継者となった以上、全神経を注いで隠す必要がなくなった。 

 それは分かりますが、これは流石に─────ここまで広まれば、もしかすればあの双子が総司の実子だと辿り着く人が現れるかもしれない。

 そうなれば、総司は学園に居られなくなる。

 

 総司は一体、どうするつもりなの?

 

「「「「─────」」」」

 

 重い扉が開く音がして、私達は一斉に音がした方へと視線を向ける。

 

「早いな、お前ら。遅くなってスマン」

 

 私達を呼び出した張本人である総司が、その腕に男の子を抱いて現れた。

 そしてその隣には、その腕に女の子を抱いた─────アイさんが立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もっとこう、初日の後片付けとかで遅くなると思っていたんだがな。すでに生徒会室には俺が呼んだ四人が集まっており、どうやら俺が来るのを待っていたらしい。

 

「早いな、お前ら。遅くなってスマン」

 

 皆を呼び出しておきながら一番最後となってしまった事を謝罪するも、かぐや以外はそれどころではない様子。

 その証拠に、白銀達の視線は俺ではなく、俺の腕の中のアクアや、隣に立っているアイやルビーに向けられていた。

 

「総司君…。えぇっと、色々と聞きたい事がありますが、そのぉ~…。まず、総司君が抱っこしてるその子は、誰なんですか?」

 

「あぁ。その話も含めて、お前らに伝えたい事がある。…そうだな。藤原から質問もあったし、まずその話から始めるか」

 

 藤原自身、どう思っているかは知らないが、恐らく親戚の子供といった辺りの答えが返ってくると考えていたに違いない。

 だが、それならばこんな風に勿体ぶった言い方はしない。藤原から問われてすぐ、そう答えれば済む話だ。

 

 それを察したからか、藤原も、白銀も石上も、どこかその面持ちは強張っていた。

 まさか、という気持ちが、その表情から現れていた。

 

「俺とこいつが抱いてる双子は、俺の子だ」

 

「…ふぇ?」

 

「正真正銘、血の繋がりがある俺の子だ。かぐやの甥と姪だ。…俺とこいつの、子だ」

 

「「「─────はぁっ!!?」」」

 

 うん、そんな反応になるだろうなとは思ってた。

 そして、俺は三人の大声に搔き消されかけた()()()()()()を聞き逃さなかった。

 

 …どうやら、()()()も俺の呼び出しに応じてくれていたらしい。

 

「総司君の…子供…?え…、えぇ…?」

 

「ふ、藤原!気をしっかり持て!」

 

「…総司先輩、その子って今いくつなんですか?」

 

「もうすぐ半年になる」

 

「半年…。つまり、去年の夏くらいにはもう、総司先輩はやる事やってたんすね…。この裏切り者っ!」

 

「石上は何に怒っているんだ!?」

 

 藤原は目を白黒させながら呆然として、石上は突然キレ始めた。

 白銀は驚く余裕もなく、二人のフォローに回っている。大変そうだな。

 

 全部俺が原因なんだけど。

 

「きょねんのなつ…。わたしが、すぺいんにとまとまつりにいってたくらいですね…。そのとき、そうじくんは…アアアアアー」

 

「藤原ぁっ!?」

 

 あ、藤原の魂が抜けた。

 

 そりゃ、同級生が自分の知らない所で子作りしてたらそんな反応にもなるか。

 …なるか?本当に?

 

「あははー。大騒ぎだねー」

 

「…多分、これからもっと騒ぐ事になるかもしれんぞ」

 

 阿鼻叫喚な様子を見ながら笑うアイと、苦笑いする俺。

 

 まだ、俺は()()()()()()()()()()しか話していない。だから、かぐやは白銀と一緒に藤原と石上のフォローをしてはいるが─────うん、話を続けようか。

 

「まず、これがお前らに伝えたかった話の一つ目だ。去年、夏頃から生徒会に顔を出せなくなったのと、新生徒会の誘いを断った理由がこれだ。こいつの出産の支援と、子育ての手伝いもあったからな。その上で四宮の仕事もしていたら、流石に時間がなかった」

 

「そ、そうだったのか…。あと、総司。俺から一つ質問があるんだが」

 

