これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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正義の味方コープスマン

「捕まってたまるかってんだバーカ!!」

 

中指を立てながら海賊船団の高速船から逃亡する犯罪者達。

 

まぁ、追い詰められた犯罪者共の罵倒など、聞き飽きた海賊船団の船員は大して反応を示さない様になる。

 

油断なく砲身を向けながら掘り出したでっけぇ鼻くそを、ピッと海に捨てるぐらいの余裕がある。

 

その後船長から鉄塊の様な拳骨を貰うまでがお約束だ。

 

そして俺も罵倒と暴力の応酬に慣れ切ったハードボイルドなので、アサルトよろしく、無断で突貫しようとした新兵の頭を竹刀で殴って止めるぐらい余裕がある。

 

頭にカッとなった人間を止める時は言葉で叩き伏せるより、容赦なく気絶させるぐらいで良い。

 

頭が凹んでいる様に見えるが、安心すると良い。《峰打ち》が付いている竹刀だ。

 

《峰打ち》はどんな素人でもご都合主義の様に気絶させる事が出来る素敵なスキルだ。

 

どんな攻撃も非殺傷にしてくれるので、痛みと衝撃だけが伝わる。

 

勿論《峰打ち》を使用しない制圧もできなくも無いが、道具で簡単に済むなら其方を使う。

 

良い子のみんなは人を気絶させようと試さない方が良い。

 

普通に怪我をさせる羽目になる。

 

無力化させるのだったら腹パン一つで事足りるのである。首手刀は絶対ヤメロ。

 

あれは◯UNTER×◯UNTERの某旅団団長クラスの達人芸だ。

 

手刀は関係無いが、俺は“密室遊魚”はカッコいいと思う。換気されただけで死ぬけど。

 

でも明らかに用途が拷問じゃね?

 

念魚の好物が人肉とか完全に発の構想段階で人を殺りにいってんじゃん。

 

サイコパスかよ。

 

そんな感じの内容を捕まえた犯罪者の前で話している。

 

勿論相手はティアンなのだから◯UNTER×◯UNTERなど知っている筈がない。

 

だから返事は最初から期待していない。

 

ただの暇潰しだ。そもそも今話せそうな状態じゃないしな。

 

目の前の犯罪者が情報を全て吐き出すまで、拷問真っ最中なのだから。

 

「誰が・・・テメェみたいな・・・イカレポンチに・・・」

 

口悪っ。犯罪者かよ。

 

俺は玩具の鞭で犯罪者の鼻をピシピシと叩きながらリズムをとる。

 

玩具なのだから痛くは無いが、心底ムカつくだろう。俺も楽しい。

 

コイツらはグランバロアの法律に鼻っから逆らった犯罪者だ。

 

よってグランバロアにおける人権は保障されない。畜生・・・モンスターと一緒の扱いだ。

 

何をしても許される。

 

だが悲しい事に良心ってやつが外付けHDDになっていない船員は好んで拷問をしようとせず、あたかも犯罪者に人権が有るかの様に振る舞う。

 

だからゴミの様な屑が興奮してハイテンションで喚くのだ。寝不足になりそう。

 

せめて性格屑でも美女だったら違ったのに。

 

凄惨な環境に心を痛めた俺は船長に、これ以上の生優しい拷問は”船員の健康に悪影響を及ぼす可能性がある“と直訴した。

 

わざわざ俺が直訴しようと思い立った理由は、単純にゴミの様な声が不快だったからだ。

 

興奮した男の度太い罵声をBGMにするには些かパンク過ぎた。

 

俺の持論だが、洗脳、調教は教育、躾だ。

 

俺から見たらどれも一緒。人によっては絨毯のシリンジと柔毛ぐらい違うのだろうが・・・

 

俺からしたら工場で作られたか手作業で作られたかの違いぐらいでしか無い。

 

教育から手段を選ぶ事も倫理も取っ払ったのが洗脳だ。

 

だから俺がこれからしようとしているのは、“汚い言葉で鳴く鳥を、綺麗な言葉で鳴く様に躾けるには、どうしたら最短効率なのか”と考えると、その鳥の脳からプログラミングし直した方が良いよねって話。

 

その後はバグを起こすなり綺麗な言葉しか鳴けなくなるかも知れないが・・・まぁ、大丈夫だろう。

 

きっと、良い経験値になる。

 

わざわざ殺意を煽る必要は無い。

 

最後にスポイトで目薬を目から流した俺が、側で囁いてやれば良い。

 

こうなってしまった以上、心苦しいが・・・殺してやるのが慈悲だ、と。

 

アフターケアもバッチリ出来る様に、最期に安心した表情を作らせるとしよう。

 

取り敢えず皮を剥いで顔の筋肉を俺のアンデッドと入れ替えておくか。

 

顔からピリピリと表情筋を剥いで、俺の筋肉製アンデッドを移植する。

 

ハハ。鳴くな鳴くな。お前さんも今まで鳴かせて来たんだから。

 

拉致って首輪嵌めた違法奴隷の商売は儲かっただろ?

