狂人と頭のおかしい狩人の巻き添えで発生したデスペナルティ明け。
今度はしっかりと【契約書】に納期遵守の内容を盛り込んで契約した。
色々と依頼主に黙秘して独断専行しまくっていたので、最初からそうしておけば良かったのだが、ここまでぶっ飛んだ性格だとは思わなかったので仕方がない。
まさかカーソンと同じタイプだったとはなぁ・・・
てっきり【砂幻狐】を狩猟出来るほど索敵や探知に優れたエンブリオを持っているマスターかと予想していたが、実際には無理心中に特化したエンブリオだった。
予想外にも程がある。
結局エンブリオは関係無く、自前の技術で獲ってくる生粋のハンターだったようだ。異常な食欲も全く関係無かったらしい。
初ログインから莫大な食費を稼ぐ為に難易度度外視で割りの良い仕事を選んでいたら自然と名が売れていたそうだ。
そもそも初期アバターの性能は大体一律と有志のマスターに検証されている筈なんだが・・・あの消化力と身の丈に合わぬ胃の容量は一体どういった理屈なんだ?
・・・・・
生命の神秘は置いておくとして、レジェンダリアで(【グデアメール】の本体を犠牲に)拾った隕鉄の加工を【設計王】に依頼しに行く。
液体金属の隕鉄は液体なのに分裂しないという不思議な特性を持っている。
一体これがどういったものに活かせるか全くの未知数だが、あの【設計王】なら大丈夫だろうというある意味雑な信頼があった。
ついでにもう出来たであろう【グデアメール】用の怨念動力搭載型杭発射機、男の浪漫の塊、パイルバンカーの受け取りも兼ねている。
【グデアメール】専用にチューニングされているらしいのでとても楽しみだ。
ファンタジーの全身鎧装備がSFチックなパイルバンカーを駆使する光景は、きっと素晴らしいものになると確信を抱いている。
【グデアメール】のアクロバティックな機動が加わるとなると、もうこれだけで白米がいけそうな勢いで浪漫に胸が高鳴るのを感じた。もはや運命では?
【グデアメール】、お前はパイルバンカーを使う為にUBMになったんだ・・・
今日もアトリエから【猛毒王】の元気な断末魔が聞こえてくる。
俺はバァンと扉を勢い良く開いて叫んだ。
「【設計王】!例の物は完成したか!」
スッと【設計王】が音も無くそばに現れた。
「例の物 仕上がっております」
「ほう 見せてくれ」
「今 おとどけしようと思っておりましたが・・・」
(作業台に置いてある巨大なケースを開けて見せる)
「【覆竜霊鎧】専用兵装「DF-KP」
従来の火薬、魔力式発射機構ではなく 怨念動力複合ガス圧式
全長6m 総重量1500kg 装弾数10発 もはや標準人種では扱えない代物」
「専用弾 200cm発射杭弾」
「ガス圧のパワーソースは?」
「【覆竜霊鎧】が生成する霧のみでございます 魔力や火薬を使用しない為《魔力感知》や《熱源感知》 消音性に優れている為《音源探知》に隠蔽効果あり」
「弾頭は? 炸薬式か? 徹甲か?」
「地属性魔法金属操作による硬化加工済み 特殊コーティング徹甲弾頭」
「パーフェクトだ 【設計王】」
「感謝の極み」
一通り【設計王】と特に打ち合わせしていなかった即興◯ellsingごっこを楽しんだ後、DF-KPを持ち上げてみる。
ズシっとした重量感。かなり大きく長い為、取り回りは悪い。
そして専用のパイルバンカーの杭を見てみる。
それは杭というにはあまりにも大きすぎた
大きく
太く
重く
そして大雑把すぎた
それはまさに鉄塊だった
「これだけでドラゴンスレイ出来そうだな。」
「それどころか◯岸島でも活躍出来るね〜。」
杭が太過ぎて丸太みたいだもんな。
・・・・・
【覆竜霊鎧】は【覆竜王 ドラグフォッグ】のMVP特典が【グデアメール】にアジャストした古代伝説級全身鎧である。
【覆竜王】の生前の固有能力を受け継ぎ、特異な性質を付与された霧の生成が可能。
【覆竜王 ドラグフォッグ】 純竜の群れの巣にいた竜王の一体。
