ナチズムに言動で痛烈な反省を示してきたあのドイツで、戦後発禁となっていたヒトラーの「わが闘争」が発刊されるそうだ。
どういう状況で、どんな背景があるのかはよくわからないが、現在の世界におけるキナ臭い状況が背景にあるのかも知れない。
日本ではかつて麻生太郎財務相が「ドイツでは、憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ。あの手口、学んだらどうかね」とつい口を滑らしたことがあったが、その後の安保法制(戦争法)の進め方を見ると安部政権はまったく見事にヒトラー的手法を学んでいるようだ。
今まで憲法の番人として国民に信頼されていた内閣法制局長官を強引に人事で替え、憲法改正を行わずに憲法を骨抜きにしている。
(明らかに違憲である戦争法の強引な成立、憲法で定められた国会議員による臨時国会開催要求の無視etc)
安倍首相にとっては現憲法はまったく邪魔者以外の何ものでもないのだろう。
夏の参院選で自公他で三分の二を確保し、憲法改正が現実になる恐れが強くなってきている。
いきなり9条改正は国民の拒否反応が強そうなので、災害や外国からの侵略、内乱時等に憲法を一時停止し内閣に大幅な権限を与える「緊急事態条項」から手をつけたいようだ。
文字面を見ると各党や国民も表立って反対しにくいように見えるから、憲法改正がやりやすいと目論んでいるようだ。
しかし目論みどおりに改正されてしまうと、いよいよヒトラー下のドイツのような状態になる恐れが非常に強い。
自民党の憲法改正草案では
・閣議の了承さえ取りつければ内閣総理大臣は緊急事態の宣言ができる(98条)。
・内閣は法律と同一の効力を発する政令を制定することができる(99条)。
・緊急事態が発せられた場合には何人も公の機関の指示に従わなければならない(99条3項)。
(現行憲法の「基本的人権」をわざわざ「削除」としたうえで、上記の99条3項を設けている)
・緊急事態が宣言されている間、衆議院は解散されない(99条の4項)。
ひどい場合には、仮に反政府デモが大規模になり政府が内乱状態と判断すると、緊急事態が宣言され、国民の権利が抑圧されてしまう。
ほとんどの人は「現在の日本ではそんなことが行われるはずがない」と考えるかも知れないが、
ヒトラー研究者によるとヒトラー独裁の特徴は
(1)「大衆の統制と動員のための比類なきメディア操作」
(2)「国家による前例をみないほどの抑圧と暴力」
(3)「人種の優越性を標ぼうするイデオロギーの強力な破壊力」
(4)「国際関係における前代未聞のシニシズム」
だそうです。
わが国の現状をよく見て下さい。
(1)
政権に批判的な報道ステーションの古舘伊知郎の降板(本人の意向だということですが、官邸からの強力な圧力が辞めたいと思わせる一因になっている)、
安保法制には反対し続けねば・・と発言したNEWS23の岸井成格の降板、
菅官房長官に「憲法の解釈を簡単に変えていいのか」と突っ込んだNHKクローズアップ現代の国谷裕子キャスターの降板、
TV放映中の政府に批判的な市民インタビューにケチをつける。
政権寄りのTV局には国会中でも出演するが、批判的なTV局には出演しない。
一部のネト右翼を使ったネット工作・・・等々
現政権のメディアへの介入には目にあまるものがある。
最近ではあの朝日新聞でさえ、政治的には腰の引けたような記事が多くなっている。
(2)
沖縄の民意を無視した強引な仕打ち
(3)
また最近、TVで日本や日本人の誇りや技術を賛美する放送が多くなっていると思いませんか?
この正月あいだに見た番組だけでも
外国の料理人が日本の料理人や料理法に感心し賞賛する番組
在日外国人が母国へ日本の製品を土産に持って帰り、日本の技術に感嘆させる番組がありました。
我々の気持ちをくすぐり、誇り高く気分を高揚させてくれるのは結構なのですが、
日本よりも外国の優れている面に目をつぶって、一面的になってしまうと、日本民族は優秀な民族でアジアを解放すると称して侵略していった戦前に里帰りすることにならないかと心配します(杞憂であればいいのですが・・・)
(4)
中国や韓国に対するヘイトスピーチや嫌中、嫌韓の世論
何らかの形で似通っていると思いませんか?
鋭い指摘、ありがとうございます。
整理してもらうと、本当にその通りですね。
なんか、重苦しい世界の動きと、日本の政界の動きです。好き勝手にやってる内閣ですねえ・・・誰が参謀をやっているのかなあ。