これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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ハァイ!ジョージィ。はうあーゆーどぅーいんぐ?

【砂幻狐】。天属性による幻術に加え、その生息地が狭い上に広過ぎる砂漠の中にある為、発見が極めて困難な魔獣だ。

 

その毛皮はとても美しい光の反射を魅せて、肉は砂漠のモンスタードロップの中でも三本指に入る美味である。その性質からモンスター、ティアンに狙われやすく個体数が少ない。

 

その結果、種族単位で外界に対する警戒心が強くなり各種隠蔽スキルを軒並み習得した上、自衛手段である幻術がより巧妙になった。

 

今現在において発見例が激減した幻の魔獣である。

 

「無理」

 

は?ギルドはお前さんを推薦しているんだが?

 

ギルドという単語を聞いた瞬間、ちっこいのからとても怠そうな雰囲気が放たれ始めた。そのうちカビが生えて来そうだ。

 

明らかに声のトーンが下がった。

 

「かなり大変で面倒だからパス」

 

今までこういった依頼はあったが、断って来たのだろう。きっと金では頷かない。だって心なしか早口になったから。あからさまなお断りオーラが半端ない。

 

しかし俺は他の奴らには出来なかった事が出来る。俺はマスターキーだ。パワーで大抵の問題を解決出来る。この手に限るってな。

 

どこまで積んだら良い?俺は超級職だ。

 

それなりに要望には応える用意がある。なんだったら俺の力を貸しても良い。

 

ちっこいのがチラリと【誇獣闘輪】を見た。

 

「良いの?」

 

ああ。俺に出来る範囲ならな。

 

ちっこいのは一度目を閉じた。

 

「そっか」

 

ちっこいのからの要求はそれほど複雑では無かった。しかし、

 

「じゃあ」

 

その要求に意外な人物が出てくるとは思わなかったが。

 

「あのとち狂った【呪王】を殺すの手伝って」

 

ーーーお断りオーラよりも深く濃い沈み込むような雰囲気を出しながら、小さな狩人は極めて物騒な要求を口にした。

 

棒読みだったからこそ逆にその言葉に込められた感情を拾い取れてしまう。

 

殺気も恨みも負の感情を一切感じない。しかし、その雰囲気は今までとは人が変わったかの如き尋常ならざる執念的な重さを感じた。

 

人とは、殺気も無くここまでの威圧感を出せるものか。或いは、一体何をしたらここまで執着されるような事になるのかと言うべきか。

 

見開かれたその目は深く昏い蒼い闇を湛えている。

 

深海のような蒼・・・俺は純粋に綺麗だと思った。

 

その目をくり抜いて色褪せぬ様に保存したくなる程に。

 

眼球蒐集家は知っているが、今ならその異常な美的感覚が理解できる。

 

俺は記録結晶にその光景を収めるに留めた。後で知り合いの【絵師】に描かせよう。

 

流石に何も因縁が無い相手の目を奪ったら言い訳のしようが無い。カーソンに融合を解かれて殺される。確実に。

 

いっそのこと殺しても後腐れが無い相手だったら良かったのだが。もっと言うなら身体が残るティアンだったら尚更に。

 

俺は少し、目の前の存在に興味が湧いた。その異常な背景も込めて。

 

「じゃ、そう言う事で。」

 

そういうことになった。

 

・・・・・

 

かつて戦った狂人【暗黒騎士】は言動がトップクラスに狂っていたが腕は確かだった。

 

呪われた武具に特化したスタイルは死すら踏み倒して敵に斬り掛かるという、奇しくも俺と似通ったものになっている。

 

それに加え、通常時の出力も高い。武具の基本性能や装備スキルを強化する奴のエンブリオは装備スキルの【石化】の発生条件さえ拡張してしまうほどであり、今は更に強化されているだろう。

 

たとえ擦り傷でも危ない。全身がいつの間にか石像化していそうだ。

 

しかも、いつの間にか【呪王】という超級職に就いていた。

 

そして今、厄介な事に【呪王】という超級職の存在が奴の脅威度を跳ね上げている。

 

呪具運用特化超級職【呪王】。

 

それはただ呪われた武具を振るうだけの存在だ。

 

習得できるスキルは呪われた武具のデメリットを軽減する耐性スキルと呪われた武具を強化する二つだけ。

 

ステータスは超級職にしてはバランス良く伸びているが、悪く言えば器用貧乏とも言える。

 

呪われた武具の武器種を問わないという【超闘士】と似たようなタイプなので弓や銃も普通に使えるが、やはり前衛や後衛といった専門職には及ぶことは無い。

 

【超闘士】と違って装備枠も増えないし、《統一王者》の様な破格のスキルも存在しない。

 

【超闘士】と見比べるとどうしても見劣りしてしまうだろう。その就職条件が超級職に就いている事を前提としている点を考慮すると尚更に。

 

そして、【呪王】に奥義はない。

 

ただし

 

ーーー命と引き換えの最終奥義は存在する。

 

それがーーー

 

「《呪侵人骸(エラーヒューマンズ)》」

 

「呪われた武具と自身の境界線が曖昧に溶けていく呪いの最終奥義」

 

「運用特化の成れの果てであり呪いを自分とする人器一体の極致」

 

「何人もの【呪王】が呪われた武器そのものになってモンスター化した」

 

「【超操縦士】とか【死霊王】の最終奥義はモンスター化するケースが幾つかだけど」

 

「【呪王】は全員がモンスター化する末路を遂げている」

 

「一度戦争に投入されたけど敵国ごと自国もモンスター化した【呪王】に滅ぼされた逸話が実在する」

 

「【呪王】はただそれだけに特化している」

 

「真っ当な戦士ではなく最悪の化け物が就く超級職」

 

「最も彼に渡ってはいけなかった超級職」

 

「末路の悲惨度で言えば死ぬまで狂う【狂王】や精神が汚染される【死霊王】とどっこいどっこい」

 

「これで大体わかった?」

 

「あぁ。俺と同じような人外してるのがよく分かったよ。末路が似通ってんのは逆に笑えてくるがね。」

 

これはとある夢のVRMMOの物語。

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子供の教育方針はどれにする?

  • 蠱毒にぶち込む
  • 普通の子供のように育てる
  • 子供の為だけの揺籠()で育てる
  • 放任主義。子供は勝手に育つ
  • 帝王に愛など要らぬ!!

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