 

そうそう、お前らが使った【可逆性変身薬】は処分しておいた。俺らの商品狡っからい犯罪に使ってんじゃねーよ。

 

アレ、もっと高度な政治的工作での使用を想定して売りに出してんのにさー。

 

低俗なお前さんらが悪用する所為でブランドのイメージダウンが半端ねーんだ。最近。

 

全く、俺も被害者だぜ・・・具体的には【可逆性変身薬】の規制が本格的にヤバくなってきた。特級呪物かよ。

 

なのに今更鳴きたくないなんて、そりゃー筋違いってもんだろ?

 

返事は期待していないので、汚い命乞いを《峰打ち》で黙らせる。

 

あとは皮を貼りつけて・・・仕上げだな。

 

バシャ!とポーションを顔に掛けた水音が鳴った。

 

・・・・・

 

良い事をした後ってのは気持ちが良いもんだ。

 

世界がまた一つ綺麗になった気がして、爽快になる。

 

「・・・なぁ。あんた、一体どんな拷問すりゃあ、あんな従順になるってんだ・・・?」

 

強張った顔をしている船員が声を掛けてきた。アレを見て来たのか。

 

彼にとってアレの変貌ぶりは驚きのビフォーアフターだったのだろう。

 

「今日は気分が良い。だから君に特別に教えてあげよう。拷問のコツはね。まずソイツの何もかもを信用しない事から始まるんだ・・・」

 

俺は柔かな笑顔で言った。

 

「人間は平気で嘘をつく。時として自分にすら。だから考えさせない。人間を壊して従順な人形に仕立て上げるんだ。」

 

彼は化物の口腔を間近で見たかの様に顔を青ざめさせた。

 

「無抵抗に。なんの疑問も持たずに。自分の末路でさえ考えず。」

 

一体彼はどうしたというのだろう。そんなことは一般教養レべルだというのに。

 

「拷問はね。拷問官は、難しい事を考えなくても良い。保身の概念を粉々に砕き叩き擦り潰すだけの簡単な作業さ。」

 

彼は気圧されたかの様に後退りを始めた。コツコツと俺が距離を詰めていく。

 

「なぁ。答えてくれ。人形の口から何故君の名前が出る様な機会があったのか。」

 

小刻みに視線を左右させ、全身を震わせている彼の肩に手を置いた。

 

彼が答えようとしなかったので俺が言う事にした。

 

「お前が、その仲間だからだ。既に確認は取れた。」

 

そして、彼の利き腕側の肩を握り潰した。

 

「ア“ア”ア“ッッッ!?か、肩がぁっ・・・!?」

 

蹲る屑の両膝を踏み割った。

 

更に悲鳴をあげる喧しい喉を蹴って黙らせた。

 

「大捕物の際に本人を殺して、成り代わったな。お前らが悪用している【可逆性変身薬】を使って。」

 

過呼吸を起こし始めた犯罪者に【可逆性変身薬】の対となるポーションをぶっ掛けた。

 

効能はすぐに発揮される。

 

少し柄が悪い兄ちゃんの顔が、どう見てもその筋の大人へと。

 

「犯罪者が、仲間を口を割る前に処理しに来たか。或いは助けに来たのか。どちらにせよ手遅れとしか言いようが無いが、残念だよ。」

 

ーーー男は死ね。

 

せめて送り込むなら女暗殺者にしておけば良かったのに。

 

何故か男の割合が多いんだよなぁ。

 

ゴッ!と鈍い音が響く。

 

続けて、重たい物が床に落ちた音がした。

 

・・・・・

 

ズルズルと気絶した犯罪者の足を引っ張っていく。

 

普通に担ぐ事もできるが接触を最小限に抑えるならこっちの方が良い。

 

段差で苦しそうな声が聞こえてくるが、本当にどうでも良い事なので無視。

 

さて、死体はミンチにして鯉の餌にでもするかなぁ。アンデッドにしても凄く弱いし。

 

生きたまま運んでいるのは、コイツが船員の服を着ているからだ。

 

誤解の元になりかねないので取り敢えず報告に向かう。

 

だからお前ら。とうとうやりやがった・・・な目で見るのはヤメロ。

 

普通に無力化した敵を運んでいるだけで、罪を隠蔽しようとしてるわけではないからな。

 

誰が乱心した殺人者だ馬鹿野郎。

 

これはとある夢のVRMMOの物語。

海賊船団の制服を着た死体(の様に見える男)を引き摺る【死霊王】・・・

子供の教育方針はどれにする?

  • 蠱毒にぶち込む
  • 普通の子供のように育てる
  • 子供の為だけの揺籠()で育てる
  • 放任主義。子供は勝手に育つ
  • 帝王に愛など要らぬ!!

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