3.救命について
自分が救急科に所属し、救急医になったとしましょう。毎日のように急病や事故で運ばれてくる患者さんの対応に追われる日々でしょう。文字の通り運ばれてくる人を真っ先に命を繋ぐ、たいへん立派な職務です。まさに医療の真髄とも言える分野だと私は傾倒しています。
これはあくまで医学を一年ちょっとしか齧ってない浅学菲才な一医学生の思考です。
バイト中ふと考えたことがあるんです
運ばれてくる患者さんが自殺未遂者だったら救命するべきなのでしょうか。実際の現場だったらそんなことは考えずに運ばれてくる患者に精一杯の処置をして命を保たせようと、続かせようとするでしょうし、僕もそうします。第一、医師法の第19条に「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」ってありますから。
でも自殺未遂者って診察治療の求が必ずしもあるのでしょうか?
救急の通報は必ずしも患者さん本人からあるものではないです。あまり想像したくないですが、投身自殺と試みようとして地面に強く打ち付けられていた人を通りがかりの人が発見して通報したとしましょう。赤の他人が救急要請を確かにしましたが、患者さん本人に診療の意思はありますか?寧ろ逆の「死」を望んでいた行動をしていたわけです。
見殺しを教唆しているわけでは決してありません。しかし当人が実行を移すまでには相当な覚悟が必要だったはずなのにそれでも救うのです。健康だったりまだ生きれる身体であっても、現実に絶望し行動を起こした人に打ちどころが悪かったら腰椎損傷で下半身不随という後遺症を残し、更に絶望の世界に引きずり戻してでも、それでも救うのです。
安楽死や延命治療といった考え方は日本でも広まってきました。家族や医療スタッフの間でしっかり話し合いをしていくべきだと思いますが、こういった一刻を争う救急の場では、どうしていくべきなのでしょうか。
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