「あぁ。何でも聞け」

 

「…その子、アイ、だよな?アイドルの」

 

 今、アイは変装用のキャップとサングラスを外している。

 日中、白銀のクラスに顔を出した時、白銀は変装をしていたアイの正体に気付きかけていたのだから、変装していないアイの正体に気付くのは至極当然といえるだろう。

 

「お前、ドルオタだったんだな。知らなかった。さっきも、こいつがアイかって聞かれた時は驚いたぞ」

 

「ドルオタではないが…、やっぱりそうだったのか…。未成年同士の資産家の息子とアイドルの関係─────うっわ、すげぇ闇を感じる…」

 

 改めて、俺の隣に居る女の子がアイだと知った白銀が戦慄していた。

 

 白銀の背後で、石上が俺を信じられないような目つきで見ていた。多分、白銀と同じ気持ちを抱いているんだろう。

 

「まあ、仕事以外にも色々あったんだがな。…親父にアイとの事を認めさせたり、兄貴達に俺が次期後継者だと正式に認めさせたり」

 

 親父が病で倒れた事は、表沙汰にはなっていない。故に、その辺を上手くぼかしながら、俺達の少し前までの立場がどんなものだったのかの説明を交えつつ、俺がこれまでしてきた事を白銀達に伝えていく。

 

「で、ようやく色んな事に片が付いてな。こうして文化祭にも参加できるくらいには時間が空くようになった」

 

 先程まで魂が抜けていた藤原も、俺を裏切り者と罵り睨みつけていた石上も、二人のフォローを必死にしていた白銀とかぐやも、真剣な様子で俺の話に耳を傾けていた。

 

「…言ってくれれば、手伝っていたのに」

 

 かぐやがポツリと、そう零したのは、そんな時だった。

 

 悔し気に、それでいてどこか泣きそうな顔で、かぐやは俺を睨みながらそう言った。

 

「だろうな。お前なら─────お前らならそうするだろうと思ったから、お前らには絶対に、全部片付くまで伝えるつもりはなかった」

 

「っ─────どうして!」

 

 かぐやが一歩、白銀達から前に出る。

 

「貴方はいつも、全部一人で抱え込んで、私の知らない所で苦しんで、傷ついて!それなのに、貴方はいつも、私の前では笑って─────その度に、私がどんな気持ちでいたのか、知っていますか!?」

 

「かぐや」

 

「妹なのに…私は、貴方の家族なのに!私は貴方がどこに居て、何をしているのか分からない!貴方は私を守ってくれるのに、私は貴方に何もしてあげられない!それが…どれだけ苦しい事なのか、分かりますか…っ!」

 

 ぽろぽろと、綺麗な瞳から涙を溢しながら慟哭するかぐやを見て、不謹慎ながら俺は、嬉しいと感じてしまった。

 

 俺がかぐや()を守りたいと思うように、かぐやも総司()を守りたいと思ってくれていた事に、家族としてどうしようもなく嬉しく感じてしまったのだ。

 

「何を笑っているのですか!私は怒っているんですからね!?」

 

「あぁ、分かってるって。…悪かった」

 

「謝れば済むと思って…!」

 

 家族の絆を感じて嬉しく思うと同時に、俺は、今ここでかぐやが泣けている事実にも、また嬉しく思っていた。

 

 ─────泣けるんだな、かぐや。こいつらの前でなら。

 

 心を閉ざし、氷の如く凍てついていた以前のかぐやでは考えられない光景を目の当たりにして、俺は自分の選択が正しいと確信した。

 

「かぐや」

 

 未だに涙が止まらないかぐやを見る。

 

「皆」

 

 俺とかぐやのやり取りを、固唾を飲んで見守っていた仲間達を見る。

 

「俺は、三月一杯で学園を辞める」

 

 かぐやから聞こえていた嗚咽が止まる。

 この一言を聞いた白銀達から、呼吸の音が止まる。

 

「正式な次期後継者として、四宮の仕事に専念する。だから、お前達と一緒に学園で会えるのは、今年度までだ」

 

 時が止まったかのように、静寂が流れる。微かに聞こえてくるのは、窓の外を歩く生徒達の話し声。

 