皇国滞在時(ノーラを拷m・・・特訓中)に【グデアメール】が単独討伐。
霧による窒息死や遠距離攻撃の自滅誘引など呼吸が必要な生物・遠距離攻撃の使い手に対して猛威を振るっていたが、アンデッドかつ近距離戦闘の【グデアメール】とは相性が悪かった。
カルディナに棲んでいる【霧竜王 ドラグミスト】と遠い親戚関係。
【ドラグフォッグ】の霧は【ドラグミスト】の霧と違って、覆い尽くす結界のような性質を持っていた。
・・・・・
圧縮されると結界のように硬化して反発する霧を充填し、その圧で杭を発射する簡単な仕組みだ。
但しその圧力は6桁を超えるENDを持つ俺の手を潰せるエネルギーを発生させ(実体験済み)、杭は被弾対象を容易く貫通する(実体験済み)。
【グデアメール】が憑依している【覆竜霊鎧】にDF-KPを接続することで霧を充填し、【怨霊のクリスタル】を原動力として稼働。【禍遷忌匣】は【竜禍喰匣 ピリア=ネイコス】に変化して俺にしか使えなくなってしまったので別の怨念動力機構を組み込んで貰った。
こちらは【禍遷忌匣】と違ってオカルティックな性質を持たない普通の?怨念を燃料にする動力機構。性能も劣化しているし、本来の仕様通り使用者の寿命を消耗させるものだった。俺達はアンデットだからそのデメリットは意味ないけど。
あのブラックボックスは、無からの物質創造を成し得た【設計王】をして偶然の産物だったのだろう。
見た目以外全部変わってしまった【竜禍喰匣】は創造主との再会に一人でに震え、パイルバンカーに組み込まれる後輩機(自我無し)の誕生を喜んでいた。
「相変わらず訳わかんないナマモノだよねぇ〜?なんか特典武具になってるし。どういうこと?なにしたの?ていうか僕の作品に無断改造とか絶・許せざるなんだけど?」
まぁ、色々とね・・・あったんだよ・・・
俺の被造物が反逆したり、俺を模倣した肉塊になったり、ドラゴンみたいになってたと思ったら、再生能力と属性ブレスが面倒臭いUBMになってたし。
そしてそのMVP特典であるミートボールをナマモノが食った結果がこれです。
「僕が天才だから大体わかったけど過程が訳がわかんないことになってるね?本当に君の話は聞いてて飽きないなぁー。」
信じて送り出した(略)ってこういう感覚なんだねぇ・・・と呟いている【設計王】。
それどっかのAVのタイトルでは?
「原理不明のナマモノだけど一応我が子のような物だからー。リアル世界で僕の研究友達が大きな機械と白い笛になってた時以来の驚きだったよー。」
【設計王】が懐かしそうな顔で言った。
そっかぁ・・・お前にも友達がいたんだなー
ーーー俺は【設計王】の友達についてなにも聞かなかった事にした。
・・・・・
その頃、手先が器用な助手となっている【猛毒王】は生きているゴブリンの脳を切開していた。
脊髄を傷つけぬ様に繊細な手術で胴体から切り離し、生物由来の緩衝材に包み込んで小さな箱に詰め込み、強制的な恍惚状態を発生させる麻薬に思考を真っ白にする自白薬を調整した薬液、使用期限を長くする為の回復薬を注入していく。
これは『カートリッジ』の第一行程。
第二工程はこの状態から棒状に加工して、第三工程で生物に移植し、完成させる。
これから番のゴブリンに移植し◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️る。
◾️◾️◾️◾️覚醒◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️実◾️◾️◾️、被験体◾️◾️◾️◾️号◾️◾️。
実験記録:◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️。
これはとある夢のVRMMOの物語。
【規制済み】。
子供の教育方針はどれにする?
- 蠱毒にぶち込む
- 普通の子供のように育てる
- 子供の為だけの揺籠()で育てる
- 放任主義。子供は勝手に育つ
- 帝王に愛など要らぬ!!