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現役の補助金支援事業者による第15回小規模事業者持続化補助金に関する考察

第15回小規模事業者持続化補助金の採択率

少し乗り遅れた感はありますが、2024年6月5日に小規模事業者持続化補助金(第15回)の採択発表がありました。

採択率は…

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採択者5580に対して、申請者が13,336なので41.8%と低調でしたね。

どのくらい低調だったか(採択率が低かったか)については、他の方が記事を書いていますので、それらをご覧いただければと思います。
しかし、2024年は応募回数が少ないことが見込まれている中でのこの結果は、事業者、支援者はさぞ、ガッカリされてことと思います。


公式HPに掲載された注意喚起

そして、この文言です。

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「公募要領に記載する補助事業者の要件に合致しない」ケースや「申請書類の不備」が多数あったと書かれています。

本当でしょうか?残念ながら外部から検証するすべはないですが、ちょっと考えてみます。

公募要領に記載する補助事業者の要件に合致しないケースとは?

まず、「公募要領に記載する補助事業者の要件に合致しない」というのはどのようなケースでしょう。
簡単に言うと、申請要件を満たしていない何かがあるということですよね。

基本的な申請要件(「小規模事業者」や「補助対象とならない者」)の定義は変わらないですし、いまさら公的医療保険や介護保険から収入のある事業(二重受給ルール、重複案件ルールに該当する事業)に係る申請が急増するとも考えられません。

いやいや、そもそもですよ、また商工会議所などの方に嫌われてしまうかもしれませんが、様式4発行の際に、商工会議所または商工会が、最低限要件に合致しているか確認しているんじゃないの??って話ありますよね。

でもね、それは甘いんですよ。

小規模事業者持続化補助金コールセンターにも確認しましたが、様式4の発行事務については商工会議所に任されており、基本的に様式2と様式3の内容、「どんなことをやって、どのようなものに、いくら使う予定かは確認するものの、要件に合致しているかまで確認しているか保証はできない」というんですよね。

そう、商工会議所の確認書をもらっても、そもそも要件に合致していないケースは十分起こりえるということなんです。

特に様式4の発行受付期限から、申請期限までは1週間程度のところが多く、実態としては失礼ながら、商工会議所が書類を細かくは見ることは難しいでしょう。
特に第16回のように、そもそもの公募開始から様式4の発行期限までが極めて短期間の場合、様式4発行期限間際に依頼が集中し、1件1件、時間をかけてチェックするのは不可能です。

なので、特に要件に合致していない不備というのは、賃上げ枠等の特別枠に要件を満たしていないということだと理解していますが、最新の公募要領で都度確認して申請を行っていただければと思います。


もう1点、小規模事業者持続化補助金のコールセンターに確認したことを共有します。

不採択通知ですが、第15回は、私は個人的にご支援しているところがないので、詳細はわかりませんが、不採択通知の文言で、「公募要領に記載する補助事業者の要件に合致しない」ため不採択になったのか、「申請書類の不備」で不採択になったのか、いずれも問題なかったものの、計画書の内容が求められる水準になかったため不採択になったのか、わかるように記載されている(要件合致かつ書類不備なしの場合には特段不採択理由はかかれない)とのことです。

ただし、どのような要件に合致していない、どのような書類の不備があったかについては、コールセンターに電話をしても、一切教えないとの回答でした。

これについては、本当に不備をなくしたいのであれば、手間はかかるが、事業者(申請者)からの問い合わせにはきちんと答えるような体制を作ったり、不備が多かった事例集を公表したりすることが必要だと思う旨、コールセンターには意見しておきました。

また、過去には不備があった場合に、内容が採択の水準に達していれば、一旦採択とし、採択後に不備の補完をしたうえで交付決定を出すなどの措置も取られていたのでは?という問いに対しては、今回についてもそのような対応が取られているケースもあるかもしれないが、詳細については回答できないとのことで、もしかしたら、ここにも補助金の闇の部分があるのかな…と思うような回答もありました。


で、話を戻して、「公募要領に記載する補助事業者の要件に合致しない」ケースって何?ってところですが、思いつかないんですよね…。

たしかに第14回と第15回では、賃上げ要件の引き上げ幅が「+30円」から「+50円」に変わりましたが、申請段階では、今の最低時給は入力しても、引き上げ後の時給等を入力する欄がないため、このルール変更に気づかず、要件を満たさなかったということも考えられません。
(第15回の賃金引上げ枠で採択された事業者様は引き上げ幅をお間違えないようにご注意ください)

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第14回公募
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第15回公募