「や、辞めるって、お前…」

 

 一番早く我を取り戻したのは、白銀だった。

 

「止めてくれるなよ、白銀。()()()()()()()()()()()()()()()、俺にも譲れない選択がある」

 

「─────」

 

 白銀が息を呑んだのを見ながら、俺は微笑む。

 

「総司君…?で、でも、四宮の当主が中卒って、周りは黙ってないんじゃ…」

 

「そんな雑音は結果で黙らせてやればいい。今まで俺はずっと、そうしてきたからな」

 

 妾の子だとか、まだ小さいだとか、そんな雑音を発しながら俺の行く手を阻んで来た奴らを、俺は結果で黙らせ続けて来た。

 

 藤原の言う通り、学園を辞めれば俺の最終学歴は中卒。俺が家督を継ぐのを良しと思わない奴らは、徹底的にそこを言及してくるだろう。

 

 ()()()()()()()。そんな雑音が聞こえなくなるくらいの結果を出せばいい。今までと、何も変わらない。

 

 四宮で、俺はそうやって生きて来たのだから。

 

「…当主の仕事を熟しながら、学園に通うのは流石に難しいって事ですか」

 

「いや…まあ、多分出来る。出来るけど…、そうなると、こいつらと会う時間がな」

 

 理由としてはまさに、たった今、石上が言った通りではあるのだが、一つだけ訂正する所があるとすれば、ただ当主の仕事をこなしつつ学園に通うだけならば、多分可能だ。

 だけど、俺はこの二つを熟せばいいという訳ではない。俺は一人の父親でもある事と、家族と過ごす時間を考慮した際、それは無理だと判断した。

 

 だから、俺との繋がりを大切にしてくれた人達には申し訳ないが、俺にとって最も優先度が低い学園生活を切り捨てる事に決めた。

 

「学園を辞めたからって、お前らとの繋がりが途切れる訳じゃないしな」

 

 そんな事を呟きながら、ふと思う。

 もし、もしだ。学園を辞める=白銀達との繋がりが途切れる事を意味していたならば、俺はどんな決断を下していたのだろう。

 例え、同じ決断を下したとしても、きっと今の俺の様に迷いなく、学園生活を切り捨てる事は出来なかったかもしれない。

 

 ─────あぁ、気付かなかった。俺が気付かない間に、この仲間達は、アイ達と天秤に掛けられるくらいに重くなっていたんだな。

 

「…どうせそれも、自分一人で考えて、勝手に決めたのでしょう」

 

「…かぐや」

 

「えぇ、えぇ。分かっていますとも。アイさんという大切な女性ができた今、総司にとって私なんてどうでもいいのでしょう!」

 

「うっわ」

 

 ツンデレ妹のお手本ともいうべき言動が、かぐやの口から放たれた。

 それに加え、プイッ、と俺から視線を離してソッポを向くその所作を目の当たりにして、俺は思わず声を漏らした。

 

 何というかこいつ、本当に変わったよな。

 今の台詞もこの仕草も、去年までのこいつなら絶対にしなかったし、きっとその時点で俺に同じ仕打ちを受けたとしても、そんな風に思わなかった筈だ。

 

 周りに頼れる人が、気持ちを素直に打ち明けられる人が出来たからこそ、今のかぐやがある。

 まあ、後者についてはまだまだこれからという部分はあるが…。

 

「どうでもいい訳ないだろ。俺にとってお前は、たった一人の妹なんだから」

 

「…ふんっ、どうだか」

 

「あのな。俺は学園を辞めるだけだぞ?まだ別邸に住み続けるつもりだし、離れ離れになる訳でもない」

 

「…まだって言った。今、総司まだって言った!どうせ当主の仕事に慣れてきたら、別邸を出てアイさん達と一緒に住むつもりなんでしょう!?」

 

「…まぁ、それは、追々?」

 

 ほらぁっ!なんて大声を出すかぐや。

 これ以上なく嫉妬深くて、面倒で、憎たらしくて、だけどこれ以上なく可愛い、自慢の妹だ。

 

「あー、お前が俺を好きなのは分かったから。そろそろ兄離れしろよな」

 

