カーン、カーン、カーンと金属製の固定具が打ち付けられる音が地下空間に鳴り響き、現場監督の怒声と作業員の合図が忙しなく行き交いする。
俺は地下拠点の主要部を手がけ、【設計王】が高度な隠蔽機能を発揮する装置を設置。
捕獲した【砂幻狐】を生体改造し、栄養供給と魔力供給によってその隠蔽スキルを建造物全体に波及させる装置であり、この地下拠点の要となる。
出入り口に転移装置の開発は出来ないか【設計王】に打診してはいるが、転移装置には強力な重力場と電磁波の環境が必要であり必要なコストは膨大なものになるとの事。
俺が必要MPを賄うとしても、日常的な使用は出来ない。
しかも装置の機能を維持するのに必要なMPが存在し、それは生体改造隠蔽装置の発動コストを数ヶ月維持できる物だった。
なので俺のMPを全て注ぎ込んだアンデットを作成した。
戦闘能力は皆無、ステータスはMP特化。ただ装置にMPを供給し続ける存在としてのクリエイトだ。だから注ぎ込んだ体積とステータスにしては鉄パイプ装備の非力な研究員でも倒せるぐらい弱い。
それをMPステータスの回復毎に作成し、予備を含め10体ほどリアル時間で三日かけて作った。
【死霊王】はアンデットの創造に関して破格な存在と言えるだろう。ポンポンと自分の体から用途を特化させたアンデットを作り出す事が出来るのだから。
一度手慰みで作ってみたHP・SP・STR・END・AGIを俺が殆ど一般人並みになるまで注ぎ込み、体積を最大まで削ったアンデットは凄まじい個体になった。
盛り上がった筋肉がパッツンパッツンになっていて、全身が筋肉の塊で出来ているように見える。
そして巨体からは予想出来ない速度で動き、全方位からの攻撃をものともしない防御力。
再生能力はまぁまぁ低いが、その分スキル構成が肉弾戦に特化。
潤沢なSPから拳撃や蹴撃に付随するアクティブスキルの連打が繰り出され、瞬間的な物理破壊力では創造主である俺を上回る。
人型で知能が高かったので、素の戦闘技術も仕込んである。
スキルなしの格闘では丈夫な良いサンドバックになってくれるが、スキルありとなると互角より少し下ぐらいだろう。
今は工事の作業員としてサポートに回っているが、普段はセキュリティの一つとして活動している。
その姿は他のセンサーに連動して現場に直行し、下手人を瞬殺する殺戮機構そのものだ。
筋肉の外見に依らず意外と賢いので、センサーの裏を掻こうとするとその裏を読んで先回りするという悪夢の様な防衛を魅せてくれる。
因みに名前はまだない。
話が逸れた。
維持のMP問題は解決したので各国に行き交いする俺専用の転移装置の開発の依頼をした。
最近【設計王】を働かせすぎて軽く恨まれているので、様子を見て手土産を渡さねばなるまい。
問題は、【設計王】がご機嫌で掌を裏返すほどの手土産を用意できるかという点だ。
そこらの手土産では満足する筈もない。
【猛毒王】の様な生産系超級職ティアンか隕鉄のような超希少素材が望ましいが、どれも難易度が高過ぎる。
UBMを探し出して特典素材をプレゼント出来れば良いが、仕様で譲渡出来ない。そもそも素材がドロップするとは限らない。
死体をアンデットにする【死霊術師】系統なのに未だ全身遺骸をドロップしたことがないのだし。
いっそ、地底の奥底でも潜ってみるか・・・?
特定環境でしか得られない素材があるかも知れない。ゲームのようなデンドロなら有り得なくはない。
多分魔力が凝縮した結晶塊とか何処かにあってもおかしくはない。レジェンダリアでも見つかっていないが、ダイヤモンドみたいに高い圧力が必要なのかも知れない。
まぁ生成の過程が圧力とかじゃなくても良い。要は手に入れにくい物を手土産に出来れば。
噂に聞くと、超級金属(スペリオルメタル)とかいう伝説の金属があるらしいが入手手段は全くの不明。
過去の【錬金王】の最高傑作とか【地竜王】の棲家にその鉱脈があるとか言われているが過去に【地竜王】に手出しして国が滅んだ例があるらしいので後者はデマだろう。
確か、不老不死の実だったか。
どこの世界でも不死を求めて周囲を巻き込んだ上で破滅する輩というのは居るのだな。物騒で命の危険が数え切れないこの世界じゃそれも仕方ないのかもしれないけど。
しかし最高峰の存在に手出しするなんて相当頭がイカれていたのだろう。超級の存在である【地竜王】に喧嘩を売るなんて大掛かりな自殺と大して変わらないというのに。
〈イレギュラー〉と言われるUBMはこの世界じゃ何体も確認されている。
レジェンダリアの大霊樹【アムニール】や皇国の皇城【エンペルスタンド】、王国の宝剣【アルター】、カルディナの首都【漂竜王】、あとは・・・【地竜王】と海の【海竜王】、【天竜王】か。
そのどれもがUBMという特別な枠組みの中でも規格外の能力を持っている。
散々この身をもって体験した魔力災害、〈アクシデントサークル〉も【アムニール】の力の一端。レジェンダリアが【覇王】の侵略を免れた理由らしい。
一本の樹が世界の歴史に干渉した、文字にすると訳がわかんねぇな?
・・・!
ん、そうか・・・【アムニール】の端材か。
アレなら小さな葉一枚でも超希少素材になり、枝は最高の素材になると聞く。
ただしレジェンダリアがそれを提供したのは僅かで、入手した者は【覇王】だけ。
超高性能装備の素材であり、戦略物資として国で保管されている以上、手にするのは極めて難しい。
【アムニール】の素材は、国宝そのものだからだ。僅かな端材でも譲る事は無いだろう。
やはり無理だな。そんな伝手は流石に無い。
だが・・・この世界の植物はリアルの世界の森のように森林土壌を形成して水を浄化するのだろうか。
ーーー【アムニール】の土壌で浄化された地下水。
それがどんな効能を持っているのか、俺は知らない。
だが、それならば俺でも採取できるかも知れない。地下深くまで潜る事が出来、対索敵隠密行動に長けた【ぷれいどっぐ】を持つ俺なら。
またあの国に用事が出来たようだ。
【設計王】への手土産をデンドロ最高の天然水にする為に。
少し、レジェンダリアの国宝の出汁を貰いに行くとしよう。
なに、ほんの少しだとも。
ーーー【アムニール】の体積に比べれば。
これはとある夢のVRMMOの物語。
機嫌が悪い友人は物で釣る。
子供の教育方針はどれにする?
- 蠱毒にぶち込む
- 普通の子供のように育てる
- 子供の為だけの揺籠()で育てる
- 放任主義。子供は勝手に育つ
- 帝王に愛など要らぬ!!