そうなると、添付書類の箇所が多く、入力する数値の算出が難しそうなのは賃金引上げ枠の様式7かと思いますが、このあたりで多くの不備が出た感じでしょうか。

いずれにしても、第14回と第15回で、申請された事業者の質(補助金の制度やシステムに対する理解度)が大きく変わるとは思えませんので、やはり、電子申請における混乱(もしからしたらシステムに問題があった可能性も…)

または、電子申請になったことにより、不備発生時(採択審査前)にスムーズに補完させることが何らかの理由で難しかった(システム上、差し戻し&資料再添付ができない?)
ということが起こっていたのでしょう。

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なんでそんなことが言えるか、ひとつ例を挙げるなら、採択発表があった2024年6月5日から5日が経った6月10日時点で、「条件付き採択の修正方法手引き」がまだ準備中なんですよ。

補助事業期間短いって言っているのに、そこらへん、まだ準備できてないのは、システム自体になにかあるんだろうなぁと思いますよね。

ちなみに、その上にある「通知文書確認申請手引き」ってなんでしょうね?そんな手引きは過去回では見た記憶がないですが、新しい電子申請特有の手引きなんでしょうかね。


ということで、事業者にも責任の一端はあるかもしれませんが、新たなシステム導入による人災に近い事象が起こったのかもしれません。

まぁ、詳細を事務局が公表しないと言っている以上、詳細は闇の中、前を向いていつかあるであろう第17回公募に向けて、準備するしかありません。

不採択通知に、要件に合致しなかった、もしくは書類不備があったというニュアンスがない方は、残念ながら、計画書の水準が採択レベルに届いていないということだと思いますので、ブラッシュアップを行い再挑戦に備えましょう。


ところで、採択率が第14回から20%も下落した理由は要件不合致、書類不備だけで片付けられるでしょうか?

とある採択率が振るわなかった(20%台)コンサルタントから聞いた話と、他の補助金の動向、第16回で1社サポートした私の感想も含め、申請のポイントなどを少しまとめてみようと思います。


美容機器申請通りづらい問題

まず、美容機器(いわゆる100万とか200万するエステ等の機器)の申請通りづらい問題。
参考となるデータ数が少ないので、たまたまかもしれませんが、上記のコンサルタント曰く、第14回、第15回と美容機器を補助対象とした案件がすべて不採択だそうで、もしかすると、ここにきて事業再構築補助金の行政レビューで名指しされた「エステ」に対する風当たりが強くなっているのか?とも思ったり。

まぁそれは深読みしすぎで、特に美容機器業者からの紹介案件で支援を行う場合、補助対象が美容機器だけ、かつ事業者にそれほど販路拡大に向けた具体策がなければ、どうしても計画書の内容は他と似通ったり、薄くなる。

そのため、不採択が多くなるというのが実情だと思います。


採択率が40%まで落ちるのであれば、加点が採否を決めるかも。

採択率が振るわなかったコンサル曰く、第15回は電子申請でのトラブルを避けるため、多くを郵送申請としたようです。
郵送対応については、明確に減点対象と書かれていますので、これが採否を分けた可能性があります。

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さらに、重点政策加点、政策加点の2つの加点を取ることが可能ですが、重点政策加点では「②事業環境変化加点」、政策加点では「①パワーアップ型加点」を選択したものの、ふんわりした感じの書き方で、もしかすると加点の認定が取れていなかった場合、採否に影響するでしょう。


なお、第16回は電子申請のみとなりましたので、郵送の減点はありません。第17回以降、郵送申請が認められるかはわかりませんが、時代の流れからすれば、電子申請を行う必要があると思います。

また、2つの加点については、大きく制度が変わらないとすれば、重点政策加点は賃上げ枠の場合で赤字なら「①赤字賃上げ加点」一択ですが、そうでなければ、「③東日本大震災加点」「④くるみん・えるぼし加点」は対象者が限定されるため、消去法で「②事業環境変化加点」を選ばざるを得ないはずです。

仮にエステであっても、電気代の値上り、各種備品の値上りなんかを書きたくなりますが、あくまでも事業環境の変化によるマイナスの影響なので、捉えようによっては、コストのアップ以外にも書いても良いのではないでしょうか。「●●●のような事業環境の変化により、●●●が起こり、売上が減少するなど、厳しい経営環境の継続が見込まれます」など。


もうひとつの政策加点については、第16回公募でいえば「④事業承継加点」はかなり対象が限定的でしょうから多くの方は選択肢からはずれます。

「⑤過疎地域加点」はどうかと言うと、そもそも措置法に定める過疎地域とはどこを指すのがそもそもわかりづらく(一番確実なのは、事業所がある自治体に問い合わせることだと思います)、さらに地域経済の持続的発展につながる取り組みを行う必要があるので、他で加点がとれるなら避けたいところ。

