「3≦7」は正しい。では「3≦3」はどうか…?あなたは「整数」をきちんと理解していますか?
「実数」とは何か
一般に、数を直線上に並べた数直線のすべての点に対応する数を実数という。単に「数」というときは、実数を表すことが普通である。 なお、負の数には必ずマイナス記号「-」を付けるが、正の数はプラス記号「+」を省略しても構わない。 0より大きい数を正の数といい、0より小さい数を負の数という。1と2の中間にある1.5も、3より少し大きい円周率π(3.14……)も実数である。
「3≦3」は正しい?
ちなみに円周率の定義(約束)は、円の周囲(の長さ)である円周を、中心を通る直径(半径の2倍)で割った値である。 ここで、不等号の記号を紹介しておこう。 3 ≦ 7 3 ≤ 7 はどちらも同じ意味で、「3は7以下」のことで正しい。もちろん、 3 ≦ 3 3 ≤ 3 も正しいが、「この表現は間違っている」と思っている人は少なくない。
路線図の問題
例題 樹形図の発想は、イチ、ニ、サン、シ……と一つずつ数えるとき、あるいは見直しをするときなどに有効である。例を挙げると、次の図のような路線図があるとき、出発地Aから到着地Fに至るルートは何本あるか求めてみよう。ただし、同じ地点は2度通らないものとする。
樹形図でミスなく数える
このような問題を考えるとき、よく図の線上を何度も鉛筆でなぞる人がいるが、見にくくなって後で見直しすることが難しくなってしまう。次の樹形図によって数えると、答えは10本であることが分かる。
整数は珍しい
数直線を見てもらえば、数直線上の数全体、つまり実数全体から見ると、整数はとても珍しい存在であることが分かる。 ところが実際の問題では、人数や物の個数のように答えが整数でなくてはならない場合がよくある。これを一般に「整数条件」と呼ぶことにする。 たとえば、15人を同じ人数の五つのグループに分けるとき、一つのグループには何人が所属するかを求めると、 15÷5=3(人) と計算して3人という答えが出る。 ところが、もし16人を同じ人数の五つのグループに分けようとするとき、一つのグループには何人が所属するかを求めると、 16÷5=3.2(人) と計算して3.2人という答えが出る。要するに、整数の範囲では答えが出ないので、整数条件に反して矛盾である。 すなわち、16人を同じ人数の五つのグループに分けることはできない。
芳沢 光雄(数学・数学教育)