「す、好きって─────っ!そ、そんなんじゃありません!私はただ…」

 

「分かった分かった。とりあえず、俺が家を出るまでには兄離れしろよ」

 

「分かってない!」

 

 ぎゃいぎゃい騒ぐかぐやを放って、俺達のやり取りを見ていた白銀達の方を向く。

 

「妹を頼む」

 

 白銀を、石上を、藤原を見回してから、最後にもう一度白銀を見る。

 

 …あいつは、このメッセージを受け取ってくれただろうか。

 

「…何を一件落着風に話を収めようとしてるんですか、総司先輩」

 

「は?」

 

「…そうです。総司君、まだ話は終わっていませんよ」

 

「へ?」

 

「…そうだな。好き放題カミングアウトしやがって。そこまで話したのなら、全部、洗いざらい吐いて貰おうか」

 

「な、何を…?」

 

「「「勿論、二人の馴れ初めを」」」

 

「いいよー」

 

「お、おいアイ。何を勝手に…」

 

「えっとねー。私と総司が最初に出会ったのはー」

 

「勝手に話そうとするな!」

 

「藤原先輩!」

 

「任せてください!総司君、邪魔は許しませんよ!?」

 

「ち、ちょっ、藤原!?」

 

 一通り話したい事を話し終え、さてこの場はお開きに─────とはならず、白銀達に詰め寄られる。

 何を考えているかと思えば、馴れ初めだと?そんなもの話す筈が─────と俺は考えるも、あっさりとアイが話し始めてしまった。

 

 阻止しようと動く俺の前に藤原が立ちはだかる。

 腕を取られ、そのまま両腕を抱きすくめられた俺は動けない。

 何しろ、今の俺はアクアを抱いている。その状態で藤原を振り払う事が出来る筈もなく─────

 

「あぁ、それは駄目かなぁ?」

 

 途方に暮れたその直後、生徒会室の気温が氷点下まで落ち込んだ。

 

「えっと…藤田さんだっけ?総司を、離してくれるかな?」

 

「あ、はい…」

 

 勿論、実際に気温が下がった訳じゃない。

 アイの発する声があまりにも冷たかったせいで、そう感じるだけだ。

 しかし、その冷たさは、何者をも従わせる強制力を持っていた。その証拠に、アイに俺を離すよう命じられた藤原が即座に俺を解放した。

 

「…うん。それでね?私と総司の出会いはー」

 

「オンオフの切り替えが凄まじすぎて怖いんですが」

 

「石上、止めろ。そこを突くのは絶対に止めといた方が良い」

 

 さっきの絶対零度の声はどこへやら、普通に俺との馴れ初めを改めて話そうとするアイに戸惑う石上と白銀。

 

 …あぁ、白銀。その判断は正しいぞ。

 

「…かぐや。少しアクアを頼む」

 

「は?…総司、私はまだ、貴方と話したい事があるのですが」

 

「悪い。その話は帰ってからにしよう。…それよりも、俺はお前ら以外にもう一人、話しておかなきゃならない奴が居る」

 

 生徒会室の扉を見ながら、ジト目で睨んでくるかぐやに言う。

 

 生徒会室内に呼んだのはかぐや、白銀、藤原、石上の四人だが、俺はもう一人、この場周辺に呼び出した奴が居る。

 

 俺の視線を追って、同じく扉を見たかぐやは、少ししてから口を開いた。

 

「…分かりました。言っておきますけど、忘れてなんてあげませんからね」

 

「分かってるって」

 

 内心、決意の固いかぐやの様子に舌を打ちながら、かぐやにアクアを預けて踵を返す。

 

 アイの話に夢中な白銀達に気付かれないよう、足音を殺して歩き、音が立たないようそっと扉を開けて生徒会室の外へと出る。

 

「待たせたな」

 

「…いえ。ですが、もう私に伝えたかった事はさっき話したのでは?」

 

「いや。お前にはもう一つ、伝えたい事がある」

 

 生徒会室の前で、壁を背中に預けて立っていたその生徒に視線を向けながら、俺は告げる。

 

「今更意味のない事かもしれないが、決着をつけておきたくてな。()

 

 その一言を向けられたそいつは、小さく体を震わせたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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