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残りの加点項目のうち、「① 賃上げ加点」が使える(確実に賃上げを行う予定がある)なら、これでいいと思いますが、エステなどのスタッフは業務委託で、従業員がいないケースではこれも使えません。

「②パワーアップ型加点」には、「地域資源型」と「地域コミュニティ型」の2種類がありますが、重点政策加点の「②事業環境変化加点」と同様に、ふんわりした感じで記載してしまうと、審査員によっては、加点として認められない可能性も残ります。

では、「③経営力向上計画加点」はどうかと言うと、経営力向上計画加点の対象となる認定日というのがあり、第16回の場合だと、2023年12月31日までに認定を受けている必要があります。
2024年5月の公募開始時では時すでに遅し。少し先を見越して、余裕があれば、認定の取得をしておく必要があります。

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ということで、最後に残るのは「⑥一般事業主行動計画策定加点」になります。これは従業員が現時点でゼロでも登録(計画の公表)が可能で、経営力向上計画加点のように、認定日の期限などもないようですので、使いやすくい加点になります。

このように、事業状況によって、選択できる加点も異なってきますので、ミスのないように、とれる加点をとっていきましょう。


第16回の支援について

色々書いてきましたが、最後に第16回公募で支援をさせていただいた際に気を付けたことについて書いて終わりにしようと思います。

・現状と目指す姿をしっかり数字(数値)で説明
これは、事業者様がしっかりデータを取っていたからこそできたことです。比較的最近エステなどの事業を始めた事業者様は、POSと連携するソフトを使っていると思いますので、それらのデータを活用して、数字で分かりやすく説明すると、審査員に理解いただきやすいと思います。

・新規顧客の獲得(販路開拓)につながることを明確に何度も書く
小規模事業者持続化補助金は、あくまでも販路開拓の取り組みを支援するものですので、補助対象経費を使う、機械の購入など投資を行うことにより、新たな客層等の開拓につながるか、理解いただきやすいように繰り返し記載しました。

・加点は確実にとる(重点政策加点の「②事業環境変化加点」+政策加点の「⑥一般事業主行動計画策定加点」)

・電子申請作業はzoomなど画面共有で不明点を潰す。
実際に私も自分のGビズIDで電子申請画面にログインし、試しに入力してみましたが、それほど入力に戸惑うことはありませんでした。
ただ事業者様からすると、難しく感じるようで、画面共有をいただきながら、わからないところはアドバイスをさせていただき、無事に申請いただけたと思います。

60%程度の採択率であれば、当たり前のことを、当たり前にやれば通る、そんな認識だった小規模事業者持続化補助金ですが、第15回は少し厳しい結果になりました。

第16回については、第15回申請者は申請(不採択からの再チャレンジ)できず、期間も極めてタイトだったため、申請数はかなり減ると思います。また、要件に合致しないケースや書類の不備等については、注意喚起がなされたのが第16回締切後ですので、採択率もどこまで回復するかは見通せません。

第17回公募の見込については、また別の記事で書こうと思いますが、第15回で残念ながら不採択たなってしまった事業者様は、まずは申請要件に合致しなかったり、書類不備で不採択になっていないか不採択通知を確認いただくとともに、第17回公募もタイトなスケジュール(公募開始から締め切りまでの期間が短い)になる可能性も十分考えられるため、できるうちから計画書のブラッシュアップを行うことをオススメします。


最後にいつの間にか100フォロワーを達成していました。フォローしていただいた方、記事にスキをいただいた方、ご覧いただいた方、皆様ありがとうございます。
今後も、なにか有益な情報が提供できるよう、頑張っていきます。

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本件に関するお問合せ先

合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ
担当:太田
TEL: 070-2826-0182
Email:mitsuru.ota@bd-labs.jp
お問合せは下記公式LINE等よりお問合せいただきますと幸いです。

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弊社は補助金申請のサポートの他に、インバウンド(訪日外国人観光客)向けの集客支援サービス「ExchangePLUS事業」も行っております。
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また、2024年6月より 士業などのプロフェッショナル向けのスマホアプリの開発受託事業も開始致しました。

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HPを持つのは当たり前の時代になりましたが、HPがあっても何もしなければ、誰もそこを訪れてはくれません。

facebookやtwitter(X)、YouTubeやInstagram、そしてこのnoteなどのSNSで情報発信を行うことはとても大切です。

また、最近は公式LINEを持つ方も増えています。しかし、公式LINEが増えすぎて、LINEがあふれかえっていないでしょうか?

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