これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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いとも容易く行われるえげつない行為

高レベル魔法系超級職を越えるMPと俺の核を余す事なく吸収して出現した、幼いドリアート。

 

その正体は、勝手にスキルを発動させた【樹精寵紋】の第二スキル《寵姫紋象》によって(殆ど強制的に)顕現したーーー【ディアプラン・キャンドル】だった。

 

・・・生前と比べて、随分と小さくなったものだ。

 

本人?によると単体生殖によって生まれた為、父親がいないので俺が養父(養育した義理の父)扱いらしい・・・

 

「あー、その、なんだ。特典で召喚されたって事は俺に対する敵意は無いって事で良いんだな?」

 

『そうだよー!でもわたしはしょうかんじゃないかもー!』

 

「・・・?召喚じゃ無いって、現に召喚されたから此処に居るんだろ?」

 

『わたしはここにいるけど、いまもおうちにいるんだよ?』

 

何やら話が噛み合わない。通常召喚では無いのか?公式も解読困難な◯ナミのコンマイ語なの?

 

同輩にして先代である【ヘイワン】が推測を口にした。

 

『マスター。その子は私と同系統だ。おそらく、第一スキルの応用に近いのでは無いか?』

 

《夢幻黒森》の応用か。

 

確か、破壊不能オブジェクトは夢幻世界の存在を物体化したものだったから・・・本体は精神世界に居て、アバターを現実世界に?

 

干渉不可能領域からの一方的な干渉。物理干渉と精神干渉という明確な違いこそあれど、【ヘイワン】の同系統であるというのも納得だ。

 

個人生存型の中でも不可侵領域に特化した特殊環境型。生前も今も、かなり厄介な能力を持っているとしか言いようが無い。

 

『たぶんそれ!』

 

多分て。子供か。

 

・・・そういや子供だったな。

 

『よくわかんないけど、おかあさんのちからをかりてググー!ってあつめてパッ!ってしたらできたの!』

 

ははは。・・・成る程な。よーーく分かったぜ。

 

流石古代伝説級。すげーな。

 

俺はちっこいドリアートの頭をわしわしと撫で回した。きゃー!と喜ぶ子供の姿はとても微笑ましい。

 

ーーー生前に俺を抹殺しようと殺意MAXの領域展開したとは思えないぐらいには。

 

【ヘイワン】がギョッとした。

 

『あの要領を得ず、幼稚極まり無い説明で理解出来たのか!?』

 

非常に驚いた様子の【ヘイワン】に対して、俺は深く頷いた。

 

「あぁ、

 

 

 

 

 

ーーー全く理解出来んかった。」

 

ズコーーッ、と蜘蛛っぽい生き物がコミカルに転んだ気がした。

 

・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

とある管理AIのやらかし

 

「【モビーディック・ツイン】を投下していれば、【死霊王】に処理されるだけに終わるだろう。」

 

「【アガナースタ】討伐実績がある上、【モビーディック・ツイン】に共通する点が存在する【メガプランテスト】を封殺した特典武具を所持している。」

 

「それに能力の大半が再生とは〈SUBM〉にしては地味過ぎる。闘争に華美を求めるとは言わないが、これでは面白くない。」

 

「他〈SUBM〉を参考にデザインを追加するか。」

 

「既に“完成”した【グローリア】と違ってエネルギー供給以外の◾️◾️◾️◾️◾️の改造を受けていない分、“余白”が十分にあるからな。」

 

 

 

ーーーその時。イキイキとして元の原型を留めないレベルの魔改造計画に着手した生物型管理AIの脳に、悪魔の発想が浮かんだ。

 

「ーーーいっそ、この際詰め込めるだけ詰め込んでみるか。」

 

それは、計画の為なら大国を滅ぼしても構わないと宣うジャバウォックの悪癖であった。

 

ーーーそういうところだぞ!!管理AI四号!

 

殆ど拉致の様に攫われて時間を止めた状態で監禁された挙句、意識のない内に自身の体を勝手に弄り回される哀れな畸形の白鯨。

 

時間停止、拉致監禁、全身改造のトリプルコンボ。まるでRが付く同人誌の見本市だ。

 

ジャバウォックは、◾️◾️◾️◾️◾️のデザインに適合しなかったモンスターを、何体も無惨に爆散させてきた実績がある。

 

そんな危険な存在に改造を施されるなど、その所業を知っていたならば断固として拒否していただろう。

 

或いは、人間に対する復讐心から改造を受け入れる可能性もあったのかもしれない。

 

そんなあり得たかもしれない可能性を置き去りに、魔改造は当人の意思全く関係なく敢行された。

 

 

 

 

 

 

ーーーかくして、不死身の戦艦鯨はジャバウォックの魔改造によって別存在と化す。

 

 

 

 

「ふむ・・・?」

 

「些かやり過ぎた気がしなくも無いが・・・問題はない。」

 

「彼は、私の想定を上回ってきた実績がある。それに」

 

 

ーーー討伐出来なかったとしても、グランバロアが滅んだ事による影響で新たな〈超級〉が生まれるのであれば目的は達成出来る。

 

 

人の感情を理解しない非生物型管理AIより厄介な生物型管理AIの最強格。

 

その名は第∞形態【無限進化 エヴォリューション】。

 

唯一のストッパーである己のマスターを失った無限エンブリオの暴走は、止まることを知らない。

 

ツンデレ常識獣人のクイーンだけが残された良心だった。

 

■???

 

【四号保管庫より対象を選出】

【時間停止保存処理解凍開始】

【完了】

【起動における問題なし】

【海上国家グランバロア総旗艦航海軌道から投下海域を選定】

【決定】

【投下実行】

 

【第ニ次超級進化誘発干渉――開始】

 

 

ーーー目が醒めると謎の怪人によって改造魔獣になっていた白鯨。

 

深刻な混乱の中、怨敵の存在を感知すると迷いなく直進を開始した。

 

 

これはとある夢のVRMMOの物語。

放っておくとゴ◯ラを参考にしたUBMを作りだす運営陣。

子供の教育方針はどれにする?

  • 蠱毒にぶち込む
  • 普通の子供のように育てる
  • 子供の為だけの揺籠()で育てる
  • 放任主義。子供は勝手に育つ
  • 帝王に愛など要らぬ!!

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