鹿児島県警の前の生活安全部長が情報漏えいの疑いで逮捕された事件で、記者に郵送したとされる文書の詳細が私たちの取材で分かりました。そこには、警察官の不祥事について、“前の刑事部長が隠ぺいを指示した”と書かれていました。

調査報道サイト「ハンター」の代表・中願寺純則さん(64)。“鹿児島県警の内部情報を、ハンターに記事を書く記者から共有された”と話します。

調査報道サイト「ハンター」 中願寺純則 代表
「公益通報、内部通報だったと確信しています。(Q.送り主が前生安部長とは知らなかった)全然まったく。正直驚きました」

送り主は、鹿児島県警に情報漏えいの疑いで逮捕された前の生活安全部長の本田尚志容疑者(60)とみられます。

文書は10枚あり、4月上旬、差出人不明で届きました。その1枚目を見せてもらうと…

調査報道サイト「ハンター」 中願寺純則 代表
「元生安部長から送られたものがここにあります。(Q.これが送られてきた文書そのもの)そのものです。(Q.ほかの文書を読むと中身が書いてある)書いてあります」

ほかの紙には「鹿児島県警の闇」と題し、1.警察官によるストーカー、2.盗撮事案の隠ぺい、さらに、3.警察幹部による勤務手当ての不正請求などが書かれていたということです。

盗撮事案については、先月、巡査部長の男が逮捕され、その後起訴されています。

そして、問い合わせ先として記載されていたのが、前の刑事部長の名前と連絡先です。

本田容疑者は3日前の勾留理由の開示手続きで「野川明輝本部長が不祥事を隠ぺいしようとしたため、記者に情報を送った」などと主張していますが、文書に本部長の記載はなく、“前の刑事部長が盗撮事案を「静観しろ」と指揮した”、と書かれていたということです。

本田容疑者が送ったとみられる文書より
「(前の)刑事部長の指揮は『静観しろ』だった。県警の非違事案が連続発生し、ここで、警察職員逮捕となれば、組織へのダメージが大きいと判断し、(前の)刑事部長は不作為を指示した。県民の安全より自己保身を決断した」

文書にある“前の刑事部長の問い合わせ先”に電話をかけてみますが…繋がりませんでした。

さらに自宅も…応答はありませんでした。

そもそも「ハンター」では去年から、“強制性交の疑惑をめぐり鹿児島県警の捜査に問題があった”などと報じていて、今回とは別の警察資料をサイトに掲載。

鹿児島県警はこの資料の掲載を受けて捜査を開始し、当時巡査長の男を情報漏えいの疑いで4月に逮捕。「ハンター側も4月に家宅捜索を受けた」と中願寺さんは話します。

調査報道サイト「ハンター」 中願寺純則 代表
「うちに家宅捜索に来た時に問題になっている本田前部長のブツの画像が全部あった。それを家宅捜索の時、(県警が)見つけたということです。(Q.どういった意図があると)報道圧力以外、なにものでもない。腐敗の体質が進んでいるとみています。厳しく追及しなきゃいけない」

きのう、野川本部長は「隠ぺいを指示した意図は一切ない」と述べています。

警察庁は不祥事を調べる監察を鹿児島県警に行う方針です。