これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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古代より受け継がれしもの

巨大な収容基の中心で無数のケーブルが接続された球体。

 

周囲は白衣の研究者達が各々の作業を行い、実験の準備を完了させようとしていた。

 

複数の計器に無数のケーブルが接続され、画面は常に円グラフやパラメータを変動させている。

 

彼方此方から聞こえた装置を操作する音が止んだ。実験の準備が完了した様だ。

 

最終確認行程完了。

 

研究員の一人が実験装置の釦を押してMPの供給を開始した。

 

そして全員が退避。

 

実験室には俺だけが残った。

 

膨大なMPを蓄えた巨大なMPタンクから球体へと、無数にあるケーブルのうちの一本を経由して流れ込んでいく。

 

MPが供給され徐々にドグン、ドクン、と俺の右腕を加工した核から光が漏れ出す。

 

それは新しい生命の鼓動の様で・・・

 

ピシッ!

 

ーーー頑丈に造られている収容基の表面に、小さな罅が広がった。

 

計器に表示される計測情報が著しく変動し甲高いビープ音を鳴らし始めるが、構わず実験を続行。

 

光の鼓動は早まり、恒星の如き眩い光輝に至る。

 

収容基の罅は大きく成長し、辛うじてその形状を保っている。

 

もはや鼓動は小規模な爆発になり、膨大なMPが蓄えられたMPタンクが枯渇しようとしている。

 

俺はMPタンクの供給機にガッ!と腕を突っ込んで直接供給を開始。

 

数十万のMPも強力な吸引力によって枯渇するが、《星侵超樹》でリソースを掻き集める。

 

余波を直に受けた事で、収容基がグズグズに崩壊していく。

 

それは雛が殻を破るようで。

 

それは赤子が産声をあげるかのようだ。

 

ーーー臨界点到達ーーー

 

 

 

収容基は完全に破壊され

 

 

 

 

核に、黒い樹木が触れたのは同時だった。

 

 

 

 

 

「あ?」

 

俺の背中から、黒い樹木が生えていた。

 

 

 

 

 

俺の口から疑問符が溢れる。

 

ーーーオイオイ。俺は、【樹精寵紋】を装備してn

 

 

 

 

 

次の瞬間、視界の全てが白く染まり、轟音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・!目が!目があああ!!!」

 

 

轟音に鼓膜が破裂し強い光に目を灼かれた俺は、地面をのたうち回る。

 

気分はスタングレネードを直に喰らった感じだ。

 

五感が完全に狂い、水平感覚が崩壊。立つ事もままならないとは凄まじい。

 

しかし、自前の再生力で破れた鼓膜と灼け尽きた視神経を再生。

 

未だに脳がフラフラするが、正確な情報を取得出来る様になった事で混乱も収まっていく。

 

「つか何が起きた?なんで【樹精寵紋】が勝手にーーー」

 

 

 

『パパ?おきたの?』

 

 

・・・・・?

 

誰?

 

これはとある夢のVRMMOの物語。

魔王の孫(古代絶滅種の変異種)。

子供の教育方針はどれにする?

  • 蠱毒にぶち込む
  • 普通の子供のように育てる
  • 子供の為だけの揺籠()で育てる
  • 放任主義。子供は勝手に育つ
  • 帝王に愛など要らぬ!!

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