日系米国人のミキ・デザキ監督による、慰安婦強制連行を巡るドキュメンタリー映画「主戦場」が、出演協力した保守系論客らから上映差し止めなどを求められている騒動が拡大している。出演者から「作品は中立性を欠いている」「歴史修正主義者などのレッテル貼りされた」などの怒りの声が噴出。加えて、渦中のデザキ氏が過去に“日本人女性蔑視動画”を製作していたことが明らかになった。デザキ氏は、どんな人物で、何を考えているのか…。

 先月30日に「デザキ氏に騙された」として、保守系の出演者が同作品の上映差し止めや肖像権の侵害を求めて裁判を起こす旨の記者会見を開いた。これに対し、デザキ氏は上映差し止めには応じない構えを見せ、今月3日に会見した(いずれも本紙既報)。

 原告の一人で「テキサス親父日本事務局」の藤木俊一氏は、こう語る。

「出演にあたって交わした同意書上の約束が守られていないのです。作品が出来上がった時点で私に見せて、内容に不服がある場合は、その旨をテロップで紹介することになっていたが、無視された。そもそも、商業上映するなど全く聞かされていなかった」

 米国・カリフォルニア州弁護士でタレントのケント・ギルバート氏をはじめ、出演者全員が善意から無料で出演した。当時留学生のデザキ氏から、上智大大学院の「卒業リポートのための映画作り」と聞かされていたからだ。

 映画の内容は、まず藤木氏やケント氏などの保守系論客に語らせ、それを慰安婦強制連行肯定派に否定させるという完全な“後出しじゃんけん”の手法。発言は意図的に切り取られ、あたかも強制連行否定派が極端な思想や言動の持ち主であるかのように印象操作されていた。さらに、否定派の紹介テロップには「歴史修正主義者」「性差別者」など、悪意のある文字が躍っている。

 デザキ氏は2007年に外国人英語等教育補助員として来日し、中学と高校で教壇に立った。この経験をもとに「Racism in Japan 日本では人種差別がありますか?」という映像作品を製作して、2013年、ユーチューブに投稿。この内容は日本人=差別者として偏向・誇張の多い主張で、日本のネットユーザーから攻撃を受けた。

「デザキ氏は米国で、東洋人であることから不当な差別を受けたという。ならば、差別のない世界をつくろうというのかと思いきや、その恨みを日本に向けた。日本人もまた差別者であるという彼なりの合理化で、良心の高みに立とうとしている。彼が『主戦場』を撮ろうと思った背景にも、そういった日本人に対する屈折した恨みがあるのではないか」(藤木氏)

 藤木氏によると、デザキ氏は「Racism――」以上に、日本に対する偏見を助長する動画「Shit Japanese Girls Say(日本の女の子がよく言うこと)」(英語も日本語訳も動画のテロップのママ)をアップしている。「Shit」は「たわごと」とも取れるが、本来は「クソ」などを意味する下品なスラングだ。

 動画では、女装したデザキ氏が登場し「ウソー」「血液型何型?」「(白人男性に向かって)レディーファーストォ?」「あの人、お金持ちなんだって」「赤ちゃん欲しくなっちゃった」などのセリフを続ける。最後は別の女装男性が登場し、海に向かって「チンチンほしいな~」と叫ぶ。英語字幕をつけていることから、海外向けに発信しているのは明らかだ。

「この動画で、日本人女性は語彙に乏しく、カネやブランド物に弱い、しかも金持ちや白人男性にシッポを振りたがる貪欲な性格に描かれています。これを見た外国人男性は日本女性をどう思うでしょうか。すぐに寝れる軽い女と勘違いする者もいるでしょう」(同)

 この動画の製作者が、日本の教育現場で働いていたという事実には正直、ゾッとさせられる。

 藤木氏は「『主戦場』の中で、僕らを『sexist(性差別者)』とレッテル貼りした張本人自ら、このような女性差別的な動画を製作していたのです。デザキ氏サイドは、この動画の削除に躍起になっているようですが、現在、動画は増殖中です」と指摘している。