八坂神社は5月25日に夜間に「鈴の緒」を上げると発表

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 5月25日、京都の観光名所である「八坂神社」が、HPで「御本殿鈴の緒について」というリリースを出した。内容は、参拝者の安全を考慮し、17時頃~から翌6時頃まで、鈴を鳴らしてのお参りを中止するというもの。実は、この措置が取られた背景には、日本人女性と外国人男性との間に起きた、あるトラブルが関係していた。

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【写真を見る】「“rude”はお前や」「マジでうるせーなオマエ!」 夜の神社で起きたトラブルの様子

だんだんとヒートアップしていくやり取り

 トラブルが明るみに出たのは5月23日のことだった。ある女性がXで、「鈴緒を柵に叩きつけて遊びながら参拝していた外国人を注意したところ、多人数から罵られ続けました。これが夜の八坂神社の実態」と動画を投稿。

八坂神社は5月25日に夜間に「鈴の緒」を上げると発表

 #拡散希望とハッシュタグがつけられた当該ポストは、現時点で3000万回以上表示され、3万人以上がリポストするなど、多くの人の注目を集めている。

 投稿された動画には、外国人の観光客グループを諫める女性の声と、それに対し“Enough! Get out of my sight!”(「もうウンザリだ。視界から消えてくれ」)と反応する観光客らしき男性が写されたあと、グループを率いていたと見られる男性とのやり取りに移行する。

 この男性は女性とのやり取りの中で、日本に8年在住し、日本語を話せることを明かしている。

 男性は女性に対し“Could you leave us alone please”(「どうか放っておいて頂けませんか」)と話しかけるが、女性はその前段階で男性から“Can you speak English?”(英語喋れますか?)と問われたことに対し、「差別ですよね。なぜ英語が喋れるかが必要になるんですか」と応じ、やり取りはだんだんとヒートアップしていく。

 男性が大きくため息をついたあと、今度は周囲の外国人女性が“Too loud”(「声が大きい」)と女性の態度を非難。別の外国人男性が”Call the police!”(「警察を呼んでくれ」)と発言すると、女性は「呼んでもらっていいですよ」と応じる。

 さらに、ツアーを率いる男性が“You are being very rude. Leave us alone”(「あなたはずっと失礼な態度を取っている。放っておいてください」)という発言に女性が「”rude”はお前や!」と反応。この“お前”という言葉にカチンときたのか、ここで男性の態度が豹変。

「なんだオマエ」
「うるせえなオマエ。黙っとけよ」
「まじでうるさいなオマエ。消えろ!」

 と“ブチギレ”たのである。

外国人男性側のツアー会社の反応は?

 この出来事には、日本在住のイギリス人経営者で、「二条城特別顧問」という肩書も持つ、デービッド・アトキンソン氏も反応。

「インバウンドではない。オーバーツーリズムではない。この人は住民。一人の行為を一般化して、それを人種にするのは人種差別」

 と外国人側を擁護したところ、逆に非難が集まり釈明することになるなど、“飛び火”も見られた。

 女性が投稿した動画内では、実際に外国人観光客が鈴緒を粗雑に扱っている様子は確認できない。ただ、女性が何事も起きていないのに、1人でグループに向かっていき、行動を注意するとも考えづらい。

 当日の詳細な状況について確認すべく、Xを通して女性に取材を申し込んだが、現時点ではコンタクトは取れていない。

 一方、動画内で“ブチギレ”ていた男性が関係しているとされる、外国人向けツアーの会社にメールで取材を依頼すると、以下の通り返答があった。

「ご連絡いただきありがとうございます。せっかくご連絡いただきましたが、今現在警察、弁護士に相談、名誉毀損等で訴訟の準備をしていますので、現時点でお話しする事は遠慮させていただきたいと思います。京都はオーバーツーリズム問題を抱えており、一定数の反対派が存在し、中には外国人に対して異常な嫌悪感、度を超える行動に出る人たちがいるようです」

 ちなみに現在は削除されているが、このツアー会社のXアカウントが、女性の投稿に対し「訴訟」を示唆しながら反論する場面もあった。

「トラブルになりそうな場合はまず警察を呼んでください」

 今回の騒動について、当の八坂神社はどのように捉えているのだろうか。

「動画のことは把握しており、参拝者間のトラブルがあったものだと認識していますが、実際にその場でどういった事が起こったかという、事実確認まではしておりません」(八坂神社の広報担当者)

 との返答だった。夜間の鈴緒の利用制限については、

「今回の1件がひとつの契機になったことは事実ですが、以前から日本人、外国人に限らず、鈴緒を強く振る方がいて、鈴緒が壊れてしまうという事例も起きていた。特に夜間は警備員が2名、当直の神職が2名しかおらず、参拝者の安全を確保するために、今回このような対応に踏み切ることになりました」(同)

 観光客の誘致やオーバーツーリズム問題への対応などを所轄する、京都市役所産業観光局の観光MICE推進室も、事態を把握していた。

「最近は外国人観光客の方が舞妓さんの通勤を止めてしまうなどするトラブルも起きています。対策として、旅行会社などを通して“Mind Your Manner”という啓発冊子を外国人観光客に配布し、ゴミのポイ捨てや許可のない撮影、文化財を傷つける等の行為は悪質な場合、犯罪にもなり得るという強いメッセージも発信しています。今回の件に個別に対応できているわけではありませんが、市民の皆さんと外国人観光客とが、対立することなく尊重し合える、“持続可能な観光”を推進していきたい」(観光MICE推進室の持続可能な観光推進課長)

 また、女性の“意図”については一定の理解を示しつつも、こう注意を呼び掛けた。

「電車内を思い浮かべてもそうですが、“マナー違反”というのは人によって感じ方の程度が異なるので、なかなか難しい側面があります。あくまでコミュニケーションの延長線上で、外国人観光客とマナーについてやり取り頂くのは良いのですが、我々としては、市民の皆さんに外国人観光客のマナー啓発をするところまでは求めていません。トラブルになりそうな場合はまず警察を呼んでください」(同)

デイリー新潮編集部